不毛会議 #45
「あれはさ、パルパルオリンピックがあった翌年だったから
確か…………………………………………………(この五分間、アズナブルは目を閉じ両手で空を斬りながら何かを思い出そうとしている)……………………………………………………………………………………何の話だっけ?」
「知らんがな」
と言う話。
吉本新喜劇ならズルっと倒れたり。
全員椅子から滑り落ちたりする名場面だろう。
ある者は「何でやねん!」と突っ込み。
ある者は「こっちのセリフじゃ!」と地団駄を踏む。
お客さんは待ってましたとばかりに歓喜する定番ギャグの1シーン。
しかし
誰もコケない。
誰も突っ込まない。
歓客は期待してない。
客なんかいないのだ。
なぜかって?
外の扉に吉本興業って書いてあったか?
看板なんか出てないだろ?
何でかわかるかい?
ここは吉本興業なんかじゃない。
ただの会議室だからだよ。
ここは会議室。
1枚の重厚な木製の天板のテーブル。
それを囲むスタッフとアズナブル。
この会議の議題は聞かされていない。
急に召集がかかり集められた面々。
理由の説明も無くアズナブルが話はじめる。
唐突になんでも始まるのだ。
過去の成功体験話が好きだったアズナブル。
この日は
「革ジャンを船便で輸入したら、輸送中にカビが生えた。
けど納品してやった。
お客さんにブチ切れられたからブチ切れ返したけど返品受けとった。
仕方なくカビをとる為にヤスリで削ったらビンテージ加工の様になってバカ売れ」
というハリーポッターシリーズ(魔術のようなと言う意味で)の話をしてる途中に起こった発言。
それは唐突に起こる。
ある意味、天災の領域だ。
ちなみにパルパルオリンピックとは1988ソウル五輪の事。
つづく
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