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俳優演出-【トランプ・ウォーミングアップ法 】指導のコツ

【トランプ・ウォーミングアップ法 / 指導のコツ①】

さて、前回紹介したウォーミングアップ法ですが、重要なのは監督がきちんと指導できるか。このウォーミングアップ法は監督側の指導の練習としてもの側面がある事も覚えておいて下さい。

ギャップの自覚と改善法

何度も言うように、演じる側と見る側にはギャップが存在します。
Aの演技が必要で、役者本人もAを演じているはずなのに、観客にはJにしか見えない。
また逆に2の演技が必要なのに、6の演技にしか見えない。
演技で重要なのは観客にとってAの演技に見える事です。本人の心理状況や思考は関係ありません。

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その為に必要なのが基準を設ける事です。
俳優同士、監督同士、観客との間に共通の基準が必要なのです。

このウォーミングアップ法の場合、A~2のまん中、7が平均の強さ=基準となります。役者は7より強いか / 弱いかで自分のステータスを表現すれば良いのです。

ここで重要なのが【自分の中での7ではなく、共通の7を演じる事】
全ての俳優が7の演技をする時に同じように見えなければならないのです。

もしそれぞれの役者がステータスを当てる事が出来ず、上手くいかなかった場合は、共通の7を設定していきます。

まずは全員に7を演じさせます。

「今から1人ずつ順番に渡す札の演技をしてもらいます。」と他の人には分からないように演じる役者に7の札を渡していきます。
この時大事なのが、複数の札からたまたま7を選んだように思わせる事です。

他の人は観客になりステータスを考えます。そして、なぜそう思ったのかもメモさせます。

それを人数分繰り返します。

全員終われば答え合わせです。
1人ずつ順番に解答合わせをしていきましょう。
(この時点では全員が7を演じた事を知っているのはあなただけです。)
この時、必ず他の役者にも感想を聞いて分析します。
「この人のステータスは何番にみえたか?」から始まり、
「それはなぜ?」と理由を聞いてから、その人が演じたのが7である事を明かしましょう。
7に見えなければ「それは何故か?」と同じように観客に質問していきます。

そうして、答え合わせを進めるうちに役者達は全員が7を演じていた事に気がつくでしょう。
そして、全員が同じ数字のステータスを演じたにもかかわらず、見え方が違う事にも気がつきます。

このギャップの認識が大事なのです。

ギャップを認識した所で、修正をしていきます。

ある役者にとって普通の状態が10の強さだった場合は、その役者には普段より弱い状態が7を演じる為に必要だと認識させます。逆の場合の然り。

この時、役に立つのが強弱のパーセンテージ指示。
「あと30%弱く」や「15%程強く」
というような言い方をします。

この指示を繰り返して、微調整していきます。そして、その人にとっての7をきちんと設定していきます。これを、人数分繰り返します。

7がきちんと設定されれば、あとはどのように強弱をつけて他のステータスを演じるか。
Aが100%、7が50%、2が1%なら、自ずとその間の数字のステータスが見えてきます。
その事もきちんと、説明してあげましょう。

基準の設定と、自分の中で基準を演じるのに必要な設定が分かれば成功です。

これを、終えた後、また最初っからトランプ・ウォーミングアップ法を試しましょう。
おそらく正解率がグンと上がります。


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