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京都大原野の内緒話

昨日も京都大原野の放置竹林整備のNPO事務所まで行ってきました。

樹々は艶やかな衣をまとい、途中抜ける高齢化の著しいニュータウンを明るく美しい街に変えていました。
前日とは変わり、自転車を漕いでいるとシャツ一枚でも汗をかくほどの暖かさの『みやこ京都』の西の山でした。

事務所に着くと理事長はいません。
いらしたのは私より二回り近く年上の、事務所をお借りする竹材店のオーナーであるお母ちゃんと、地元で老舗造園業を営む会長さんでした。

「まあ、座れ」と、外に出した竹のベンチに座るとお母ちゃんが単価の高いコーヒーを出してくれます。
そして、二人してスマートホンを取り出して大原野の世間話をしてくれます。
山中でのご年配二人のスマホ片手に話する姿は奇異にも見え、お二人の年齢以上の元気さを生み出すここの空気を感じることが出来ました。

京都市主導のクラウドファンディングは目標額を上回ることが出来ました。
大きな金額ではないのですが、京都市が進める『森林の応援団づくり事業』の第一歩が踏み出されました。

京都市の3/4の面積は森林です。
京都市は世界に誇る「木の文化都市」なのです。
その森林面積のなか、この大原野だけでも77ha(77万㎡)の竹林面積があります。
サッカーコート108面分、東京ドーム17個分の面積で、書いている私にもさっぱりその広さは実感できません。

そのほとんどが放置竹林と化し、少子高齢化で手を付けることの出来ない状況で心ある地元住民と行政担当課は手をこまねいて来ました。
根の浅い竹林は絨毯と同じで大規模の地滑りを起こします。
適度な間引きがそれを防ぎ、地面に雨を吸収させることで大雨での出水を防ぎます。
そして吸収された雨水には里山のたくさんの栄養が含まれ地下水となって木津川を流れ海に流れ込みプランクトンを育てそれを食べて肴は成長します。
そんな循環のためにも必要な放置竹林整備です。

しかしながら、ただ伐って整備するだけでは完結できません。
日本全国どの団体でも難航するのが伐った竹の始末です。
食材や建材、繊維になりうる竹を「サステナブルな素材」として活用し、供給できる先を作らないとこの事業は成立しないのです。

そんなことも含めて進めている現状があります。

お母ちゃんと地元ご意見番の会長の世間話は行政の縦割りの話でした。
里山整備を進めたい林業振興室、長い歴史や住民の感情は関係なく都市計画による用途地域変更を行う都市計画局、嫌気を差した住民が出て行けば税収は減ってしまいます。
住民課や税務課も含めて、皆がそれぞれ自身のことを住民に押し付けてきますが、全体を見ようという考えが一行政の中の各セクションに無いのです。

日本全体がそのようなシステマチックなシステムのなか縦割りで動くことが原因と分かってはいますが、どうにもなりません。
担当課の人間はこのシステムに従順に乗らなければ出世の道は閉ざされるでしょうし、乗って決まった事をやっているほうが楽ですから。
最後は行くところに行くしかないな、と内緒話がまとまったところで、その最後に行くところに行く理事長が帰って来ました。

私を迎えに駅まで行ってずっと待っていたとのことでした。
まぁ、時々こんな感じで勘違いはあるのですが、多くを語らずに信じて続いた付き合いです。
この事業の最後を片手間になって申し訳ないのですが見届けるつもりです。


URとのイベントのための生竹を支える土台を一人で作ってくれるオッチャン
帰りのニュータウン内の公園、やっぱり高齢化を感じます。
たわわになった柿、Gokuさんの記事を読んでいつかは干し柿を作りたいと思ってます。
所用のついで帰宅途中に大阪駅前ビル地下街の立ち飲み屋で遅い昼メシ、カレールーコロッケは私好みです。

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