日本学生支援機構の「分別の利益」問題

連帯保証…? 否、保証だ。

朝日新聞が取り上げた問題(朝日新聞たまにはやるじゃん!)

ですが、はてさて、このへんは大学でもあまり勉強しない。
今回問題になっているのは「保証人」なのだけど、今時「保証人」ってほとんどなくて、だいたい「連帯保証人」なのだ。

連帯保証人は「債務全額保証」「もともと借金した人がトンズラしたら即刻請求され得る」「もともと借金した人に資力があってもすんなり払わなかったら、連帯保証人に請求が来る可能性がある」
と、とっても不利。

翻って、保証人は「保証範囲は(特約がない限り)保証人の人数で頭割り」「まずは借金したやつを探せ」「まずは借金したやつの財産を差し押さえろ」と言えることになっている。

このうちの1つめが問題となっているところ。

学生支援機構における「保証」の説明

学生支援機構の保証は、人的保証であれば原則「連帯保証人。だいたい保護者がなる」+「保証人。だいたい親戚がなる」の2人組。
なので、本来は保証人が責任を負う範囲って、そもそも半額で済むのが大前提。
ただ、なぜか学生支援機構の説明は

>連帯保証人の2、保証人の2,3については、「返還保証書」および資産等に関する証明書の提出を条件に、貸与予定総額の返還を確実に保証できる資力を有すると認められる者

という文言があり、なぜかそもそも保証段階で、総額の保証を前提にしているように読めることが書いてある。

契約書(返還保証書)は、というと。

>「現在の資産等の状況」に記載する資力をもって,返還予定の期間を通じて生活を維持し,「奨学生本人」が行う学資金の返還を確実に保証します。

となっている。実にあやふやな書き方。半額(他の保証人と均等割り)とも書いていないし総額保証とも書いていない。いきなり「学資金の返還」とだけ書いてあると、全額保証を前提としている、ようにもとれる。

ただ、分別の利益を認めているケースもある、ということが報道されているので、

学生支援機構は保証契約を「分別の利益を認めない特約付き保証」とは考えていない、ということもまた自明といえよう。

結論。人的保証こうあるべき

で、あるならば、だ。

市中の借金取りならいざ知らず、公的団体がやる取り立てならば、分別の利益は説明したらどうですか、と。
それがイヤだ、というならばせめて、ホームページや保証書において「分別の利益を認めない特約付き保証である」と誤信させないよう、表記を改めたら如何ですか。
契約時に誤信させて、取り立て時に通告もしない、というのはいかにもズルい。

但し、学生支援機構は人的保証をやめ、機関保証に一本化する方針、とも報じられていますが。

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