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生きるためにやって来た仕事のはなし

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なかなか理想を仕事とすることは難しいもの、食べるため、生きるためにしてきた私のサラリーマン人生です
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#怖いと思ったこと

ほたるのはなし

季節外れのはなしで申し訳ない。 暑い暑い夏の夜に飛び交う『蛍』のはなしである。 note の『傘わっしょい』さんの短歌が好きで、毎晩一首づつ読ませてもらっている。 その中にある昨年末の短歌が私の記憶の引き出しに手を掛けた。 短歌 壁ホタル 人感センサーライト センサーの狂ひし蛍のやうにしてわれはありなむたれからもひとり の『狂ひし蛍のやうにして』とセンサーを蛍に比喩されているのだが、たった一度だけのこと、それも生まれて初めてたくさんのホタルの群れに包まれたことを思い出

怖いと思ったこと その6 『雨を憶えている皮膚の記憶』

近年の降れば大雨、吹けば大風、自然災害とは言えどもこの国はいつからこんなに異常な気象を受け入れなければならなくなってしまったのかと思う。 私は大雨や台風が来るといつもゼネコン時代の現場での仕事を思い出す。 京都の南部の京田辺市、当時の綴喜郡田辺町に上場電機メーカーの社員研修施設を建設した。 会社は優良得意先の設計施工の物件で強力に力を入れていた。 夏の終わりに竣工した。 バブル期のどこも人手の足らない時代、建築職員は一人、また一人と京都各地の現場に散っていった。 最後

怖いと思ったこと その2

建設業界の営業マンはわりと怖い思いをしているかも知れない。 まずは、オーナーが個人から上場企業、官公庁まで、実にさまざまなのである。 そしてこのオーナーとの契約にたどり着くまでにサブキーマンのような存在が時々ある。 そんな存在はまあまあややこしかったりする。 『経験』という二文字で済ませてしまうがこんな人たちとの付き合いで気持ちや心をすり減らし、なかには命まで落としてしまう方までいる。 気楽にやって来たつもりであるが、ある意味命懸けの24時間365日の仕事だった。 このno