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ワイン知識0の初心者が3ヶ月でワインエキスパートに独学合格した合格体験記【一次試験対策編】

昨年7月にこの試験のことを知り、一次試験まで2ヶ月を切った状態で勉強を始めて一次試験、二次試験ともにストレートで合格しました。

しかしながらワイン知識が一切無い状態から合格を目指すのはとても苦しく難しく、また当時はワインのことを教えてもらえるような人も周りにいなかったので勉強にとても苦労しました。

勉強の方法が分からずに迷いに迷ったあの頃、インターネット上のいろんな方の”合格体験記”から勉強のヒントをもらい、無事に私も合格することができました。昨年自分自身が独学で勉強に困ったからこそ、独学で勉強に困っている、勉強が思ったようにすすまなくて悩んでいる方のお役に立ちたいと思い、私の合格体験記もまとめることにしました。

昨年勉強しながら一番気になったことが、合格された方々はどのような教材を使い、どれほど勉強し、どんなタイムラインで仕上がっていき、合格をつかみ取ったのかということでした。あの特厚の教本を初めて見たとき、”こんなの覚えられる気がしない!合格できるわけがない!”と心底思ったからです。

なので私の合格体験記では、受験勉強に使用した教材、ツール、その使い方、合格までのタイムラインを詳細に記載しました。昨年一次試験対策で困ったことが多すぎた分だけ、あの時の自分が知りたかった情報をまとめていると、気づいたら15000文字の記事になってしまいました…。

とっても長い記事となってしまいましたが、昨年の私のように勉強に困っている方1人にでも届けば、刺されば、そんな思いだけで書きました。普段文章を書きなれていないので、読みにくいところも多いと思いますが、私の合格までのプロセスも誰かのお役に立てれば嬉しいです。

また一次試験の勉強期間は約1ヶ月半ほどとこの試験対策としてはかなり短いですが、ワイン知識0の私が合格ラインにのるまでの勉強時間は1ヵ月半強で400時間超と、寝食の時間を削って日平均10時間ほどは勉強しています。したがってこの合格体験記には”短期間で合格するための効率的な勉強法”などについて記載したものではありません。

私は勉強期間が足らなさ過ぎて本当に勉強が辛く苦しかったので、一次試験対策には3ヶ月~半年ほどの余裕をもって計画的に取り組むことを強くお勧めいたします。

仕事を辞めて専業主婦になり3年…家事や育児、妻や母親としての役割も大事。でも、”もう一度何か自分のために頑張ってみたい!””短期間のチャレンジでもし合格できたなら、専業主婦の私でも何かできるかもしれない”、そんな自分への可能性にかけたチャレンジでもありました。

久々の勉強で頭が爆発しそうになりながら、当時7ヶ月と3歳の息子たちのお世話をしながら気合と根性だけで合格した奇跡のような軌跡の記録、これから受験される皆様のお役に立てましたら幸いです。


▶合格までのタイムライン

2020年4月ー 神の雫を読んでワインに関心を持つ
ワインは好んで飲むが全く詳しくはなく、渋みの強いワインが苦手という理由だけで6年ほどピノ・ノワール種だけを飲む。でも意識せずにただ飲んでいただけなのでブルゴーニュの有名産地すら知らないほど。その当時は白ワインには一切関心がなく全く飲まず。神の雫を読んだことでワインに関心を持ち、色んな品種があることを知り、ワインのことを知りたいと強く思うようになる。

5月ー ピノ・ノワール種以外の赤ワインを初めて意識して飲む
“ワインってとても難しいし、敷居が高いな”と思っていた矢先、とても素敵なワインバーを見つける。難しいワインのことを初心者にも分かりやすく話してくれるソムリエの方に相次いで出会って、自分の言葉でワインのことを分かりやすく伝える姿に強く憧れる。

7月4日ー ワインエキスパート資格の存在を知る
ワインバーに行った際に、ワインエキスパートという資格があることを教えてもらう。翌日、即書店に向かい杉山明日香先生の一次試験用参考書を買う。一次試験申し込み締め切りぎりぎりの7月10日に申し込みをする。(試験日は9/5,6の2回)

ー気が狂いそうになりながら独学で勉強をするー

9月5日 一次試験1回目で合格!

9月12日ー 人生で初めて意識して白ワインを飲む
かの有名なシャルドネとはこんな味なんだと、初めて知る。ソーヴィニヨン・ブランが美味しいことを初めて知る。私にとっての白ワイン記念日!

9月13日ー 人生初の本番形式でのブラインドテイスティングに挑戦
何もわからなさ過ぎて悔しくてボロ泣き。白ワインをまともに初めて飲んだのが前日、赤ワインもほぼピノしか飲んでいないので、圧倒的経験値不足で分からないのは当たり前だが、あの悔しさはこの先も忘れられないほど。

ー自宅で毎日ブラインド練習、週末はソムリエの方と1on1で特訓ー

10月12日 二次試験合格!!

昨年の奮闘を振り返ってみて、当初全くわけが分からなかった勉強を毎日続けられたこと、合格できたことは本当に奇跡的としか言いようがないと思いますが、まぐれでもラッキーでもないと自信をもって断言できるほど試験対策には励みました。

ただ勉強期間が短かったため、一次試験を完全に独学で詰め込むように勉強をし、試験日当日に最大瞬間風速を吹かせるようにして合格したので、やはり記憶の定着度が悪いところも多く、理解したつもりで覚えたけど全く理解できていなかったところがあったのも事実です。

なのでその欠点を補うべく現在はWSETのLevel3という講座を受講して、初めて正規の教育を受けているところです。(そして7月に試験があるので、今年ソムリエ試験を受ける皆様と同じ気持ちで現在追い込まれながら勉強しています…)

なので、これから受験される皆様はどうか計画的に勉強を進めていくことを強くお勧めいたします。勉強を先延ばしにすればするほど、勉強計画がずれればずれるほど日々覚えなければならないことが増えていくだけです。「今年は受かる気がしないから来年受けよう」なんて、来年の教本はきっともっと厚いはずですよ…!。
試験勉強は計画的に早く始めるが吉です!
(自分自身にも言い聞かせています…)

▶短期間の勉強期間で合格を可能にしたポイント

ポイント1:徹底した情報収集
「何を使って、どう勉強するのか」「どの勉強法が自分に合うのか」
一次試験対策の勉強を始めてから、膨大な暗記量に卒倒しそうになりました。ワインの産地名すら読めなくてふりがなをふるレベルの私がこのまま闇雲に勉強していても受かる気配がないことに早々に気づき、一旦勉強の手を止めて情報収集をすることにしました。”ソムリエ試験 ワインエキスパート 独学合格 一発合格”などで幾度となく検索をかけ、いろんな方の合格体験記を読みました。そこから自分の勉強スタイルに合いそうなツールや勉強法だけをいいとこどりをして、勉強計画を立てました。

もしソムリエ試験の勉強がなかなか進んでいない方がいたら、一旦勉強の手を止めて情報収集するのもアリかもしれません。ソムリエ・ワインエキスパートの先輩方が残した勉強法、ゴロ、動画、有益なサイトがインターネット上にはたくさんあります。その中からあなたに合った勉強法が見つかるかもしれません。

ポイント2:”積極的に”協力してもらえる人を作る
一次試験対策でスクールに通っている方や飲食業の方は先生や先輩・上司などがいらっしゃるのでこの点はクリアしていると思いますが、独学で合格を目指す方はここがネックになります。身近にワインにお詳しい方がいれば別ですが、独学勢はまず”分からないことを質問できる人”を見つけることから始めなければなりません。

私はワインのことや試験のことを質問できる人がその当時はいなかったため、勉強法に困った私はソムリエ試験に関するブログを運営されている方に直接連絡をとりました。ご丁寧にお返事をくださった方もいて、そのお返事の中にはたくさんのアドバイスが詰まっていました。情報収集のためにTwitterを始めたほうがいいとアドバイスをいただいたのもこの時です。アドバイスをいただいた通りにTwitterを始めてみると、今度は私よりずっと前から頑張っていらっしゃったたくさんの同期受験の皆様や有資格の方々が私にとっての先生となりました。

二次対策のときは、ワインやハードリカーのブラインドテイスティングに協力していただけるかをお店に確認をして、二次試験対策に協力してくださるソムリエやバーテンダーの方を積極的に探しました。何としてでも合格したい気持ちが伝わりご協力いただけることに。その方々の特訓のお陰で、二次試験も合格できました。

ポイント3:徹底したスケジュール管理
覚えるべきことは膨大にあるのにそもそも勉強期間が2ヶ月もないので、1日にこなさなければならない量は相当に多い。なので1日でもさぼったり日々のタスクを完遂できなければ、翌日には間違いなく消化不良のタスクを抱えることになります。

ですので、”日々に割り当てられたタスクは必ず消化する。削れる時間すべて削っても勉強時間が足らずどうしてもその日のうちに終わらないときは、翌日に回し、翌日分のタスク含めて必ずその日中に終わらせること”を自分自身と約束していました。

これは知識0の私が合格を目指すためには必要なスケジュール管理でしたが、相当に厳しいルールでした。ちなみに、教本のフランスの章は4日間で1回目の教本の読み込みと問題演習を終えています。そのくらいのタスク量・スピード感です。

そして、”勉強スケジュールを守る”ことと同じくらい大事なことが”分からないからといって、特定の国や事柄にはじめから長く時間をかけすぎない”ということです。そうです。フランスやイタリアのことです。

そもそも普通の人ならば、相当にヘビーなフランスやイタリア、メドック格付けやDOCGを一度やそこら読んだりまとめたり勉強しただけで覚えれるわけがないのです。1回で分かりきろうとすると”勉強すすまない沼”にはまります。

とりあえず前に進みましょう!いつでも戻ることができます。まずは勉強スケジュールを守って先にどんどん進んで、何度でも戻って”覚えた・忘れた”を繰り返しましょう。何十回もそれを繰り返しているあいだにあなたの知識となっているはずです。

▶一次試験対策タイムライン

後ほど詳しくご紹介いたしますが、一次試験対策に使用した教材は下記の通りです。

〈試験範囲を理解する・覚える編〉
・日本ソムリエ協会 教本
・杉山明日香先生著 『受験のプロに教わるソムリエ試験対策講座』
・故 小林史高先生のYouTube動画 『Sommelier for free ワイン講座』
・富田葉子先生のYouTube動画 『とみわいん YouTube』
・Tokyo Wine GirlさんのYouTube動画
・Yuta's WineさんのYouTube動画 『語呂ワイン』

〈問題演習編〉
・藤代浩之先生著 『覚えやすく学びやすい  ソムリエ試験対策問題集』
・ケイゾーさんのソムリエ試験対策Webサイト 『ケイゾーラボ』
・富田葉子先生のWebサイト 『とみわいん.com』資料編

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一次試験対策タイムライン
7月6日~21日
ー 杉山明日香先生の『ソムリエ試験対策講座』を読了
全くワインの知識がない状態から読み始める。産地名、アペラシオン名、英語以外の外国語のワイン用語にふりがなをふりながら、テキストに書いてある説明だけでは分からないところはその都度調べながら書き足し、読み進める。仏語と独語に大苦戦する。読了に16日間で110時間を要し、全くワインのことを知らない状況からの読了はかなり気が狂いそうだった。同時期に『Sommelier for free ワイン講座』を見てみるが、この時点では動画を見て理解できるほどの基礎知識さえなく、座学(テキストの読み込み)に戻る。

7月22日 教本が届いてぶっ倒れそうになる
必死の思いで杉山先生の本を読み終え解放感に浸るも束の間、A4判750ページの教本を見て卒倒しそうになる。ただ感動的だったのは、杉山先生の本としっかり読みこんだおかげで”普通に”教本を読める状態にレベルアップしていたこと。でもこの時点では読めるようになっただけで一切覚えていない。

7月23日~28日 両実家帰省などで一切勉強できず

7月29日~8月24日 教本を読みすすめ、問題演習を重ねる
この期間に教本・1200問・Sommelier for free ワイン講座・語呂ワインのすべてを1周させる。勉強は国などの章単位で行い、はじめにSommelier for free ワイン講座を見て概要を確認→教本を精読→必要な地図のみまとめる→語呂ワインで頭に叩き込む→1200問やとみわいん.comクイズで定着度を測る→間違ったところを教本ベースで復習という流れですすめる。

1200問問題集はなかなか難しい問題も多く、基本的な問題は正解できるが、少し突っ込んだ問題には答えられるほど暗記が進んでいないという状態だった。間違えた個所は必ず教本に戻って確認し、ただの暗記不足のところは内容を理解したうえでゴロで頭に叩き込んだ。

この期間の勉強量はすさまじく、寝ても起きても勉強、日中子供が起きている時間帯は教本片手に子守り、ワイン関連のYouTubeをBGMに子守り、メドック格付けの替え歌を聞きながら歌いながら子守り、そんな感じでした。
そのため途中で長男がグレてしまい、”もうワインの勉強しないで”と言われたほど…。しかし合格を諦めるわけにはいかず、中3日間だけ完全に勉強を止め母親業に勤しみ、また勉強を再開する。

8月25日~27日 教本&1200問の2周目
問題演習を繰り返し行い、演習後はその章の教本を読み込む。この頃には教本を通しで2回読んでおり、それ以外にも何十回も調べに戻ったりしたページもあったので、教本のどこに何が書いてあるのかが瞬時に分かり飛べるようになっていた。

8月28日~9月5日AM ケイゾーラボで徹底総復習&問題演習
もっと早くに知っておきたかったケイゾーラボの存在を知る。Twitterのタイムラインで見慣れない問題演習サイトを見かけて、どこのサイトか質問して教えてくだっさたもの。ケイゾーラボは教本に準拠されて作成されているので、完全に教本ベースで勉強していた私と相性が良く、どんどん知識の定着や復習が進んだ。試験日当日の朝まで問題演習を重ねる。

9月5日11:00 試験直前にケイゾーラボの模試を解く
一次試験模擬試験形式での力試しはこの時が最初で最後。B判定で合格。勢いそのままにCBTテストセンターへ。

9月5日13時半ー B判定で一次試験合格!
本番中考えなくてもいいほど反射的に答えを選べていたので、”このままなら合格できる!”と感じるほどの体感だった。ただ私の時はやたら南アフリカやハンガリー、オーストラリアが多かった印象で、かなり細かく問うてくる問題も多く、暗記が甘かった部分は考え込んで運まかせにした問題も。それでも、”全く分からない、そんなこと教本に載ってた?”というような問題は2問しかなかった。教本をしっかりと読み込んで問題演習を積んでいてよかったと思った。地図も文章表現も見慣れたものだった。

自分の回答を見直している間にタイムアップになり、画面が切り替わり”B判定合格”が表示されたときは、息が止まりそうだった。


▶一次試験対策に使った教材〈試験範囲を理解する・覚える編〉

・日本ソムリエ協会 教本
・杉山明日香先生著 『受験のプロに教わるソムリエ試験対策講座』
・故 小林史高先生のYouTube動画 『Sommelier for free ワイン講座』
・富田葉子先生のYouTube動画 『とみわいん YouTube』
・Tokyo Wine GirlさんのYouTube動画
・Yuta's WineさんのYouTube動画 『語呂ワイン』


◇日本ソムリエ協会 教本
ソムリエ試験を受験する人は教本を使った人、ほぼ使わなかった人で分かれると思います。教本とは、ソムリエ・ワインエキスパート資格を認定する日本ソムリエ協会の公式の教材・出版物であり、この資格の出題範囲はこの教本のそれ以上でも以下でもないため、教本を読み込み、教本内の文章表現や地図に慣れることを個人的にはおすすめします。(私は教本大好き派だったので1ページたりとも飛ばさずに読みました。でも教本使う派は少数かも…)

教本は読めるようになると面白いのですが、あまりに内容が細かすぎたり多すぎたりして、どこが重要なのかが分かりにくいです。また、あらゆる説明を文章だけでおこなっている(図が少なく9割ほどは文字の羅列)ところが多いため、試験対策の参考書としては使いにくく、初学者が最初から教本を読もうとすると間違いなく挫折すると思います。

なので、他の参考書を使いながら補助的に(辞書的に)教本を使うか、他の参考書などで教本を苦なく読めるようになってから知識をより深めるために教本を読むことをおすすめします!

教本使わず勉強される方でも、地図だけは教本で勉強したほうが良いと思います。本番CBTの画面に映し出される地図は教本のそれそのものですよ!

そして教本大好き派の私としては、教本なしで合格されたとしても合格後には是非読んでほしいなと思います。分かりにくいところもありますが、とても面白い読みものです。

また、私は簡潔にまとめられすぎた参考書などはストーリー性がなくて逆に暗記が難しいと思ったので、教本などでいろんなエピソードを読みながら、その国や産地のことに興味をもったことで暗記が進みました。どうか初見で”無理!”だなんて思わずに、ベストな使い方を模索してみてくださいね。

そしてもし教本を使う場合には、教本にインデックスを貼ることを個人的には強くおすすめします。しっかり勉強すれば最終的にはどこに何が書いてあるか瞬時に飛べるようになりますが、それまでは数え切れないほど教本を開きます。

まだどこに何が書いてあるか把握できていない状態で目次を毎回開いたり、該当ページを探し当てるまでめくるのは時間の無駄です。インデックスを貼るのに1時間ほどかかりますが、すぐ元が取れますし、その後の勉強が効率的になりますし、なにより特厚の教本に愛着がわきます。辞書としても使いやすくなりますよ。

ちなみ、赤いインデックスで目次の各章(ワイン概論や各産地)、青いインデックスではボリュームが多い重要産地(フランス、イタリア、アメリカ)の細かな地域(ブルゴーニュ、ピエモンテ、カリフォルニア等)を目立たせたり、カバやシェリー、V.D.L/V.D.N、残糖度、ブランデーの熟成年数など頻出な重要箇所に貼りました。

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◇杉山明日香先生著 『受験のプロに教わるソムリエ試験対策講座』
ソムリエ試験の受験生から圧倒的な支持を得ているのではないかと個人的に思っている、市販参考書の中では圧倒的におすすめの1冊です。多分ですが、この杉山本(と略させてもらいます)の内容をしっかり暗記することができれば一次試験には合格することができると思います。

この参考書の素晴らしいところは、合格するために必要な知識を端的に、分かりやすい図解も多く解説してあるところです。教本は良くも悪くも試験合格だけを目的とした場合の無駄が多いです。杉山本はそのあたりをバッサリ端折っている印象ですので、初学者でも混乱少なくソムリエ試験の勉強のスタートを切れる気がします。

ただ、教本の内容を明らかに端折っているところがあるので、他の問題集などで問題を解いていて分からずに杉山本に戻ってもどこにも記載がないこともありました。この本がソムリエ試験の試験範囲をすべてカバーしているわけではない点だけは注意が必要かもしれません。

この杉山本に素晴らしいポイント2つ目は、図解がとても丁寧ということです。各国のワイン法って本当に難しいですよね…。どう階層化されてて、どう区分されているのかとても理解が難しいです。フランスやイタリアでも躓きましたが、私はドイツやオーストリアのワイン法がとても苦手で、しかも教本の該当箇所はほほ図解がなく文章のみでの説明だったので、杉山本の分かりやすい図に助けられました。

そしてカラーの地図帳もついています。教本の詳細な地図を見る前に、よりシンプルで分かりやすい地図で位置関係を頭に入れることができれば、その後の勉強も捗ると思います。


杉山本は大丈夫ですが、そのほかの市販の参考書を購入する場合はきちんとその年の教本に準拠して書かれているか確認してから購入してくださいね!毎年教本の内容は大きく変わっていっているため、前年度の教本をベースに書かれたもので勉強するのは大変リスキーです。


◇故 小林史高先生のYouTube動画 『Sommelier for free ワイン講座』
一番初めにソムリエ試験の勉強法について情報収集しているときにいろんなサイトやブログで”独学勢は視聴必須”と紹介されていたので一度見てみたものの ”映像は古いし、この動画を信用して時間をかけて見てもいいのかな…”と実は懐疑的だったのです。しかもその当時の私には小林先生の講座の内容が分かるほどワインの基礎知識がなかったので、動画のありがたさも分かっていませんでした。

でも今は断言できます。この動画は独学勢は視聴必須です。ワインの初学者やソムリエ試験独学者で参考書を読んでもいまいち理解できない、大枠がつかめないそんな方はこの動画を覚えるまで見て、聞き流してください。最初は何を言っているかよく分からなくても、何度も何度も聞いているうちに自然と理解できるようになります。

私がまずソムリエ試験の勉強で躓いたのは”AOCとは何ぞや”ということでした。参考書を見たって、ググったってよくわからない。そのほかにも気候区分についても、”大陸性気候ってどういうこと?どういう状態なの?”いまいちよくわからない。そして大の苦手のドイツ。そんな時に小林先生の動画を見て理解を深めました。

独学勢にとっては”誰かに説明してもらう、教えてもらう機会”は本当に貴重です。小林先生の動画がなければ教本を深く読み込むための知識も得られなったと思いますし、本当にこの動画には感謝してもしきれません。

また、酒精強化ワイン、日本酒や焼酎の製法についての動画は特にとても分かりやすかったです。私の場合、これらの製法については参考書などで文字を追うだけだと、なぜその工程が必要なのか分からなかったり、理解が深まらないために暗記できずにいましたが、動画を見てからはすんなり暗記することができました。

ただ注意していただきたいのが、小林先生の動画は2012年頃に収録されたもので、現在のワイン法などとは異なる点も多いということです。ですので、この動画で見たことをそのまま覚えるのではなく、教本等で現行のワイン法だったり産地情報と照らし合わせながら、今後の試験勉強をスムースにするためにブースター的・補助的に使うのがおすすめです。


また昨年まではなかったのですが、今年は信国武洋先生がこの『Sommelier for free ワイン講座』を引き継ぎ、最新の状態で更新されているようです。要チェックですね!


◇富田葉子先生のYouTube動画 『とみわいん YouTube』
最近のソムリエ試験、特にCBTになってから”メドック格付け覚えずに捨てる”という声をよく聞きます。なんなら時間がないからと言ってフランス自体をやらないという方も…。

確かにソムリエ試験に対するフランスの割合は近年相当に少なくなっている(ニューワールドが頻出)そうですし、実際私もメドック格付けの問題出ませんでした。でも、ワインの歴史にとってとても大事なフランスを捨てるなんて、もったいなさすぎます。覚えても忘れるのは人間の常なので仕方ないですが、はなから覚えずしてとは…と個人的には思っています。

そして捨てなくても、歌っていればきっと覚えられる最強の動画があります!ソムリエ試験対策でおなじみのアカデミー・デュ・ヴァンの富田葉子先生の替え歌です。私は富田先生の替え歌のお陰で、メドックの格付けやブルゴーニュの畑の場所や名前を覚えました。

富田先生の替え歌に出会うまで、メドック格付けの暗記に苦労していました。はじめはシャトーの頭文字だけをくっつけて呪文のように覚える方法を試みました。これも有名な暗記法ですね!でも残念ながら私には合わず…その痕跡がこちらのツイートです。夜中まで勉強して覚えていたようですが、全然うまくいかなかったようです(笑)

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ただ富田先生の替え歌で、例えば男性の方や世代が少し違う方にとってはそもそも知らない歌を覚えることから始めなければいけないので、そういう場合は少し難しいかもしれません。

私にもそんな曲が数曲あり、替え歌の歌詞だけをベースにさせていただき、違う曲になじむようにアレンジして覚えたものもあります。でも一から替え歌を作るより労力も少なくて済み、動画を何度も見たおかげで替え歌づくりのコツもつかめたので、やはり富田先生の替え歌動画はおすすめです。

写真のグラーヴとボジョレーに関しての替え歌が、富田先生の替え歌の歌詞をベースに自分が知っている歌にアレンジしたものです。

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何度も動画を聞いて一緒に歌ってメドック格付けをだいたい覚えた後は、ボイスレコーダーのアプリにすべての替え歌を通しで録音し、隙間時間に聞いていました。メドック格付けの暗記がなかなかすすまない方がいたら、ぜひ一度富田先生の替え歌動画を見てみてください。


◇Tokyo Wine GirlさんのYouTube動画
私が動画系で主に参考にしていたのは上記の通り『Sommelier for free ワイン講座』なのですが、2012年頃に収録された動画のため旧世界や新世界のメイン産地に関しての動画がほとんどで、ワイン生産としてはマイナーな国に関しては動画がありませんでした。そんな時に困って色々探して辿り着いたのがTokyo Wine GirlさんのYouTube動画です。

私が何度も視聴した動画はハンガリーとスイスに関しての動画で、昨年の時点ではこれらの国に関しての動画を上げている方はあまりいらっしゃらず、またTokyo Wine Girlさんほど分かりやすい動画はなかったです。

動画は短く、テンポよく、耳にも目にも残る編集が特徴です。地理感をつかむのにとても有用です。今年は昨年以上に動画がUPされているので、受験生の方は一度ご覧になることをおすすめいたします。”次”がクセになります。(動画を見た方なら分かるはず!)

チリのサブリージョンなんかはなかな覚えにくいので、この動画を何度も繰り返し聞いてから参考書や教本の読み込みをするとぐっと効率的に勉強がすすむと思いますよ!


◇Yuta's WineさんのYouTube動画 『語呂ワイン』

短期間で合格できた決定打となったのがYuta's WineさんのYouTube動画 『語呂ワイン』です。結局合格を目指したときに、いくら教本の内容を理解したって、それを本番で答えられなければ意味がないんです。資格試験なのですから。

杉山本→動画→教本のサイクルを何度回して、教本の内容もかなり理解できてきた実感がありましたが、問題演習になると暗記できていないところも多く…浮かんだ疑問が ”で、結局どうやって覚えるの?”ということでした。例えばイタリアのDOCGです。メドック格付けは替え歌で覚えたけど、DOCGはどうすれば…困り果てて色々と調べた結果出会ったのがこの語呂ワイン動画です。

ゴロにしている対象が何なのかも覚えずに、ただ単にワードだけ、頭文字だけをゴロで覚えるのは個人的にはナンセンス(私はワインのことを勉強したくてこの試験を受験したため)だと思っているのですが、きちんと基礎が入った上で最終的なインプットをゴロに頼るのは有用だと今回の受験で感じました。

ゴロの中には、かなり無理やりなゴロ、覚えるのもツラいゴロもありましたが、それでも普通に暗記するよりは格段に効率的にインプットができました。アメリカのAVAのゴロは特に秀逸で、すぐに覚えられると思います。

完全にゴロから入った国もありました。イタリアです。当時イタリアは教本を開くだけで眩暈を起こしそうなほど苦手意識があり、読み進めることすらしんどかったので、まずはじめにYutaさんの動画を見ました。

集中して見る、聞き流す、をひたすら繰り返すこと一日。はじめは何と言っているかよく分からない動画を聞き流すことすら苦痛でしたが、ひたすら聞いているうちにゴロが聞き取れるようになり、その後そのゴロのもとになっているアペラシオン名まで聞き取れるようになりました。

翌日イタリアの教本を開いてみると、”あ!これ知ってる!!”そんな連続で教本を苦なく読めるようになっていたのです。少しでも読める、知っているという状態は大切で、そのことでイタリア自体に関心・興味・親近感を持つことができ、その勢いのまま集中的に勉強に取り組むことができたのです。

そして、Yutaさんの語呂ワインの素晴らしいところはスライド1枚1枚がとても良くまとまっているので、スクリーンショットで保存し、単語帳のように使うことができる点です。(そのような使い方をしてよいのか分かりませんが…個人の学習範囲ならばと思って私は保存させていただいていました。)


▶一次試験対策に使った教材〈問題演習編〉

〈問題演習編〉
・藤代浩之先生著 『覚えやすく学びやすい  ソムリエ試験対策問題集』
・ケイゾーさんのソムリエ試験対策Webサイト 『ケイゾーラボ』
・富田葉子先生のWebサイト 『とみわいん.com』資料編


◇藤代浩之先生著 『覚えやすく学びやすい  ソムリエ試験対策問題集』
杉山本と並び、ソムリエ試験の受験生から圧倒的な支持を得ているのではないかと個人的に思っている問題集で、おすすめの1冊です。

この問題集は見開きの左側に問題、右側に解答が載っており、とても勉強がしやすかったです。そして解答ページにはただ答えが載っているだけではなく、併せて覚えておきたいポイントもまとめてあるので、解答ページに載っているものも暗記できるまで何度も解けば1冊で十分合格圏内を狙えるのではないかと個人的には思っています。そして問題のレベルはは他のものより若干難しく感じました。(逆にこの問題集を解き慣れた後は他の問題集などが簡単に感じたほど。)

ただ注意点が1点。昨年のこの問題集は“2020年度版”として出版されていたものの、2019年度版の教本をもとに問題作成がされていたようで、2020年度版の教本には記載箇所が見つからない問題や、生産数などの数値が間違っている問題が多くあり、正誤表をチェックしながら問題を精査しなければなりませんでした。

ちなみに2020年度版の初版印刷日は3月15日で2020年度版の教本が出るころと同じ時期なので、2020年度版の教本に準拠して問題作成されていないはずですよね。近年は教本は毎年大きく記載内容が変わっているようなので、注意が必要です。


ちなみに今年のこの問題集は発売日が2021年5月1日になっており、”2021年度版教本に準拠”と記載があるので、今年の問題集は安心して使えるかもしれません。でもどんな出版物にも間違いはありますので、この問題集に限らず正誤表は確認したほうが良いかもしれません。

1200問1週目の正誤状況です。写真1枚目のアメリカはまず英語というだけで覚えやすかったので初回にしては半分以上正解しているようですが、他の産地は結構ボロボロでした…。

問題集を解き進めているうちに、このままノートに解答を書いたりまとめていたら時間が足りなくなって、何回も繰り返し解く時間が無くなることに気づき、後半は一切書いたりまとめたりせずに、問題集の解答ページを赤シートで隠しながら何度も解くという方法に切り替えました。

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◇ケイゾーさんのソムリエ試験対策Webサイト 『ケイゾーラボ』

ケイゾーラボは試験日の1週間ほど前にその存在を知ったのですが、勉強をはじめたその日から知っておきたかった~!というほど便利で良くできていて素晴らしいサイトです。しかも無料です!


まず最新の教本に準拠されてリリースされ、一次試験対策のページではあの長くて読みにくい教本が各章ごとにサマリーされています。重要な覚えるべき用語には黄色のマーカーが引いてあり、各章のポイントが端的にまとまっています。そして、今年から教本に追加された箇所は特に出る可能性が高いですが、そのような前年からの変更点や更新点に関しても注意書きがされており、効率的に教本の内容を頭に入れることができます。

そしてケイゾーラボが最高な理由2つ目が、予想問題が充実していることです。たくさんのストック問題からランダムで毎回違う問題が選ばれる各章のミニクイズ”10問正解するまで帰れま10”を、連続で満点を○回取るまで、トータルで○回合格するなど、その時の各章の理解度や暗記定着度に応じて目標を課し、それをクリアするまで解き続けました。

ケイゾーラボの問題を解いていたころは一次試験の1週間前ほどなので、1200問やとみわいん.comのクイズを繰り返し解いてかなり得点率が上がってきていた頃ですが、それでも満点が連続で出るまでというのは結構時間がかかりました。でも満点が出るまで繰り返しチャレンジしたことで問題を解くスピードが速くなったり、弱点つぶしができたと思っています。

この写真が毎回のミニクイズの点数を記載したものです。スペイン・ポルトガルは満点が2回連続で出るまで18回もかかっていますね…。3回連続満点を狙ってもう1度やったら最低点の5点を出してしまい、もう一度満点になるまでやったようです。


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10問だけなのでサクッ何度でもチャレンジ・リベンジしやすかったことが良かったです。2021年度版は現在更新中のようで、6月下旬予定でリリースされるようです。

また、一次試験前には模擬試験も複数公開され、得点率に応じて判定も出ます。私は試験直前にケイゾーラボの模擬問題でB判定で、本番もB判定だったので、その精度は高いと思います。新世界、旧世界の出題割合も本番に近いと感じました。


◇富田葉子先生のWebサイト 『とみわいん.com』資料編
とみわいん.comの資料編のところにたくさんの有益な分かりやすい資料とともに、ミニクイズがあります。個人的な体感ですが、1200問問題集より少し簡単な気がしました。これは8月8日に解いたものです。褒めてもらえたのが嬉しくて、スクリーンショットを残していました(笑) どれも無料でアクセスできるとてもありがたいサイトです。

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◇ほとんど使わなかったけど…ワイン受験.com編
ソムリエ試験関係でおそらく一番ユーザーが多く有名なサイトのワイン受験.com。山崎和夫先生が運営されてるサイトで、山崎先生による丁寧な動画解説やたくさんの問題演習ができることで人気のサイトです。

年会費5000円ほどですべての動画、問題にアクセスでき、得点率などを含めた問題演習の記録も取れて、計画的に徹底的に問題演習ができるサイトです。

ただ私は他の受験生の皆さんが一次試験を受け始めるころに勉強を始めたので、山崎先生の動画内で繰り返される”もう覚えていますよね?””今の時期なら覚えていて当然のポイントです”そんな言葉を聞くたびに、自分のスタートや仕上がりの遅さを痛感するばかりで辛くなり、見るのを止めました…。

あと、ブラウザの問題なのか、私にとっては問題演習後の答えの確認などがやりにくくて、問題演習も使わなくなってしまいました。

受験のタイミングもあり私とは相性が悪かったですが、多くの受験生の方々がこのサイトを使って合格していっているので、もし無料のコーナーの動画や模擬問題を見てみて自分に合いそうだったら、使ってみても良いかもしれません。

ただ、受験.comでA判定が連続で出るまで問題演習を重ねた方たちが、本番では初見の問題が多くて困惑した、本番と傾向が異なった、というような話をインターネット上でも見かけました。なので、問題演習する際は受験.comだけではなく複数のサイトや問題集で行ったほうがベターかもしれません。

▶そのほかの有益なサイト

◇ソムリエ・ワインエキスパート試験に絶対に合格したいアナタへ!
独学で合格を目指す受験生向けに情報発信されているサイトです。独自の手作り資料もたくさん載っており、勉強の仕方などについても記載があります。

私は下記のトレーシングペーパーに地図を書き写す方法を応用させてもらい、各産地や畑の地図を暗記しました。私はA4のトレーシングペーパーを半分に折り下の面に地図を写し取り、重なる上の部分に答えとなる産地や畑の名前を書き、下1枚だと白地図で、重ねたら答えが見えるシートを全産地、畑分だけ作成しました。

アペラシオンが位置する場所や畑の場所を問われる地図問題はいくつか出題されます。勉強期間が足りなかった私は基本的にノートにまとめるなど時間がかかることはせず、教本読み込みと演習を重ねることで知識を固めていきましたが、地図問題に関してはやはり実際に書いてみて、位置関係を整理しなければ覚えられませんでした。

産地や畑の場所を覚える方法としては、例えば白地図を買ってそれに書く、ノートにまとめるなどありますが、白地図買っても複数枚コピーを取らない限り一度書き込んでしまえばおしまいですし、ノートにまとめるのは正確に地図を写しとる自信もなかったですし、そもそも私にはそんな時間がなかったので、上記のトレーシングペーパーに写しとる方法を試みました。

教本に載っている地図をトレーシングペーパーに映しとることによって性格に地理、位置関係を把握できます。

そしてそれを上記に記載した方法で工夫して写しとることにより、白地図バージョンと地名などがかかれているバージョンが1枚のA4シートで完成するので、初めのうちは折った状態で地図と地名を覚え、覚えたと思ったらめくって1枚の白地図バージョンにして空で言えるようにします。これを何度も繰り返す間に自然と産地名が頭に入りました。

この方法なら何度でも1人でも地図問題対策ができますのでとてもおすすめです!

一次試験で何かをきちんと紙にまとめたのは地図問題対策のこのトレーシングペーパーのみです。

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◇ちょっとまじめに試験対策こーざ
私はほとんど使っていませんが、おすすめサイトとしてこーざを激推しする友人が複数名います!


▶最後に

二次試験は、味覚というそれぞれ個人によって異なる感覚を基準に合わせていくという、感覚のすり合わせが必要になるため、スクールに通う、ソムリエの方に特訓してもらう、などの自分軸だけではどうにもならない作業が必要だと個人的には思います。

しかし、一次試験の軸は完全に自分にあります。合格を決めるのは、目の前にある教本や参考書を覚えるか、覚えないか、それに尽きます。

昨年私も途中勉強が辛くて辛くて涙が出たこともありました。でもあの時諦めなくてよかった、頑張ってよかったと、今心の底から思っています。この無謀とも思えるチャレンジのお陰で自分の中の何かが変わった気がしているからです。

膨大な暗記事項に心が折れそうになりますが、どうか合格するポジティブなイメージだけ持ち続けて、勉強をつづけてくださいね。

これから受験する皆様にとっても素敵なチャレンジとなりますように!

長くなりましたが、私の合格体験記がこれから受験される皆様にとって少しでもお役に立てましたなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!