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この世の花

道端に咲く名も知らぬ花は何故そこに咲くのだろう

見えぬ場所で咲いてくれればいいのに何故そこに咲くのだろう

神が定めたことと人は言うが、神なんて信じたことは無い

神は昔生きていた爺さんだったそうだ

私が生まれた頃にはもうその噂しか聞いたことはない

神のいぬこの世で咲く名も知らぬ花は自分の意思で咲いている

その意思が何なのかそれは花しか知らないのである

そして花は喋らない

太古の昔若い名も知らぬ花ははちきれんばかりの若さで快活にしゃべった

爺さんになる前の神はうるさいと名も知らぬ花を黙らせたと言う

それから花は喋ることをやめた

それから一人ひっそりと名も知らぬ花は咲き続けてきた

何かを訴えるかのように道端で咲く名も知らぬ花

私は一たびこの名も知らぬ花と出会い、花の口を開かそうとした

でもそれは無理であった

でもいい、花とは心が通じ合う

だから黙っていておくれ道端で咲く名も知らぬ花よ

それでいい、それがお前の姿なのだから

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