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やすみにいどうする

残秋(ざんしゅう)なんて言葉があるのを知らなかった。
耳だけ澄ましていたらなんだか匂ってきそうな言葉である。
この時期匂うのは金木犀だけでよいように思う。

十一月一日の平日の昨日が休み。
とくに何かがあるわけではないが、一日が月曜日ってのは気分の良いものである。
のであるが、一日は明け方まで自室で仕事をして朝を迎えた。

この三年ほど商業用文章を書いている。
なぜかお付き合いは物流関係の会社ばかりである。
サラリーマン時代にトラックメーカーとの付き合いがあり関西で大型整備工場の設計などをする機会があった。
多少は業界のことも勉強したので興味ある世界で面白い仕事でもある。

そして不思議であるが突発の仕事が多い、納期が短い。
大変ではあるがお世話になっている会社でありいつも二つ返事でお請けする。
よそ事を考えながらパソコンに向かっていたら、日付は変わっていた。

2050年と設定された『脱炭素社会』の実現、これは物流の世界だけではなく私たち個人の家庭生活にまで及ぶことである。
ただ、この物流の世界が見えやすく、考えやすい。
現在2021年、もう目の前の2035年には新車のすべては電気化されている前提で世の中は動き出している。

電気自動車、電気トラックそしてAI搭載で自動運転化されていく。
言うは易いが行うは難い、現在のガソリン自動車で成り立っている自動車産業界の末端までがどうやって生き残るのか、自動車産業界と密接につながる物流、ガソリン給油、整備業、サービス業はどうやってついて行くのか。

渦中で今、頭を悩ませている方もたくさんいらっしゃるなか申し訳ないが、こんな先を予測するのは面白い。
そんないろいろを考え出すと手がなかなか進まなかったのである。
11月1日早朝の空気はそれほど冷たくなく私の部屋に金木犀の匂いを運んできた。

遅い午前中に起き出し、用を足しに近鉄八尾まで自転車で出かけた。
上着の要らぬような暖かさ、人気のない通りを走った。
ほんの数年前には考えれないような生活をしている。
平日のこんな時間にスーツも着ずに自転車で八尾の長瀬川沿いを走り、季節を肌で感じている。

考えれば長いサラリーマン生活を送ったが、人と歩調を合わせて行動するのは好きではなかった。
単独行動の営業が気楽でよかった。
合気道の稽古も人が集まれば必ず何かが起きる。
全ては仕方なく、組織のために我慢することが多かった。

今は気楽である。
青い空に一つ流れる雲を見ながら自転車でこの平日の休みを移動して、自分の生を感じている。

長瀬川、緑は大阪府立八尾高校

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