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エピソード

"なんとかなる"
という言葉があります。
この言葉はすごく便利な言葉で、一見前向きな言葉のように思います。
ただ、私はこの言葉を出来るだけ使わないようにしています。
それは、今から6〜7年前私が船舶の免許を取った時の出来事がきっかけになっています。
今回はそのエピソードを少し交えてお話しできたらと思います。
私が漁師になったのが7年前、、当時漁師になり一番最初に巻き込んだ、義理の兄と船舶の免許を取りに行くことになりました。
定置網漁師になり、船が操船出来なければ!と雇用先からの提案で半額免除(今は全額免除)してもらい、船舶の免許の受付をしました。
私の住んでいる島根県松江市では大きく分けて2つの教習施設があり、
一つは昔からある教習回数の多めな少しお高めな施設。
もう一つは新しく出来た自主勉強メインの最低限の教習を行う教習料の安い施設。
私たちは当時は半額は手出しでの免許取得だったため、少しでも安い新しい施設を選択し、教習を受けることにしました。
周りの先輩漁師の方々はみんな古くからの教習施設出身で、私たちが教習を受けるに当たって不安に思っていると、
「大丈夫!大丈夫!船舶の免許は金払ってもらうようなもんだから!心配ないよ!」と励ましてくれました。
その言葉を間に受け私たちは、初教習の間に出された大量の課題、テキストを全くやらず初教習に臨みました。
教習当日、義理兄と施設に着き席に座ると、めちゃくちゃがたいの良い強面の教官から「はい!まず模擬試験します!」と言われ、「テキストやってたら出来るから大丈夫!大丈夫!」と試験用紙を配られました。
"まぁ、マーク試験だから大丈夫か"なんとなくそう思っていました。今思えばこの時、"なんとかなる"と思っていたんだと思います。
すると、二人とも一文字も書けず、しずかーに時間だけが過ぎていき、、
教官が腕組みをし二人の目の前に立ち、
「お前ら絶対受かんねーから、もう帰れ!」
「金返してやるから!今すぐ帰れ!」
ぐうの音も出ず私たちは目を丸くしました。
間違いなく、社会に出て一番怒られた経験だと思います。
続けて教官から
「お前ら"なんとかなる"と思ってただろ!」
「いいか、"なんとかなる"
って思っている事は絶対に
"なんともならない"
からな!」
と机を叩かれながら言われました。
その時走馬灯のように、
過去の"なんとかなる"リストみたいなのが
ぶわぁー!っと出てきて、、
それらを思い返すと、確かにほとんどが
"なんともなってない"と感じました。
あの日の衝撃を今だに覚えています。
間違いなく、今では私のターニングポイントの一つです。
これまでも"なんとかなる"と思ったことは山ほどありますが、その都度
「本当にそうかな?」
「なんとかなるのかな?」
と立ち止まり、考え直したり、工夫をしたり、相談することが出来ています。
それに、物事を良く考えるようになりました。
一見良い言葉に思える
"なんとかなる"
前向きなその言葉に
"意味""考え""理由"
など、中身が入っていれば良いと思います。
ただ、空っぽな言葉には何もないかと思います。
あの日の出来事はこれからも私の中で私の一部として残り続け、私を形成するものとなっていくことだと思います。
あの日、私たちに喝を入れて下さったM教官、本当に感謝しかありません。
みなさんも、何気なく過ぎる日々に自分を変える何かがあるかと思います。
ぜひ、一つでも多く拾って自分の一部にして行って欲しいと思います!

あ、もちろん船舶は喝のおかげもあり、一発合格しました!
ただ、喝を入れられた直後は義理兄と本当に受けるか受けまいか悩み、外に出ました。
あー、良かった。戻って受け直して、、

ではまた。

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