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【活動報告】フェムテック振興議員連盟 第19回総会に出席しました(2024/02/09)

こんにちは。メディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)事務局です。

2024年2月9日(金)に行われた「フェムテック振興議員連盟(以下、議連)」の第19回総会についてご報告いたします。

今回の総会では、2022年12月に当時の加藤勝信厚生労働省大臣に手交した提言の進捗状況について、各省庁にヒアリングを行いました。

はじめに

冒頭に、議連会長である野田聖子議員から、ご挨拶と現在の課題について次のお話がありました。

◎2022年の提言のテーマは「不妊治療を含む妊活を支援することにより、子どもを望む人が希望を実現する社会を目指す」というもの。
今国会では、超党派議連から、第三者から精子・卵子提供をしていくことに関する法案を出す。これまでなかなか目に見えてこなかった出自を知る権利に関する受け皿を国で作ろうとしている。

◎これまでは「フェムテック」と言う言葉を広めてきて、行政にも認識してもらってきた。これからはしっかりと良い規制をかけて、消費者を惑わさないようにしていかなければいけない。
推進と引き締めの両方に取り組み、品格あるフェムテックを作っていくことが必要である

続いて、議連事務局長である宮路拓馬議員から、今回の総会について次のような説明がありました。

◎議連発足当初より、健全なマーケットを作っていくことを旨としていた。発足から3年経って、だいぶ世の中の意識が変わってきた中で、フェムテックが消費者の信頼を落とすようなことがあってはならないと思っている。

◎今回は、第2次提言の振り返り。主に、妊娠出産、不妊治療に関わる分野について当時の加藤厚生労働大臣に提言した。この分野については、不妊治療の新法を制定したり、卵子の凍結保存なども東京都が助成を開始したり、大きく景色が変わってきている。
そうした中で、我々の提言内容がどの程度進捗していっているのか、あるいはどこに課題があるのか等について、関係する省庁からご説明いただく。

議連事務局長の宮路拓馬議員(左)と議連会長の野田聖子議員(右)

続いて、各関係省庁からの報告がありました。

厚労省健康課より

Q. 女性活躍推進法等で事業主行動計画に、女性の健康課題の解決や不妊治療を含む妊活支援に取り組むことについては?

A. 事業主行動計画にこれらの取り組みに関する内容を盛り込み、企業の事例について「働く女性の心と体の応援サイト」に掲載している。

Q. 産業医をはじめとする産業保健スタッフに対し、女性の健康課題に関する知識の向上を推進することについては?

A. 労働者健康安全機構が全国47都道府県に設置をしている産業総合支援センターにおいて、事業所の人事労務担当者や産業医等の産業保健スタッフに向けて女性の課題、健康課題に関する専門的研修を実施している。これは令和4年度から開始しており、今後も引き続き実施していく。

Q. 事業主の一般健診への、女性の健康課題に関する項目の追加、研究検証、普及促進については?

A. 事業主健診の追加について、昨年の12月に有識者の検討会を立ち上げ、これまで2回開催をしたところ。
昨年6月に決定された規制改革も実施計画等を踏まえ、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえて問診項目の検討を行っているところ。労使双方の合意が必要になるので慎重に議論する。
事業主健診等の機会を活用した普及促進について、毎年9月に職場の健康診断強化月間として普及啓発を図っている。また厚生労働省の通知において、乳がん検診や子宮がん検診等定期受診についてリーフレットを活用して周知、ご協力いただくよう促している。

Q. 特定健診において、市町村で行う子宮がん検診、がん検診との同時受診を進めることについては?

A. 特定健診特定保健指導の円滑な実施に向けた手引で、対象者の不便を避けるために同時に取り組むことが重要であるということを記載して推進をしている。その上で保険者インセンティブの仕組みの中でがん検診などと特定検診を一体的に実施しているということを評価している。受診率向上施策ハンドブックの中で、がん検診特定健診の同時受診の勧奨についても紹介している。

Q. 健保組合等における計画の中で女性の健康課題に関する項目を上げるように検討することについては?

A. データヘルス計画の手引きに、女性特有の健康課題などを精査し、それに応じた健康支援という一例を掲載している。

Q. 健康増進法に基づく健康増進事業実施要領で、女性の健康課題に関する項目を盛り込むことができる旨について、市町村への周知啓発を図るという取り組みを推進することについては?

A. 健康増進事業で自治体が行う健康等に関する相談事業等の補助事業を行う中で、女性の健康を守る自治体の取り組みを支援し、関係の所管課長会議等において事業の推進について周知をしている。

Q. 検診結果の通知をする際に健康リスクを具体的に明示することや、健康課題の解決につながる行動に結びつく方策を検討することについては?

A. 健診保健指導の実施すべきプログラムを策定しており、健診結果を通知する際に結果に応じた健康リスクを示すこととしている。
医療保険者が実施する取り組みとして、特定保健指導の実績評価の中でアウトカム指標を導入し、対象者の行動変容が評価をされることにもなった。また行動変容を促す上で、重要な検診後の早期の保健指導も表記の評価項目とした。

Q. 「働く女性の健康応援サイト」に、事業主が女性の健康課題について社員研修する際のコンテンツを開発することについては?

A. 周知活用できるような研修資料や動画を掲載している。

Q. 女性の健康課題について、当事者自ら認識する機会を提供するために、健康状態を評価するツールの開発等を検討することについては?

A. 厚生労働省で公開しているサイト「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」で、健康問題に関するセルフチェックやライフステージごとの健康への対応等について説明したものを掲示している。

Q. 女性の健康課題に関する研究の推進、あるいはそれに対する必要な助成を行うことについては?

A.
女性の特性に応じて様々な更なる研究が必要だと考えており、健康政策を総合的にサポートし、実態を正確に把握した上で、取り組みが進められるように研究を推進しているところ。
更年期障害等について、労働局とも連携をしながら、更年期障害の解明と両立支援開発の研究を令和4年度から実施している。

多くの議員を始め、各省庁関係者も集まり、活発な議論が行われました

経済産業省経済産業政策局より

Q. 新しいフェムテック製品の開発促進、フェムテックに関わる実証事業支援については?

A. フェムテックについて実際どれぐらい効果があるかを実証する事業を、補助金により推進している。今年度で3年目、来年度も予定している。
令和4年度以降は実証事業に参加した企業に、女性自身が自分がフェムテック製品を使ってどれぐらいパフォーマンスが上がったかを把握するような共通の指標を取り入れ、どれぐらいフェムテック製品が有用かというところもデータを取れるようにということで進めている。
企業でフェムテックを福利厚生や施策の一環として導入してもらうため、企業の福利厚生の担当者、人事担当にセミナーを実施している。上記補助金を受けている事業者の方にも来てもらい、製品を手に取れるような交流会も実施。昨年11月から12月に、経済産業省のロビーでフェムテック展示を実施した。

Q. 事業主の取組をなでしこ銘柄などで評価していくことについては?

A. なでしこ銘柄について、今年度の設計の中から共働き、共育てに優れた企業というところを評価項目に加えている。またキャリア形成支援の設問に女性の健康を選択肢として追加。今年3月に選定企業を公表予定。

Q. 省内の職員向けに女性の健康改善の理解促進の研修をすることについては?

A. 職員のヘルスリテラシー向上のための取り組みを勉強会、メルマガ、イントラにおいて実施。また、初任者研修として、産婦人科医に講師をしていただいた。

経済産業省ヘルスケア産業課より

Q. 健康経営による女性の健康課題への対応については?

A. 更年期症状、不妊治療、婦人科系がんによる経済損失などを含め、再試算している。2月中には公表したい。さらに、健康経営調査において女性の健康に関する質問について、設問の認定要件を厳格化している。
実際に企業による支援策としては、婦人科検診・健診への補助が多いが支援割合も増えている。

内閣府より

Q. 職員の初任者研修や管理職員管理職研修において、女性の健康課題に関する研修を実施することについては?

A. 女性の健康に関する地域採用職員向けの研修を4月に、11月から1月に、管理職を含む全体向けの講演も実施。
関係省庁との連携として、昨年度から内閣人事局とは折に触れて、女性の健康経営に関する情報共有をしている。今年度は人事院からも問い合わせがあったので、今回の研修内容等について情報提供した。

こども家庭庁成育局母子保健課より

Q. フェムテック関連の医療機器などを使った不妊治療に関しては?

A. 現在、不妊治療用の医療機器等として承認されているものはない。

質疑応答・意見交換

これらの報告を受けて、出席した国会議員の方々等との間で、下記のような質疑応答、意見交換が行われました。

Q. 成育医療センターに女性の健康ナショナルセンター設立の予算が入っていたと思うが、このセンターにどのような役割を持たせるのか。センターと産業界が連携してフェムテックの発展につながるような絵が描けるのか?

A. (担当課が不在のため)次回以降、回答する。


Q. なでしこ銘柄は上場企業に限られているが、中小企業への広がりをどのように考えるか?

A. 「なでしこ」も「Nextなでしこ」も上場企業が対象だが、健康経営の方は中小企業も対象に健康経営度調査の提出は求めており、中小企業も対象として女性の健康に関する取り組みを進めていければと思っている。現在健康経営を実施する中小企業をどう拡大していくかという議論をしているところ。


Q. 若年女性のヘルスリテラシー向上事業とは具体的にどのような取り組みをしているのか?

A. 国民的な健康づくり運動として進めてきた「健康日本21」においても、女性の健康課題について取り上げてきたところ。周知啓発は国だけで取り組めるものではなく、若い世代にどのように届けるか、良い施策について一緒に考えたい。

最後に、MFCの松本理事長より「不妊治療と仕事との両立ができず離職している人がまだまだいるのが現状。不妊治療が保険適用になって良かった面もあるが、仕事との両立の観点でも解決していことが必要」と意見を述べました。

今回の総会では、第2次提言に対する各省庁の取り組みについて、詳細な進捗状況をヒアリングでき、それに対する質疑応答や意見交換がなされました。

今年度の主なテーマとして議論されてきた、更年期の健康課題に関する政策のあり方については、これから、政府への提言書の具体的な内容を詰めていくことになります。議員の皆さまのご意見や各省庁での取り組みが、より良い提案の形成に繋がることが期待されます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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