あれは結婚じゃなかった。

もう2年も前のことになるが、当時結婚しようと思った相手がいた。
婚約して、お互いの家との挨拶も済ませて、式場まで決めていた。
もうこのことが頭の中に浮かんでくることなんて滅多になくなったのだが、
インドから帰ってきて、東京での自主隔離を終えて、実家に戻ってきて、久しぶりに思い出した。一体どうしてこのタイミングでそんなものをわざわざ私の目につく場所に捨てたのかは分からないが、ウェディングドレスのカタログが一番上になって他の雑誌と一緒に束ねられていた。

あの時、結婚していたら、もう結婚して1年以上経っているのかとか、
もしかしたら子供がいたかもしれないなとかそんなことを考える。
こんな風に書くと、悲しい思い出みたいに見えてしまうが、
私にとって今やもう悲しい思い出でもなんでもない。
確かに、婚約解消をしてしばらくは涙が止まらないし、気持ちが沈む限界みたいな底を感じたようなそんな気持ちだった。
だけど、私はあの時結婚しない運命だったんだと心から今は思う。

やりたいことがまだまだあるし、行きたい場所もまだまだある。
まだ家庭に落ち着くには早すぎたんだ。

当時はむしろ、やりたいことがたくさんある。だから、さっさと結婚して、子供産んで、出来るだけ若くして老後を迎えて、やりたいことをたくさんしようと思っていた。
相手を愛しているから、とか、一緒にいたいからとかそんな理由ではなくて、
結局私は、結婚をタスクの一つとして考えていたんだと思う。
相手は極めてロマンチックな方だったので、そんな私の魂胆が嫌だったんだろうな。

「欲しいものは全部、絶対手に入れる」
これが私の生きるモットーみたいなものだったけど、誰かと一緒に生きていきたいのなら分け合うことも、妥協をすることも必要なんだろうし、
これではまだまだ誰かと一緒に生きるなんてずっと先のことだろうななんて思う。

誰かを愛したり、思いやったりできるようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

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