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「フィラデルフィアは今日も晴れ」はおもしろい

最近運悪く私の実物と遭遇した人は延々この話を聞かされて閉口しているかもしれないが、このところ気に入っている海外ドラマの話。

しばらく前からDisney+を契約している。正直ディズニーやマーベルには全く興味がないのだが、Disney+でしか配信していない海外ドラマというのがいくつかあり、なかでも「フィラデルフィアは今日も晴れ」(It's Always Sunny in Philadelphia)が素晴らしい。2005年から始まってシーズン18の今もまだ続いているという長寿シリーズである。

筋は有ってないようなものなのだが、とにかく「一行」(the gang)と称される4人プラス1人が主人公のコメディである。彼らはペンシルベニア州南フィラデルフィアで潰れかけのアイリッシュ・バー「パディーズ・パブ」を経営しているのだが、全員とんでもないナルシストのサイコパスで、社会不適合ぶりが甚だしい。いわば不真面目系クズである。彼らはとにかく何一つ善いことをしない私欲の塊で、生活保護を悪用しようとしたり、身体障害者のふりをしてモテようとしたり、拾った赤ちゃんで金儲けを企んだり、特にすることもなければ仲間内でだまし合い陥れ合いなどをして日々を過ごしている。それで連中がうまく行ってしまうと後味が悪くなってしまうのだが、全員救いがたいボンクラのバカなので何一つうまくいかない。そして次回から、また同じようにろくでもないことをやって同じように失敗するのである。こんなのの何がおもしろいんだと言われると言葉に窮するのだが、おもしろいのだから仕方が無い。ついでに言えば妙に優雅なテーマ音楽もおかしい。

一行は、チャーリー(声が甲高いだけでおかしい)、マック(頭が良いと思っているバカ)、デニス(イケてると思っているバカ)という3バカ大将に、紅一点のデニスの妹であるディー(一行の中では比較的常識人だが自己中)、そして第2シーズンから突然デニスとディーの父親のフランク(名優ダニー・デヴィートがケツまで出して奮闘)が入るのだが、もちろんバカを演じる人たちがバカなわけがなく、脚本の多くを書いているのは一行のキャストたちである。あまりにしょうもないので逆に人間存在の無意味さをあぶり出すというか、人間の尊厳に対する真摯な挑戦という感じすらする。キャンセル・カルチャーどころの騒ぎではない。日本では全く話題にならないが是非見てもらいたい。とりあえずシーズン4がおすすめです。


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