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シナリオ上達の早道:8シーケンスで脚色を考える

さて、物語分析で説明した映画の法則、8シークエンスを覚えてらっしゃるでしょうか?
是非、これに照らし合わせて…と言いたい所ですが、8シークエンスはあくまで1時間半〜2時間半の映画の基本です。

ここでは、短編映画10〜30分想定のシナリオを書く事を目的としたいので、起承転結で説明していこうと思います。

もし、自分の選んだ短編小説がどうしても起承転結に当てはまらない時は8シークエンスの物語分析を参考に、シークエンスを増やしたり、減らしたりしてみましょう。

では、まず『起承転結』を知りましょう。

なぜ、起承転結が重要となのか?
『起承転結』は物語を面白くする為の基本です。

●起→物語の導入部。どんな登場人物が居るか、どんな世界、時代に住んでいるのか、登場人物の関係性など、物語を理解する上で重要な情報を紹介する部分。

承→「起」で紹介した内容をさらに進めて理解を促し、次の「転」へつなぐ為の役割をもっています。
「起」に比べ、より興味深い内容の提示となります。

転→物語の核となる部分。『山場』とも言います。物語が1番盛り上がりをみせ、かつ最も大きな転換点を見せる部分となります。

結→「転」での結末が最終的にどうなったのかを締めくくる部分。
「オチ」とも呼ばれます。

これを知っていれば、情報の取捨が容易に出来ます。
本来、原作物の映画は多かれ少なかれ省略が入ります。1番の理由は『尺』と呼ばれる時間制限。普通の単行本ですら、まともに全て映像化していたら2時間程度では収まらないです。また映像的に面白くなりそうでない部分なども省いて行きます。
その省く作業ですが、何でも省けば言い訳ではありません。

物語の各パートで何が1番重要な情報なのかをきちんと把握した上で、それをシナリオに残して行かなければなりません。または、それがシナリオ上で面白くなる様に時には『作り替える』などといった作業も必要になります。そういった時、目的を見失わない為にも、物語をきちんと把握する事が大切なのです。

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さて、この小説の起承転結を見て行きましょう。すこし、短すぎますが、きちんと起承転結があります。また解釈の幅が広いのですが、脚色する上でそれぞれの部分の大事な情報も定義していきます。(前回定義した設定も含めます)

①物語の導入。物語の舞台と雰囲気を示しています。
→広い部屋に狂人たちが居る事。その光景が憂鬱で異様である事を伝えねばならない。

②それを受けて、より興味深い事実の提示。『母親も彼らと同じようだった』ことが知らされます。
→どのように、母親が彼らと似ているかを提示。

③場所移動による転換。得体の知れない物と遭遇。
→母親がどのような姿になるのか。
それを目の当たりにした主人公の心の動き。

④結末。何も無いようで、なにかそこにあっただろう証を見つける。
→母親の存在と重ねている。母親がいたであろう、確かな証であると主人公が発見する。

このように設定してみます。
太字の部分はそれぞれのパートで
『もっとも表さねばならない指針』=『物語の骨組み』となります。これを基に脚色作業をしていきます。作業中は「自分が今何を表現しているのか分からない」という状態に陥る時が多々あります。その時は、始めに決めた、この起承転結にそった内容になっているか、その都度確認していきましょう。

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