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創造的破壊

まだゼネコン営業マン駆け出しの頃に『創造的破壊』っていう言葉が流行った。
いい言葉だなと思ったけれど、毎回の営業戦略会議で大の大人を涙させるような営業担当の副支店長がよく口にする言葉だったから耳をふさぎたくなった。

そんなことってあると思う
強いイメージを持った人間が発するためにその言葉が持つ本来の意味が損なわれてしまうようなことが。

久しぶりに梅田で昼から酒を飲むことになり八尾からJRで大阪駅に向かった。
久しぶりに新今宮駅を通過すると星野リゾートのホテルはその異形を現していた。
もともと新今宮駅に隣接のこのホテル用地は長く更地であったのを記憶している。
そして、ある時期は建て替え時の浪速警察署の仮庁舎だったのが記憶に残る。

行政の思惑はわからないでもない。
以前の大阪市某助役はヘリコプターに乗り腕組をして大阪市を見渡し、へこんでいる地域の活性化に取り組んだと聞いた。
今ある大阪ドームもその一つと聞いた。
ほかにも候補地のあったなか、JR大正駅の最寄りである西区千代崎が選ばれたのは当時大阪ドームを運営する第三セクターの構成員である大阪市ばかりではなく関西電力や大阪ガスの意向もあっただろう。
昔から住まれている方には失礼ではあるが、今大阪市内で大人気の住みたい場所である堀江地区と木津川を挟んでのこの千代崎地区も当時は人気のないエリアであった。

そんな大きな力で街づくりを行う意義は認めたいが、過去その結果がそれほど大きく評価されたことは無いように思う。
そしてその失敗を咎めることも無かったように思う。
それは、日本人の優しさなのか、無関心なのか私にはわからない。

しかし、以前ここでも書いた通り、この新今宮駅付近を変えようとしているやり方が正しいのか、否か、私には疑問である。
JR、南海電車で関空から一本、大阪ばかりか日本の入り口のホテルとして良い立地かも知れない。
徒歩圏内に動物園、美術館などがあり、京都、奈良にも足を伸ばしやすい観光資源に恵まれている場所とも言えよう。

しかし、しかしである、これまで平和にこの周囲で生活を送っていた人たちをどうしたいのだろう。

『創造的破壊』は誰のための破壊なのであろうか。
一部の人間だけの得を考えるような時代ではないと思う。
SDGsからは逸脱し、多様性な対応なんかにならないように思う。

スマートな『創造的破壊』ではなく、ただそうぞうしく破壊行為のみを行っているようにしか思えないのである。
なんだか、今の世の中にそんなことが多すぎるような気がしてならない。

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