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『おもひでぽろぽろ』から成長と体の変化と男女相互理解について考える

こんにちは。産業保健師の小林智美です。

今回の「お題でキャリア!」は時代を映すシネマ・ドラマということで、
かつて母と一緒に見てものすごく居心地の悪い思いをした映画『おもひでぽろぽろ』(1991年公開)を回想しながら、産婦人科看護師、保健師となった今の私が考える「成長と体の変化」についてお伝えしたいと思います。
 
『おもひでぽろぽろ』が公開されたのは、私が小学校高学年のころでした。母が映画に連れて行ってくれるということで、ウキウキした気持ちで映画館に足を運んだことを覚えています。

ところが上映中、とても居心地が悪く、恥ずかしく、その場から立ち去りたい思いになってしまいました。この記憶のため、この映画はそのとき以来一度も見ていません。それだけ私にとって強烈な印象を与えた映画でした。

その理由は、「初潮」を迎える女の子の様子を赤裸々に表現していたからです。

本来、この映画は、一人の女性の成長と、都会で働く女性が田舎に嫁ぐ様子を描いているらしいのですが、私にはその記憶はなく「初潮の映画」としてインプットされているほどです。

当時の私はなぜ、そこまで居心地の悪さを感じたのでしょうか?

気恥ずかしさだけで終わった小学校での「あの日」

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その時代の生理は、タブー視まではされていないものの、恥ずかしいもの/隠すべきものといった風潮が強かったようです。そのせいかはわかりませんが、両親と生理について話をしたことがありませんでした。

また私は、兄と私の二人兄妹で男勝りな性格でしたから、女の子から女性への変化の象徴である生理が恥ずかしかったのかもしれません。

ちょうどその頃、この映画でも描かれているように、小学校で男女別々にわかれ、第二次性徴について説明を受けました。

その時のことは、今でも不思議とよく覚えています。
先生からはとくに説明もなく、男子はあちら、女子はこちらの教室にとわかれさせられ、いきなり体の変化について女性の先生から説明がありました。
いつもは元気なわたしも、どうリアクションしたらよいかわからず、おとなしくしていました。

でも、なぜ男女分かれて説明を受けなければいけなかったのでしょう?

第二次性徴は、染色体異常などがなければ誰にでも訪れるもの。男子に女子の体の変化について知ってもらうこと、女子に男子の体の変化を知ってもらうことは、お互いを理解するためにも必要なことだと思います。

その話には決して性的な視点はありませんし、生物学的な違いをお互いに理解し合う重要な機会であることはいうまでもありません。
お互いがお互いのことを知っていれば、映画にあったような「生理をからかう」「生理をネタにする」事態は避けられるのではないでしょうか?

今からでも男女がお互いを知る努力ができれば

実は、ジブリ作品では、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』のほかにも、『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)や『かぐや姫の物語」(高畑監督)、『千と千尋の神隠し』(宮崎監督)でも初潮や月経を思わせるシーンが盛り込まれています。

ジブリ作品の強いメッセージを感じますね。

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現代の教育の現場では、男女合同で第二次性徴についての授業が行われることが多いとのこと、心底良かったなと思っています。

今、働いている人の中には、子ども時代、男女別々にカラダの変化を学んだ世代の方がたくさんいます。そういった環境で育ったがゆえに、女性性についての理解が十分でないのはいたしかたないのかもしれません。

でも、知るためのきっかけを逃したがために女性への理解が深まらず、女性と共に働く方法がわからない……それはとても残念なこと。

お互いに歩み寄れるようになるには、まずお互いに知ること、理解してもらうことが大切です。
そんな視点から、働く女性を支援するmezameプロジェクトでは、男性対象のセミナーでも、女性のカラダや健康についてのレクチャーがあります。その学びをぜひ、お互いが気持ちよく働くために活かしていただきたいと思っています。

ビジネスパーソンの本懐は、パフォーマンス高く与えられたミッションを遂行すること。気持ちよく働ける環境では、一人ひとりの労働生産性も自ずと高くなりますよね。

作品をきっかけに家庭でも性の話をしてみては?

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さて私事ですが、私には小学生の息子と幼稚園児の娘がいます。

年齢も性別も違うので使う言葉や表現は違いますが、「生理がなぜあるのか?」ということはもちろん、これから成長したら起きるであろうカラダの変化などについても伝えています。

生理の話から、性交渉・妊娠・出産、ときにはLGBTや性にまつわるステレオタイプ(アンコンシャスバイアス)の指摘、そして性犯罪や性被害までさまざまな話題を取り入れ、日頃から“性”を話題にするよう心がけています。

まだまだ幼いわが子たちが、今後どのような悩みを抱え、成長を見せるのかはわかりませんが、これからも性にまつわる話を自然にできる関係になりたい。そして、男女の違いを理解し、共に生きることのできる大人になってほしいと願っています。

■ 文/小林智美(こばやし・ともみ)
産業保健師、メンタルケア心理士、アンガマネージメントコンサルタント叱り方トレーナー


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