2020年1月に読んだ本まとめ

2020年1月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


宮澤伊織「裏世界ピクニック4 裏世界夜行」

今までは、そうは言っても仲の良い女友達の域は出ていなかった空魚と鳥子でしたが、今巻ではいよいよ百合っぽさが全面に押し出されてきて……。
その関係の緩やかな変化に完全に戸惑いながらも一緒に居続けるふたりの空気感がとても良かったと思います。
鳥子がおっぱいがどうとか言い出したときには、この女どうなることかと思いましたが……。
前巻までのようなハードさが少し薄れて、ふたりの日常と、ふとしたきっかけで襲いかかるホラーの両面が楽しめる構成でおもしろかったです。
文章だけなのにゾクッとさせられる演出力は、本当に読んでいて楽しい。


深見真「僕の学校の暗殺部」

人間社会に仇なす存在「いるか人間」を秘密裏に屠るための部活動「暗殺部」の物語。
暗殺という物々しい言葉の入ったタイトルの通り、ストーリーが進むにつれてどんどん人が殺されていきます。
まるでおもちゃのように些細な理由で人が死んでいきます。
けれど読後感としてはその『人の死』の、何物にも変えることのできない重さを、はっきりと体感しているのだからよくできた作品だと思います。
1冊をかけてプロローグと、とても大きな喪失感を描ききった感じでした。
バイオレンスと青春のミックスといった感じの作品です。


西尾維新「業物語」

オフシーズン2冊目は、キスショットの過去編、火憐の自分探し、羽川の忍野探しの道中の物語。
どれも読み応えのあるエピソードでおもしろかったです。
「あせろらボナペティ」は今のあのキスショットが形作られるまでに何があったのか、なぜ吸血鬼になったのか、という彼女の出自を補完する物語でした。
物語の語り部となるスーサイドマスターの語り口が軽快でおもしろく、最後にあっと驚かされる仕掛けもあって、非常におもしろかったです。
「かれんオウガ」は自分自身を見つめるために山ごもりをする火憐ちゃんのお話。
全体的にコメディ仕立てな中で、物語の核心で描かれるポイントはハッと胸を突くものでした。
おもしろく笑いながら読み進めていただけに、その衝撃もひとしおでした。


福山陽士「1LDK、そして2JK。 〜26歳サラリーマン、女子高生二人と同居始めました〜」

独り暮らしのサラリーマンが、母親の失踪した親戚のJKと家出JKと同居を始める話。
自宅に転がり込んでくる2人のJKヒロインがどちらも可愛らしくて、読んでて楽しかったです。
特に奏音はギャルっぽい見た目なのに料理上手で、胸も大きいし可愛いしどストライクでしたね……。
ストーリーはあまり一気に進むことはなく、のんびりとほのぼのとしたJKたちとの日常を楽しむ感じの作品です。
奏音もひまりも身上関連は明かされていない部分も多いので、今後の展開に期待です。
ちらちらお色気ハプニングもありつつ……


川原礫「ソードアート・オンライン12 アリシゼーション・ライジング」

キリトが《アンダーワールド》に閉じ込められてから、2年が経過。
最初の100ページほどをたっぷりと使って カーディナルによる世界観の解説、そしてキリトの目指すべき終着点が語られます。
そして物語は全百層のセントラル・カセドラルを、整合騎士を打ち倒しながら駆け上がるバトル展開へ。
次々と登場する強敵を薙ぎ払い突き進むキリトは、SAOの頃を彷彿とさせるほどでした。
ファナティオがかなり良いキャラをしていたので、このままフェードアウトさせるには惜しいなと。
次巻の展開が気になる幕引きで、次へ!


歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

ウオー、すげえこれ! 何だこれは! という読後感でした。
元探偵見習いの主人公がひょんなことから霊感商法の調査を依頼されるというストーリーなんですが、物語の風呂敷がどんどん大きく広げられていく中、クライマックスで一気にひとつに畳まれて「いや凄っ!」となりました。
登場人物たちの軽妙なやり取りが読んでいて楽しく、1ページ1ページが楽しかったです。
あちこち遊び回る綾乃がいいキャラをしてて気に入りました。
最後の将虎の言葉も勇気づけられます。
読み終えてから改めてタイトルを見てみると、良いタイトルつけたなあと思いますね。


西尾維新「掟上今日子の遺言書」

今回は飛び降り自殺を図った少女の遺言書がテーマの1冊。
セーラー服の今日子さんが印象的な表紙ですが、まさかそんなかたちでセーラー服が登場するとは……。
遺言書に書き残された自殺の理由の違和感を突き止めるのが物語の大筋となりますが、今日子さんの個性的な物言いや厄介たちとのやり取りが読んでて楽しい1冊でした。
シンプルな内容をうまく楽しめる形で1冊のボリュームに仕立て上げてる感覚は、このシリーズならでは、西尾維新さんらしさみたいなところは感じますね。
厄介とのコンビは好きなので、この2人で調査をしてる今作はお気に入り。


石原雄「世界の終わりに柴犬と」

もともとTwitterで読んでいて好きだった作品。
なぜか人間の滅んだ世界でたった1人の生き残りであるご主人と、柴犬のハルによる旅の物語。
4コマ形式で描かれるストーリーは、犬が喋ってたり、当たり前みたいな顔して宇宙人がいたりと、自由な世界観。
だからこそそんなゆるい空気の中で描かれる平穏な旅路は、いつまでも見ていたい魅力があります。
海で全裸で泳ごうとするシーンはかなりの眼福でした。
ご主人、もっとひと目を気にせずサービスシーンをください……!


谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 第13巻」

舞浜の遊園地での遠足がメインの回。
人間関係がまたしても、大きく動くわ動くわ……。
ネモが可愛いけどかなり怖かったです。茜への想いが……。
あとここまでまだ出番の少ない加藤さんですが、シンプルに可愛いというか、母性や包容力がとんでもないことになっててかなり興味惹かれてますね……。
もこっちがかなりあちこちに(意図的でないにしろ)八方美人状態になってて、「なるほどこうやって強固なもこっちハーレムができていったのか……」と唸りました。
吉田さんがずっと嬉しそうにしてて良かったです。めちゃ喧嘩してたけど……。


三河ごーすと「友達の妹が俺にだけウザい」

極度の効率主義者である主人公が、今風JKにウザ絡みされたり、塩対応の従姉妹のニセ彼氏として付き合ったりする話。
可愛らしく魅力的なキャラクターたちの楽しげなやり取りは、読んでいて楽しかったです。
各キャラクターそれぞれ背景に色々ありそうで、その辺りも今後どのように描かれるのかに期待したいですね。
タイトルや表紙にあるようなウザい友達の妹、の可愛さを期待して読み始めたのですが、実際のところはウザい成分はかなり控えめで、どころか塩対応の従姉妹の方がメインだったのでそこはちょっと肩透かしでしたね〜。
まだ彩羽や乙馬関連では明かされていないエピソードが多い一方で、彩羽の感情だけはあっさり明確にされてしまっていて、その上で彩羽のウザさを堪能できるシーン自体は短かったので……。
真白は真白で可愛かったし、彩羽の見せ場もあったのは良かったです。
正直なところ続刊ありきの構成だと思いますし、そういう意味でウザい妹をタイトルに冠してる以上はどうしても彩羽の可愛さやウザさに期待してしまうので、話の動き始めた次巻以降でどう転んでいくかに期待していきたいですね。