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これで最後の塩らっきょう

もう終わりにしたいんだ。
あれこれ悩むのを。
もう終わりにしたいんだ。
機嫌を伺うのを、待ち続けるのを…。

なぜこのレシピを伝えたいのか

というわけで、僕の大好きな発酵した食べ物のひとつ、らっきょうの塩漬け。このレシピをこれでもかというほど作り続け、自分に一番あった最強にして最後のレシピをつくったのでみなさんにもおすそ分け。というより、それそれ、そういうレシピが欲しかったんだよね、という共感がほしいのかもしれない。美味しいんだけどそこなんだよね面倒くさいのは、っていうのを排除したレシピ。ネット上にはしっくりきたものを探せなかったので、もはや自分で作るしかなかったのです。

とその前に、塩らっきょうの美味しさを、文字でどう伝えたらよいのか、初めての投稿に少々戸惑う。が、これが人類最初で最後の最強のレシピとなるかもしれないのだから、らっきょう愛とともに伝えきらねばなるまい。

らっきょうは5月のGWあたりから鹿児島産が出始めてどんどん東の方へ産地が移っていく。有名な鳥取産とか、各地でパラパラつくっていたりする。約一ヶ月ほどしか旬がない。なので自前で仕込むには、この季節しかない。この投稿が万が一にバズったりすることがあるとすれば、1年後となる。なんとも間の悪い投稿なのだ。だが間が悪かったとしても投稿せずにはいられなかった。もし突然自分が死んでしまったらあと1世紀はこのレシピは生まれないかもしれない。なのでこの投稿をしっかりと脳に焼き付けてもらって、次の旬を一年間よだれを垂らしつづけて待っていただくことになる。いやそこまでしなくても、通常の塩づけをつけてる人におすそ分けしてもらうのも手です、1年間は美味しく食べられるという触れ込みのレシピが巷にはたくさんありそれを実践されている方も多いと思うので。

あ、塩らっきょうの美味しさの話でした。沖縄の島らっきょうやエシャロットを食べたことがある人や大好きな人はたくさんいるでしょう。あれにしっかりと塩味がついたやつです(だめだ美味しさが伝わらない)。爽快な辛味が季節的にもビールに合う合う、美味しい島らっきょうに加え歯ごたえインパクトが十倍、自分で作るとそれが食べ放題、夏の毎日がパラダイスになるのが塩らっきょうです!これがあればいとも簡単に夏を乗り切れQOLが上がりまくり間違いないのです!

「甘酢漬け」について

ここでみなさんが知っているであろう甘酢漬けについて言っておかなければなりません。らっきょうの甘酢漬けはその名の通り、らっきょうを砂糖・酢・みりんなどで漬けたもの。昔カレーに福神漬とともに付いてたあれです。僕は嫌いじゃないですが、あれを残す人もいるでしょう。であの手のものは、やはり市販の製品化されたものが多いと思うので、初らっきょうの入口がそこだとすると、一般的にはそこまで大好物になり得ないのではないでしょうか。手作りに比べると、コリッとしたフレッシュ感がないし、小粒なものが多いので本来の美味しさに欠けるのです。カレーが主役でらっきょうは脇役という役柄もあるのでしょうが、一品としての実力があるのに市場の評価は低いという、生産者と加工者との思惑が乖離しているのではないでしょうか。何の話でしたか? 市販の甘酢漬けがらっきょうフレーバーの主流だと、塩らっきょうの美味しさをいくら説いても、入口から負けているので、全く評価されないというジレンマが自分にはあります(何屋なんだお前は!)。

ここが違う最強レシピ

さて、これまでのレシピとは何が異なるのか。
それは塩抜き。塩らっきょうは通常塩抜きを行います。漬け汁かららっきょうを取り出して、真水に浸します。その時間、3時間前後。これでは思い立ったときに食べられません。仕事から帰って、さぁビールと塩らっきょうと思ってもすぐに食べられない! ズボラな僕がそんなに帰宅時間を見計らって用意周到にできるわけがない。好きな量を気分に合わせてその場のタイミングで食べたいじゃないですか! 塩抜きをし過ぎればただのコリコリ、ただの素らっきょう、どころか水っぽくて美味しくない!
というわけで、作ったあとも手間がかかるの塩抜きがが塩らっきょうの最大の難点だったわけです、僕にとってですあくまで。
今回はこの課題にに焦点を当て心血を注いで完成させたのが、塩抜き不用の塩らっきょうのレシピなわけです。

ほんとうにここまで書いてて誰に響くんだろうと、自分にせせら笑いを向けています。まずらっきょうは甘酢漬けでファンが少ないと言いながら、さらにファンの開拓されていない塩らっきょう、さらにこのニーズを受け入れてもらえるのかという疑問を抱きながらするこの提案に共感する人がまたもや減るのではないか(汗)。

「塩らっきょう」とは何か

まずそのターゲットとなる人がいます。それはどんな人か。
この塩らっきょうはとにかく夏に最高に美味しい時間を過ごししていただけます。そしてそれは夏までです。その代わり塩抜きは不用です。つまり1年持ちません。巷のレシピは塩が強いことで保存性を保ちますが、このレシピは塩の濃度を落とすことで塩抜きを不用とします。つまり保存性がその分落ちるのです。なので1年間ずっと食べたい人は通常の塩漬けを行い、ここで脱落です。汗だくの中ビールのお供として塩らっきょうを食べたい人、ここまで読んできてそそられた人がターゲットです!
そしてこの塩らっきょうが最高にうまい理由それは発酵しているからです。甘酢漬けは漬け汁に漬け込むので漬け汁自体の美味しさとらっきょうのハーモニーですが、塩らっきょうは塩水の中でらっきょうの酵母が働き発酵することで旨味を醸すのです。らっきょう+発酵の旨味のハーモニー、というからっきょうが自分で美味しくなるやつです。なのでぷくぷくとガスが出てきます。生きています。旨さの日々の変化をつまみ味わいながら、自分が最高に美味しいと思うところで、美味しさを留めることもできるのです!
はあはあ(汗) やっとです、どんなものかお伝えしたので、やっとレシピを紹介できます。

レシピ「最後の塩らっきょう2024夏」

準備するもの
・らっきょう
・塩
・水
・冷蔵庫に入る容器(耐熱ガラスなど。2つに分けてもよいです)
簡単です。単位を書いていないのは、このレシピは容器に合わせて作るからです。甘酢漬けでは、みなさんのイメージにある赤や緑の蓋の巨大な瓶を使うと思いますが、こちらは発酵させて冷蔵庫に入れるので、冷蔵庫に入るサイズを使います。

作り方
1.らっきょうは「根」と「頭のぴゅっと出たところ」を切る
2.水の中でらっきょう同士をこすり洗いながら、薄皮をとる
3.ここで注ぐ水の量を測ってみます。まず容器に「らっきょう」を入れ、完全にかぶるよう「水」を注ぐ。これが必要な水の量。
4.容器の水は鍋に移し入れ、水の6%の塩を鍋に入れ「塩水」をつくる。沸騰させ塩が溶けたら火を止め冷ます。

5.らっきょうはザルに上げ、水は拭き取る
6.容器を煮沸などで殺菌し、冷ます
7.容器に「らっきょう」「塩水」を入れる

以上です。

なにがこれまでと違うかというと、3と4について、まず塩分濃度をだいぶ抑えていることと、もうひとつは、普通はらっきょうの重量に対して塩分濃度を決めていることが多いのですが、水の量で塩分濃度を決めていること。巷のレシピもいろいろな塩分濃度があって決まったものはないのですが、概ねらっきょうの重量の10%程度ですのでかなり塩辛いです。
また塩水の量を決めたレシピでは、容器に対して水の量が多すぎて溢れたり、容器を分けて入れてもどちらかが塩水が足りなくなったりで、あまり万人に対応していないと思うことがありました。適当塩分でもできるということなのかもしれませんが、ちょっと作る側としては本当にこれでよいのか納得感がないし、再現性や翌年に向けての改善もイマイチかなと。
そこでぼんやり思ったのが、耐熱容器に詰めたらっきょうの密度は誰がやってもだいたい同じ(鳥取産は比較的大きいが)だとすれば、その隙間に入る塩水の空間的な密度も同様とすると、この決め方でも問題なさそう(誰か計算してほしい)だし、塩水が足りなくなったり容器から溢れたりすることもないだろう。

仕込み後のつきあい方

0〜数日
完成したら「常温」で置いておくが、火の近くや直射日光には当てないで。数日するとぷくぷくシュワシュワと泡が出てきます。そして好きな人にとっては、あの良い香りがしてきます。蓋をあけてガスを逃がすと家族に嫌な顔をされます。メンテナンスとしては上部に浮いているらっきょうをスプーンなどで沈めて塩水に被せ、長時間空気に触れっぱなしの場所を無くします。これを怠るとぴゅっとのびた頭側からカビや酵母のかたまりでてきたりします。もし出てきたら、そのらっきょうごと取り除けばOK。
この時点で、僕は待ちきれなくて味見をし始めます!この時期は爽やかな辛味が強く残り、塩味はまだ入り切っていません。それでも極小粒のものから選んで行けばエシャロット的でこれもまたうまし。
数日〜2周間
かなり塩水が白っぽく濁ってきます。これは発酵している証拠。食べ進めると内部はねとみ(勝手に塩らっきょう用語:「ねとみ」ねっとりした感触で旨味も含む。くさっているのではない)とサクッとした歯切れのよい食感がありかなり理想に近づく。旨味も出てきて辛味が残っていてもかなり食べてしまう。塩水被せのメンテナンスは毎日続ける。
2週間〜
室温にもよるのだが、このあたりから酸味が出始める。辛味と旨味と酸味の程よいバランスが整い始める時期。僕はこのあたりで止めたいので、冷蔵庫へ入れます。そうすると発酵が進むのを止められるので、ほぼその状態を保てます。
酸味が出るのは乳酸発酵よりも時間がたって塩水の環境が酢酸菌が優勢になるので、放って置くとどんどん酸っぱくなります。最後は水になるはずです。なので酸味をどこまで出すかで止めるタイミングを決めることになります。毎日味見をして、そのタイミングを味定めてください(勝手に塩らっきょう用語:「味定める」変化する塩らっきょうの味を自分好みのところを認識すること)。僕の場合、大体このあたりでらっきょうは味見し過ぎで半分以下になっていて、小さな琺瑯容器などにらっきょうと入るだけの塩水ごと移し替えてコンパクトして冷蔵庫へ入れます。
コツは日数ではではない、自分の味覚で決めよう!です。
3週間〜
この時点で次のらっきょうの買い出しに走ります!
だいたいひと夏で3kgぐらい食べます。親戚にわけたり、ご近所さんと交換してみたりとコミュニケーションにも役立ちます!?

なんだかんだ、どんどん食べてしまい、夏を越した塩らっきょうを僕はまだ見ていないので、夏までしか持たないと言っているのですが、これをみて作られた方は夏を超す場合もあると思います。自分の五感を信じて味を見てください、臭ったらやめてください。良い匂いだと思えば食べられるのが発酵、臭いと思えば腐敗しています。どちらもプロセスは似たものですが、人間が食べられるときに発酵と言うようです。と発酵学者もおっしゃってました!

えっと5,000字超えてます。
ここまで書かれた塩らっきょうのレシピはまだないかもしれないし、誰か競ってこれを超えてくれれば、一大らっきょうブームがきて本当に最後の塩らっきょうレシピが誕生するかもしれない。昨今時短レシピ本や簡潔に書くSNSや記事が溢れていますが、どこか足りないコツやタイミングが抜け落ちていて、そこで諦めたり二度とやらなかったりするものもあるかもしれません。そんなことで塩らっきょうファンをへらさないよう、逆に詳しすぎるレシピがあって初回はぜひここへきていただいてもも良いのかもしれません。

まとめ

最後の塩らっきょうのレシピについて、まとめておきましょう。
ターゲット
・夏にビールとらっきょうで最高の時間を過ごしたいひと
メリット
・とにかく旨い塩らっきょうが塩抜き不用で即食たべられる
デメリット
・ひと夏しか保存できない(夏の後は未検証)
・家族に匂いを嫌がられる
その他
・おならが止まらない

デメリットやその他の数がメリットを上回っているように見えますが、数の話ではありません! メリットの強さが他を凌駕します。おならが止まらないのは、らっきょうに含まれるフラクトオリゴ糖などの水溶性の食物繊維が多く含まれるからで、その作用で酪酸菌などの餌になり腸内活動が活発になるからだと思います。なのでおならは全く臭くないです!(詳しい人教えて下さい。)

最後に

ここまで読んでくださってありがとうございます。まだプロフィールも書いてない状態でしたが、あまりの塩らっきょうの美味しさと手軽さにいても立ってもいられずにこのレシピを投稿しました。
なので写真もありません。図もありません。まずは文字だけでどこまでかきとめられるか、初の投稿でどこまで伝わるかわかりませんが、恥ずかしながら一投することで誰か一人でも共感しチャレンジする方がいれば幸いです!
最後とはいったもののまだまだ改善の余地はあるでしょうし、写真など後からでも追加できるのであれば、随時更新してみたいと思います。

発酵は自分の五感が頼りです。室温や環境も違えば、水や食材の状態も違うので、なかなかレシピ通りに作っても同じにはならないし、特に時間的な変化はそれぞれ異なるでしょう。見て、嗅いで、味わって状態を確認し、美味しいと思えばトライして食べてみてください。

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