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世界が終るまでは…

子どもの頃、父が運転する車ではいつも音楽がかかっていた。

今でこそドライブ中の音楽は、スマホの中の曲をBluetoothで~だと思うが、
当時はCDか、好きな曲をまとめて録音したカセットテープが主流だったように思う。

父のカセットテープは基本的には洋楽が中心。
結構マメで、タイトルシールもサインペンでレタリングされていた。
ビートルズ、ヴァンヘイレン、クランプトン、ボンジョビ、ベイ・シティ・ローラーズなど。
そのラインナップも、記憶をたどって今書いているけれど、当時幼稚園・小学生の私には、誰の何ていう曲なんて全く知らず、
何となく耳コピしたまま、車に乗っていないときも頭の中に謎の空耳として残っていた。

本当に何もわかっていなさすぎて、エリック・クラプトンの「愛しのレイラ」のサビ、
“Layla,you've got me on my knees”は『レイラ、104万人』だと思っていたし、
(でもそう思って聞いたら『ひゃっくよんまんに~ん』って聞こえるから聞いてみて笑)、
ベイ・シティ・ローラーズの「サタデイ・ナイト」に関しては、
『セロリナイ♪セロイナイ♪』と空耳ノリノリのまま階段で転んで、舌を嚙みそうになったという記憶もある。

無茶苦茶だ。

子ども心に、父のカセットテープコレクションはかっこいいなぁと思っていたし、
かかる曲によって車の中の空気が変わっていくのも好きだった。

そんな中、自分にも好きな曲ができた。

当時絶大な人気があったテレビアニメ「スラムダンク」のエンディングテーマ、

WANDSの「世界が終るまでは…」。

確か土曜の夕方に放送されていて、父と母と3人で毎週楽しみに見ていた。

母は大黒摩季が好きで、同じくエンディングの「あなただけ見つめてる」のアルバムを持っていたのが羨ましかったのもある。

私も自分だけの曲が欲しくて、家の近くにはないCD屋さんに連れて行ってもらい、念願の初めてのCDを手に入れた。

それから私はことあるごとに、車の中で自分だけのCDをかけてもらった。

好きなアニメのエンディングだったというだけでなく、曲も歌もかっこよくて、
車の中でかかることが、何となく誇らしくて、嬉しかった。


当時はまぁまぁの田舎に住んでいたので、どこへ行くにも車は欠かせず、
小さいときからいろんな音楽に触れさせてもらえたのは有難いなぁと思う。

現在の私は、市の中心部まで電車で10分弱のところに居を構えており、よっぽどのことがない限り、引っ越しもしないし、車も持たないだろう。

もし子供が生まれたら、初めて買ったCDに誇らしさを感じる、こんな経験をさせてあげることができるだろうか。

ふとそんな気持ちになった。


【余談】
肝心のスラムダンクのアニメは、インターハイ出場を目前に終了し、翌週から部長刑事が始まりました。何故…

#はじめて買ったCD


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