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ビューティーサロン タイガー

最近引越したわが家の近所にこんな建物がある。

初めて見た時にはしばらく立ち止まり、じっと眺めていた。

右側には色あせた女性の絵、たぶん極彩色のペインティングがなされていたのではなかろうか。

ネーミングもさることながら、建物の妻壁の多くを使っての手書きの大きな女性の絵にはなんだか昭和の銭湯の富士山を彷彿させられる。

通り過ぎる人たちには馴染みの風景で、空気のような存在なんだろうが、私は何度通りかかっても気になりジッと見てしまう。

怖いもの見たさにも似ている。

そして気が付いた。 

写真を拡大してよーく窓の鉄枠を見て欲しい。

なんと、富士山の装飾がされている。
流れる雲も、うねる波もある。

長く建設業に携わって来たがこんなのは初めてみた。

やっぱり昭和の銭湯の雰囲気だ。

店の名前、『ビューティーサロンタイガー』は邦名に置き換えると、『美容室 虎』もしくは『美容院 寅』だろうか。

どちらにしてもこんな名前の美容院に行くのは勇気が要るような気がする。
女性の目にはどう映るのだろう。

男性版ならばさしずめ『理容室 寅』だろうか、車寅次郎みたいな親父が出てきて散髪しに行ったんだか、喋りを聞きに行ってるんだかわからなくなりそうだ。
『バーバー 虎の穴』ならば手前でひと深呼吸して「よっしゃー!」と入ってみてもいい。
でも、残念なことに60年生きてきて一度もそんな楽し気な散髪屋には出会わなかった。

表のシャッターの前を通り過ぎるとまだ営業しているようである。

ただ、私が通りかかる時には開いている事がまだ一度もない。

どんな経営者がいらっしゃるのか、これも半分怖いもの見たさで気になる。
案外優しい寅バアさんが元気に働いているような気がする。

いつの日かこのシャッターが開けられるその日が、コロナで無駄な外出を控えているここ最近の私の楽しみでもある。

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