秋の夜長
猫は一日の長い時間を寝て過ごす。
我が家の高齢ブウニャンはとても長い時間を寝て過ごす。
私の部屋で眠り続けるブウニャンにも窓から外を眺める時間もある。
何を思いながめているのだろうと思う。
しかし寝る時間が長い。
人間のように夏の疲れがこの時期に出てきたりするのだろか。
涼しくなった秋の夜長は楽しみである。
転居して二年過ぎたが、実は開けずに置いてある段ボールが部屋に積んだままである。
中は私の蔵書である。
断捨離を考え始めた時の転居は物の処分にはちょうどよかった。
長年溜まっていた垢を洗い流すように物を捨て、処分して旧居をあとにした。
それでも残った本達を箱から出さずに置いていた。
一年なんともなければそのまま処分しようと思っていた。
そして二年過ぎた今になって、ある蔵書を探して段ボールに手をつけてしまった。
なんとまあ、これがなかなか楽しいのである。
夜遅くまで時間を忘れてページを繰っている。
ほとんどの本に買った日付と書店名、気が向けば近況、考えている事を書いている。
日記はつけたことは無いが日記のような裏表紙なのである。
秋の夜長は格別である。
それぞれの秋の夜長を過ごす事ができる。
たまにはいいんじゃないかと思う。
生産性ばかりを考えない無為の時間を過ごすのも。
そして、そんな時間を過ごしていても腹が減ってくるのである。
考え事で早朝に目覚めて作ったカレーを深夜に食う。
深夜の酒は食うより身体に悪いと勝手に決める。
だからいいだろうと、訳の分からぬ自己弁護をする。
食ってしみじみ秋を感じる。
食欲の秋、読書の秋、そして生を感じる秋なのである。
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