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「ドライブインシアター2020」を手がける伊藤大地さんのナレッジ

いま、この状況をクリエイターはどうやって乗り越えようとしているのでしょうか。Creator’s Knowledgeでは、さまざまなクリエイターの今つくっているものの原体験、作っているもの、そしてこの状況を乗り越えるための知恵についてお話を聞きます。第二回目はドライブインシアターをはじめ、さまざまな映画体験を作り出す『Do it Theater』の伊藤大地さんのナレッジを聞きます。

アメリカンカルチャーに魅せられて始めたドライブインシアター

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学生時代に、東京藝術大学で映画を学んでいました。僕は録音をやっていたのですが、なかでも映画体験を視覚以外で演出できることに面白みを感じて、映画そのものを演出することよりも、映画体験を演出することに興味を持つようになりました。

Do it Theaterを立ち上げるまでは、ドライブインシアターを実際に体験したことはありませんでした。10代の時に、映画『グリース』の中でドライブインシアターに出かけるシーンを見て「なんだこの空間は!」と衝撃を受けました。もともとアメリカングラフィティの世界感やレトロなビジュアルや物が持つ雰囲気が好きで、古本やレコードも好きなんです。それは若い方にとっては新しく、年配の方にとっては懐かしいものだから。そんな幅広い世代の思いがクロスオーバーするドライブインシアターで、どういう体験ができるのか、興味と憧れから自分達で事業として立ち上げました。

よくある質問でもあるのですが、音は、カーステレオについてるラジオで、こちらから指定した電波に合わせると会場の音が聞こえる仕組みになっています。ラジオ特有の音質で、ここがドライブインシアターの魅力的なポイントだったりします。

シアタープロデュースチーム、Do it Theaterが手がける映画体験

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僕らは、映画でも、演劇でも、はたまた一緒にゲームをするでも、何か一つのビジョンを集まって眺める体験をすることを追求しています。なかでも代表的なのは『品川オープンシアター』というイベントで、品川のエリアマネジメントの一環としてやっています。映画の上映前に、その映画にちなんだ食事を食べたり、音楽を演奏したり、ちょっとした劇を見ることができて、映画の世界に没入していけるような仕掛けになっています。

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美術装飾や世界観作りを大事にしていて、会場演出にはかなり力を入れています。こういった体験を作る仲間にはデザイナーやカメラマン、照明、食品を担当する人や、ブランディングを担当する人など様々な役割の人がいます。例えば立体装飾を作ってくれている人の中には、某テーマパークの装飾を作っている歳の離れた美術家がいたりするんです。僕らのやりたいことに共感してくれた人はみんな仲間。「人を楽しませたい」という思いを軸に集まり、さまざまな体験を提供しています。

ドライブインシアター2020が示す、身体的な楽しさとソーシャルディスタンシングを両方かなえるエンターテイメントの可能性

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現在、『ドライブインシアター2020』というプロジェクトを企画しています。コロナ禍という状況下において、ドライブインシアターは新しいエンターテイメントの形として皆さんに喜んでいただきたいと思っています。。

これまでのドライブインシアターと違うところは、お客様同士の接触、スタッフとお客様の接触を極力制限する事、そして参加制限を設ける事です。QRコードで入場することを構想していて、食べ物の提供や物販に関しては、医師、公衆衛生の専門家による医療チームとの話し合いを進めています。

このような車で集まり楽しむというこのスタイルは、映画だけでなくて、音楽コンサートや演劇でも、お客様同士の接触を回避するシールドとして転用できると思っています。だからこそ、今、エンターテイメントという大きなくくりで、僕達はクラウドファウンディングを通じて認知と支援を両立しながら実現に向けて挑戦しています。

ドライブインシアターで感じていただける楽しさのカギは、「身体性」です。家の中で椅子に座って画面を見るだけのオンラインのシステムだと、身体的な記憶が少ないし運動性もありません。身体性を使うということは、それだけ情報が自分の中に入ってくるということ。匂いや音の振動、隣にいた人、そういった記憶全てまとめてリアルイベントが楽しいんだと思います。自ら能動的に動いてその先にあった目的を達成し、それをみんなで持って帰るという一連のストーリーこそ、楽しむという身体性。これといわゆる三密を避けるソーシャルディスタンシングをかけあわせた体験を作り出せば、アフターコロナにもマッチする表現活動ができると信じています。

クラウドファンディングプロジェクト
エンターテインメントの火を絶やさないために。今こそ、ドライブインシアターを一緒につくろう。

Do it Theater ホームページ
https://www.ditjapan.com/

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