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最近思うこと

春、浅い緑は漫然と生きる私たちに活力を与えてくれる。
若い緑は光り輝く。

夏、強い陽射しの木漏れ日は私たちに安らぎを分け与えてくれえる。
濃い緑は強く厳しさも持つ。

秋、樹々の変容は私たちに好奇心と想像の力を湧き立たせる。
変わり行く緑は優しかった。

冬、樹々は葉を落とし休息に就く。
残る緑もおとなしく会話はやめてしまう。

不思議です。この歳になるまで樹々の本当の緑を見ては来なかったように思います。そして今やっと緑を見ているような気がしています。同じ樹の同じ葉でも一年を通じてその色は微妙に変わり、太陽の機嫌でも月の大きさによっても変わるのです。それに気づくようになったのは生きることにやっと余裕が出来たからです。長く生き、多くのことが分かり腑に落ちたからではないかと思います。心の色眼鏡が外れたというよりもやっと本当の目玉をもらったかのようです。純粋な気持ちで樹の色づきをきれいだと思っています。

枯れ行く緑は足元に積もり、朽ち、やがて土に帰ります。私たちもいずれは土に帰ります。どんな不幸のもとに生まれようとどんなに裕福で幸せな家庭に育とうといずれは皆土に帰って行きます。たった何十年の間を悩み苦しむのは仕方ないようです。多少の差はあろうとも必ず苦しむように決められているようです。そして初めて幸せが理解できるようです。はじめから幸せに浸っていては幸せを幸せと理解できないのです。

雑木林の樹々の間を歩いた四季、子どもの頃の何も知らずに私の人生がスタートしたばかりの故郷愛知の緑を思い出します。その頃から何も変わってはいないのです。ずっと黙って私を待つ緑は何も変わっていないのです。変わったのは私だったのです。だから、それに気付いた時点でスタートなのです。残された日が短ろうと関係ありません。それから本当のスタートです。

緑は私に教えます。いえ、ずっと教え続けてくれていたようです

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