阿倍野の飲み屋のものがたり その3 (ポテトサラダ編)
ガラガラと半開け状態のシャッターを開け切り、のれんを出すとすぐにのぞいてくれた女の子がいる。
「宮マス、三人いける?」と元気よく話しかけてくる。
いけるもなにも開店したばかり、客などまだ誰もいない。
「好きなところどこでもいいいよ」と言うとまだ残った仕込みをしている私の前に来る。
彼女は初めて来た時に私の名前を確認し「宮島さんがマスターだから、宮マスだわ~」と言い、それ以降ずっと彼女は私を『宮マス』と呼んでくれた。
そしてその『宮マス』は彼女と私の間でしか流行ることはなかった