AIと著作権に関するパブリックコメントを読んだ感想

先日公開したこのNoteを作成している中での感想を備忘録がてらつらつら書いていきます。

とりあえず、文化庁の考えに関しては『まあ、でしょうな』というのが自分の印象。
早い話が『人様に迷惑をかけることをしたら怒られるし、法的な責任も追求される可能性もある。法的責任は今の法律でも十分に対応できる』というもの。
あとはまだ裁判例や司法判断のケース事例が不十分なので、詳細についてはその都度判断されるし、それに沿って検討も進めていくというのも、せやなという印象。

それこそ自分はアークナイツTRPGで、表紙に生成AIを使って中身は文章だらけのシナリオ集を有料で頒布したことがあります。
それに対して不安の声が来たことがありますし、なんなら強い言葉で書き込みされたこともあります。
んで、肝心の『じゃあこのシナリオ集は違法性があるのか、二次創作の枠を超えた著作権侵害を犯しているのか』という正確な判断は、似たような裁判事例がまだ出てきてないのでわからない、というのが現状。

もっとも、依拠性や類似性で判断されるという点で言えば、Googleの画像検索にかけても似たような画像が出てこなかった、という事実はあります。とはいえ、司法判断で違法性が認められるケースが出てきたらその時はそれに従います。

2023年12月末まで頒布してたシナリオ集の表紙 
似た感じの構図とかも探してみましたが、見つけることはできなかった。

SNSだと、法改正や違法にする必要がある、と訴える書き込みも見かけますが、

  • 著作権法上でも著作権侵害を訴えることはできる

  • 特定の個人への営業妨害や名誉毀損と取れる行為はそれぞれ関係する法律で訴訟や刑事告発ができる

このような環境が現状あるので、法改正を働きかける必要性はないかなとは思ってます。
もっとも、訴訟等を起こすための様々なコストがクリエイターにかかりすぎる、という事実があるため、法執行機関や裁判所が動けるようボーダーラインが明確になるようガイドラインや介入マニュアル、民間企業でも対応フローチャートなどが作成されるといいな、と強く思います。

ちなみに、SNSだと『コピペばっか』という書き込みも見かけたので試しにどのくらい個別回答があるのか数えました。

意見概要数が全部で393、そのうち素案に追記しました等の回答が69なので母数を324とすると。
その中で他の意見概要で示されていない事務局の考えが記載されていたのが104だったので、個別回答の割合はおよそ32%。
なので3割程度の意見概要は個別に答えてることになりました。
24938件のパブコメを393の意見概要にまとめて、それぞれ考えを示しているので、だいぶ頑張って資料作成をしてるんだなと思いました。圧縮作業がパナイ。

あと海賊版はぜってぇ許す気はねぇぞ

という強い意志をパブコメの事務局の考えでも感じた。
今回公開されたパブコメの結果だと、AI開発側が海賊版を掲載してると知ってAI学習をさせたら、それはAIのユーザーだけじゃなく開発側も責任を負う可能性があるとしている(まあこれも今までの裁判例や法解釈通りではあるんですが)。

それと同時に、権利者側、つまりはクリエイターやAIユーザー側もAI開発側に『このサイトは海賊版だぞ』『ここから学習したらやばいぞ』と要望や情報提供することが望ましいと書いてるので、今のままの環境でAI開発していってね! とは考えてないんだろうなと感じた。

他にもAIユーザーも責任問われるんだから、そのAIがちゃんと『自分は著作権侵害してないぞ!』って胸張って言えるように、学習データとかを確認できるようなサービスなのか確認しような! とも言ってるし、企業も求められたら応じるようにしような? とも言ってるので、現状のままが良いって考えは無さそう。


あとは企業のパブコメが、いくつか目についたのでそれについてもコメント。
まず医学書院がパブコメ書いてたのが意外でした。いつも仕事ではお世話になってますm(_ _)m。
医療業界はAIとの親和性が高い世界なのと同時に、専門知識の宝庫とも言える専門書でAIに学習されたら出版社としては立ち行かなくなると考えるのは道理。これに関しては、新潮社やJASRAC、新聞協会、民間放送連盟などからも『うちの商品が著作権侵害された時の対応を明確にしてくれ』『学習するなら対価をうちに払ってもらう仕組み作ってくれ』といった意見概要にまとめられているので、これも今後どうなっていくのか気になるところ。

人間の学習と、機械や電子電算機による学習との境界線をどこに引くのか。現状では、人やAIの学習を問わず一定条件のもと著作権者の許諾の必要性がないものや、著作権者の差止請求等の権利行使が制限されるものが示されてはいる。
とはいえ、有料記事が無作為に抽出されて学習された例もある上に、AIがどのような学習をしたのかそもそも把握が困難という技術的な問題もある。

ここら辺については、まだAI活用の安定期に入ってないので、しばらく波乱を巻き起こすだろうなぁと思う次第。同時に、そうやって問題が起きたら、その都度世論や司法判断によって妥協点やボーダーラインが決まっていく時期なんだと思います。

それなのにマイクロソフトもMetaもGoogleも  強気だな!?

法改正の可能性まで否定するもんじゃないし、委員会で出てきた意見を消す必要はそもそもないし、
著作権侵害が疑われたときに利用者も当然だけど、ことの次第によって企業の責任が問われることも
あるでしょうに

てかGoogleって株式会社じゃないんだね!?

とまあ冗談は置いておいて。
正直、反AIとかAI肯定派とかよりもこのGAFA企業の代表格達の意見概要の方がよっぽど恐ろしいと感じました。パブコメの内容は全文公開される予定みたいなので、その時は真っ先にこの3企業の意見内容全文をみたいと感じました。
一体何をどう考えてるんや……。




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