不毛

不毛会議 #20

「やっと来た(怒)」

新人スタッフを館内放送で呼び出し、1分以内で参上したにもかかわらず発言。

しかも呆れ顔。
彼にとって言葉とは意思疎通や情報伝達以外の使い方があるようだ。

それは、出会い頭から理不尽な言葉を投げることで相手が怯んだり、回顧したり、読みが外れて計算しなおしたりという相手の先手を奪う戦術だ。

社内でも一瞬たりとも気を抜いてはいけない。我々は竜王戦を戦う棋士なのだ。お茶の飲み方ひとつで番狂せが起こる心理戦だ。

だからどんなものでも値段を聞いたら「高っけーな!」と大げさに驚くこと。それが例え缶ジュース10円だったとしてもだ。
暗算は即座にできるようにし、値引率、原価率、利益率のロジックで詰められないようにすること。
世の中の値段や納期を鵜呑みにするな。奴らは儲ける気満々で安い原価を如何にボッタクルか?しか考えていない。

これに疎いとアズナブルが繰り出す第一の手「相手に悪いと怯ませる」つまり「やっと来た」の術中にまんまと引っかかって後手を踏みロジック戦でもひっくり返せない。いや、すでに心理戦でやられてしまうのである。

その一番の犠牲者はこの会社の宅配便の法人担当営業だったと記憶している。法外な契約を結ばされた宅配業者は毎日膨大な量を出荷していた。彼らからこの会社を白いダンボールにちなみ「白い悪魔」と呼んでいたとかいないとか。

つづく

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