バートルビーの上司の多様性への柔軟さ


10月になりましたね。
まだ気持ち的には5月くらいなんですが。
何でこんなに時すぎるの速いんやろか。

図書館で「書記バートルビー」を読む也。

噂は予々聞いており、読む前からバートルビーの人物像は大体出来上がっていたのだが、改めてちゃんと読んでみて、バートルビーという人間は、分析すればいくらでも枝分かれしていきそうな、こちらの興味を強く惹きつける人物であった。

その深みへはこれからハマるとして、読みたてほやほやの本日は、その周りの人物について感想を述べてみたい。
(本が手元になく記憶辿って書くので、一部誤りはご容赦ください🙏)

まず、この物語の語り部はバートルビー、ではなく、弁護士の男である。(60歳くらい?)

男は、バートルビーほど語ることが難しい人物はいないと驚きとも嘆きともとれる言葉から回想を始める。

バートルビーは筆耕として男に雇われることになるのだが、バートルビーが来る前から、男の事務所では3人の人物が雇われていた。

ターキー、ニッパーズにジンジャーナット。もちろん、社内での呼び名である。

バートルビーが登場するまで彼らの紹介が続くのだが、まあなかなかの曲者揃い。

ターキー:男と年齢が近い。午前中は機嫌が良く礼儀正しいが、12時を回ると落ち着きが無くなり、大事な書類に染みを作ってしまうこともしばしば。

ニッパーズ:午前中にイライラしている。ギリギリと聞こえるほど歯軋りをしたり、歯を剥き出しにしたり、机に覆い被さって暴れたりする。午後から落ち着く。

ジンジャーナット:12歳。週1ドルでオフィスの掃除や買い出しをする。

以上が男の事務所のメンバーである。

他にも、彼らの汚らしい身なりや、たびたびやってくる連れ(借金取り)など、彼らに対する不満は尽きない。

にもかかわらず、男は彼らをクビにすることはない。悪い癖を止めるように強制することもない。

彼らの全てを知った上で一緒に働き続けている。
寧ろ、例えばニッパーズは午前中、ターキーは午後からイライラすることについて、2人が同時に暴走しないことに安心している。
そして彼らの良さも把握している。一生懸命働いてくれるのだ、と。
ダメな従業員でも、ひとりひとりのことをしっかり見て(見ざるをえないのか)くれている。理解できなくとも、分かってくれる。

上司の鑑だな〜と男に大変感心したのでした。

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