2022年9月に読んだ本まとめ

2022年9月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。

伊坂幸太郎「PK」

これめちゃめちゃSF小説でした。
「PK」「超人」「密使」の3つの短編があり、それぞれはお話が独立しているものの、共通したキーワードがあったりと繋がりもある。
違和感のようなものを覚えながら読み進めていき、「密使」で3つの物語がひとつにまとまったのはとても感動しました。
視点や時系列がコロコロ変わるうえに物語同士の繋がりも薄っすらとほのめかされる程度のものも多く、読んでいてかなり頭を使いました。
そのぶん気づいた繋がりにハッとさせられたりと、おもしろい作品です。
「PK」の秘書官が、謎めいていて好きでしたね……


八目迷「琥珀の秋、0秒の旅」

まず俺はヤンキーヒロインが好きです。
プリンみたいな金髪にスタジャン羽織った乱暴な口調のヒロイン井熊がかわいい時点で大勝利。
そんな不良かわいい井熊と、なぜか時間の止まってしまった世界で、北海道の函館から東京まで徒歩で旅をする。楽しくないわけがないですね。
最初は堅実に東京を目指していたふたりが、だんだんと時間の止まった世界に慣れていって寄り道したり遊んだりしてイチャついてる様子がとても楽しいです。
誰にも邪魔されないこの旅が終わらなければいいのに、と強く思いました。
結末はあっけなく訪れるけれど、そのあっけなさもまた人生らしくて、最後までずっと好きな作品でした。
本当に……物語が終わってもこれからもずっと井熊と旅をしてほしい……。


日向夏「薬屋のひとりごと」

薬の知識を持つ娘が、その知識で後宮を舞台に様々な事件を解決する話。
ミステリとしてはかなりあっさりとしたタイプです。
好奇心が強く無愛想な猫猫(マオマオ)の個性がおもしろく、無自覚的に色々かき回してしまう様子は読んでいて楽しかったですね。
事件のひとつひとつは小さいながら、色々な事件が絡み合ってクライマックスへと進んでいく構成はとてもうまいなと。
猫猫と侍女たちとのやり合いもおもしろく、玉葉妃に仕える紅娘や三人娘は気の良いメンバーで好ましかったです


知念実希人「天久鷹央の事件カルテ 生命の略奪者」

今回のテーマは脳死判定による臓器移植。
本来助かるはずだった生命を奪っている今回の事件の犯人には、読んでいてかなりの憤りを覚えました。
臓器移植への考え方や捉え方が人や宗教観によって変わるという点は、一度しっかり考えるべきテーマかなとも思いました。
一連の事件の謎の構成がうまく、ミステリとしても読み物としても秀逸でした。
鷹央の成長が随所で感じられて良かったです。
いつになく協力的な成瀬刑事なのに、なかなかどうして報われないのがかわいそう……。
とてもシリアスな場面なのにメイド服を着てる鴻ノ池がかわいかったです


米澤穂信「Iの悲劇」

住民のいなくなった寒村を蘇らせるIターンプロジェクトにまつわるミステリ。
簑石にやってきた住人たちは悪い意味で個性があり、様々なトラブルが起こる一方で、市役所側も何を要望されても予算が無くて何もできない辺りが妙にリアル。
解決してもなんとも後味の悪いエピソードが多い中、どうにか簑石を良くしようと奔走する万願寺の語りは読みやすくてよかったです。
人懐っこい後輩の観山がかわいくて、物語の清涼剤になっていました。
そんなまさかなオチが待つ「浅い池」と、微笑ましいエピソードが一気に崩壊する「重い本」が個人的に好きでした。


今村昌弘「魔眼の匣の殺人」

屍人荘の続編ということで、一筋縄にはいかないミステリだとは思っていましたが……なるほど今回も特異な舞台背景を生かした作品でおもしろかったです。
未来視による死の予告が推理の取っ掛かりにすらなる変わり種のミステリですが、クライマックスで大きな驚きも待ち構えており、素晴らしい構成でした。
探偵役の剣崎比留子がかわいいのも、このシリーズの大きな魅力ですね。
気難しい教授の師々田は第一印象があまり良くなかったのですが、誰にも等しく厳しくあり、息子を大事にしており、やや抜けたところもあるかわいいおじさんで良かったです。


原作:のりしろちゃん、作画:魚住さかな「オタクに優しいギャルはいない!? 第2巻」

オタクに優しい黒ギャルと、隠れオタクの白ギャル、ふたりと仲良くなったオタクくんの日常が一気に華やかに。
ギャルのヒロインふたりがずっとかわいいし、優しいを通り越して好き好き全開になってきてたまんないです。
いっしょにB級映画観て笑い合える伊地知さんも、電車の中でうっかり家族になってしまった天音さんもめちゃくちゃかわいかったです……。
それにしても天音さんは本当に顔がいい……。伊地知さんは胸がとっても大きい……。これヒロインひとりを選ぶの無理では。


夏海公司「はじまりの町がはじまらない」

サービス終了間近のMMORPGのNPCが自我を持ち、世界の終了を避けるためにプレイヤーを増やすべく奔走するお話。
なるほど発想からおもしろく、設定から期待する通りの物語が読めて楽しかったです。
最後の最後には大きな驚きも待ち受けていて、SFとしての完成度の高い、非常におもしろい作品でした。
壮大なオチを読めただけでもかなり価値のある1冊だったと思います。
ヒロインであり様々な奇策を打ち出す町長秘書のパブリナがかわいかったです。
やはり毒舌クールビューティーの仕事のできる女はかっこいい&かわいい。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/琥珀の秋、0秒の旅

第2位/Iの悲劇

第3位/魔眼の匣の殺人

第4位/天久鷹央の事件カルテ 生命の略奪者

第5位/薬屋のひとりごと