台湾 次週Computex 晶創台湾 RFID

今週、Computex Taipei 2024が開催します。昨年のKeyNoteスピーチ一番手はNvidiaのJenseng Huang(黃仁勳)CEOでしたが(聴講しました)、今年はAMDのLisa SU。生成AIチップを牽引する代表企業TOP2人とも台南にルーツを持つ米系台湾人で遠い親戚。生成AIチップを生産する台積電TSMCも、AIサーバーを組立てる主要企業、鴻海Honhai、廣達Quanta、英業達Inventec、緯創Wistron、と台湾企業。NvidiaのJ.Huangが一足早く来台し、張忠謀Moris Chang等と親しく会食したことがニュースになります。人的な太い繋がりが、台湾のAI産業基盤を更に強くしていると感じます。

【台湾の政治】5月21日:頼清徳新総統就任式。5月23-24日:中国が台湾周辺の海・空域で「聯合利剣-2024A」と呼ぶ軍事演習を実施。5月29日:議員同士の殴り合いもあった国会職権関連法改正案が立法院で可決、また同日、頼総統が超党派の米上院議員団と会談等、政治的にはイベントの多い時が続きました。立法院周辺では一時多くの人が集まりましたが、今は通常と変わりません。頼総統は、与野党逆転の立法院と今後どう上手く調整していくか手腕が問われますが、大きな背景として、台湾内での格差の拡大、住宅費高騰に伴う若者の苦境、半導体産業に偏る経済アンバランスなどの問題があり、これらの解決が重要になると思われます。

【晶創台湾政策】台湾は昨年に10年間3000億NTD(約1.4兆円)を投じる「晶創台湾」政策を発表、それに基づき今月”晶創台湾推進事務所”を開設しました。4大戦略として下記の4点を掲げています。
①半導体チップ+生成AIで全産業のイノベーションを促進する、
②国内の教育環境を強化しグローバル研究開発人材を引付ける、
③異質整合や先進技術に取組みイノベーションを加速する、
④国際的新興企業や資金を台湾に引きつける。
おそらく海外企業の参画も認められることになり、多様な角度から台湾経済社会の全体的活性化の推進を図る重要な政策・活動になるのではと思われます。

一方、中国も「国家集成電路産業投資基金(通称:大基金)」の3回目のファンド3440億元(約7.4兆円)を立上げました。過去2回の基金(1回目2014年-約1400億元、2回目2019年-約2000億元)を上回る規模で、今回は、工業情報化部出身の張新氏が指揮を執ると伝えられています。対中半導体輸出規制に対抗する側面も大きく、研究開発、生産能力拡張等に資金が投じられていくでしょう。
マレーシアも5月28日に、250億リンギ(約8300億円)を投じて、回路設計と先端パッケージングに力を入れる「国家半導体戦略」を発表しました。
世界各国が半導体に基づく国家発展戦略を展開しています。

晶創台湾政策の特徴は、中国の大基金が生産・設備投資補助金的性格を持つのに対し、研究開発と人材育成に資金を集中させている点に思えます。中国の方法では供給曲線が人為的に変化し、過剰生産能力を発生させますが、台湾の政策は、量産前の研究開発に焦点をあてており、中長期的な産業構造革新につながると考えます。

【RFIDタグと台湾】ユニクロのセルフレジ等から推察される通り、RFIDタグの出荷が、2016年100億個+、2020年200億個+、2021年284億個+、2022年345億個+、2023年448億個+と急増し、静かに消費社会と産業社会の変革を進めています。RFIDタグは、米国Impinj社のIoTソリューションと結びつくことで、その活用の幅を広げています。消費や物流だけでなく、工場内でも、モノと情報の紐付け、作業進捗のリアルタイム把握、作業実績の遠隔一括自動読み取り、資産・資材の所在・在庫・進捗・入出庫の一元管理、等が可能になり、旨くシステム化すれば大きなコスト低減とリードタイム低減を図る事ができます。台湾には世界的なタグ生産企業、Arizon永道-KY(6863)、SAG韋僑科技(6417)等があります。5月、台湾の台中市でRAIN Alliance(RFID技術を用いる関係者の集まり)とNFC Forumの合同会議Connection Summitが開催されました。RFIDタグは、循環経済(生産/消費/回収)を支えるキーデバイスの一つになります。

参考:台湾の産業
   https://www.athsinchu.com/blog/categories/tw-industry



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