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ついにあのアプリが機能停止されたらしい

※以下COVID-19に関係する内容が含まれます

今月13日、ついにあのアプリが機能停止されるというニュースが流れてきました。COCOAです。
碌に動作しないことからすこぶる評判の悪かったアプリですが、海外から日本へ一時帰国する際にはMySOSというもう一つのアプリと一緒にインストールが義務付けられており、海外在留邦人からは特に嫌われていました。

全数把握の限界

COCOAは政府が運用する接触確認アプリで、位置情報を利用することでCOVID-19陽性者との接触を検知し利用者に通知するというものでした。そもそも陽性となった人がこのアプリをインストールしていないと意味ないだけでなく、アプリ自体も不具合によりきちんと動作しないということが度々指摘されてきました。
私も一時帰国した際、近くの席の方がCOVID-19陽性となったのですが、COCOAからは通知がありませんでした。これはMySOSという別の政府系アプリから通知があったからCOCOAでは通知しないという仕様であったのかは定かではありませんが、過去の悪評からもただの不具合であったと推測しています。

MySOS濃厚接触通


そんなCOCOAですが開発当初の目的は陽性者とその濃厚接触者の全数把握にあったようです。感染者と濃厚接触者を文字通りすべて把握し、隔離するなどの適切な措置をとるというものですが、政府の感染症対策方針変更に伴いCOCOAはお役御免となりました。


筏の譬え

仏教の教えの一つに筏の譬えというものがあるそうです。ざっくり説明すると以下のようなものです。
あるとき旅人一行が大河に出くわします。どうしてもその河を渡る必要があった旅人は付近の草木を合わせて筏を作って渡るのですが、渡りきった後に残った筏をどうしようかと悩みます。即ち旅を続けるにあたって、大河を渡るのに大変役にたったこの筏を担いで旅を続けるべきなのか、それとも河やその岸辺に打ち捨てておくべきなのかということです。
この教えは有用なものはきちんとそれにあった使い方をするべきだという教えです。お釈迦様は弟子たちに、たとえ自分の言葉であってもそれを適切に用い、ときには捨てることも必要だと説いたのです。

COCOAという筏

COCOAというアプリが全数検査を目的に開発されたという話は上述した通りですが、これは仏教の教えにある筏にあたるものでしょう。パンデミックの初期において全数把握と隔離を行うことは確かに有用かもしれません。しかし、日に数千、数万という感染者が出るようになってからは陽性者と濃厚接触者をすべて把握し、その全てを適切に隔離するというのは現実的に不可能だと容易に想像が付くでしょう。
欧米のようなやり方に無条件に賛同する訳ではありません。COVID-19の症状を軽視している訳ではありません。ましてや病床がひっ迫している現状があることも分かっています。しかし、今ここに至るまで筏を捨てるという選択が出来なかったのは少し遅すぎやしないかと思います。

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