2023年1月に読んだ本まとめ

2023年1月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


雨川透子「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する2」

目の前に立ちふさがる様々な困難を、ループで得た知識を糧にして突破していく物語がとてもおもしろいです。
一筋縄にはいかない状況を、特殊な知識を用いて、さらに発想を飛躍させて突破していく、かなり理想的な物語作りをしています。
続きが気になってドキドキ読める、良作でした。ラブコメとしてもアルノルトがリーシェに(意識的にしろ無意識的にしろ)順調に籠絡されていて良かったです。
リーシェが男装して兵の訓練に紛れ込んだりと、突飛もない行動をするのが飽きさせずおもしろかったです。


赤金武蔵「拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。」

誤解させる気満々のタイトルですが、結果的に身体的接触の多い“添い寝フレンド(ソフレ)”なので、お色気シーンが多いことには変わりません。
ヒロインの清坂純夏がかなり主人公に甘えまくっていて、かわいいです。
物語本筋と関係あるのか無いのか、ヒロインが非常に多い。
その上でどのヒロインも可愛くお色気的な見せ場があるのが良かったです。
ストーリー的にはこの1冊ではまとまっておらず、純夏の家庭事情なども不明なままなので続刊ありきなのかなとは……。
主人公が普通にイケメン設定なので、性格いいしそりゃモテるよ。


石田灯葉「宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。」

とても好きな作品でした。
音楽×青春って感じの作品で、かなり読みやすくてよかったです。
音楽ネタと関係ない日常ラブコメのパートも多めなんですが、そこ含めて『日常』に着地する構成が上手くてよかったです。
天然美少女に、頼れる姉御肌、無愛想だけどデレが多めに漏れてる幼馴染、愛に生きるギャルとヒロインのレベルが全体的に高いのも嬉しいですね。
個人的にはいちいち幼馴染マウント取ってくるさこはすが好きでした。
読み終わったあと、作中曲を前田佳織里さんが歌ってる動画を見て、二度楽しめました。


伊藤ヒロ「異世界誕生 2006」

トラックに轢かれこの世を去った息子のタカシを、『異世界に行った』という設定で小説を書く母親の物語。
異世界転生ネタのド定番な設定の背景に、この世に残された遺族や加害者たちの苦悩を強烈に描いています。
それだけに留まらず、タカシの死の隠された事実や、フミエの小説を取り巻く環境など、次々状況が移り変わっていく展開のおもしろさもありました。
現代日本が舞台なのに、本当に波乱万丈の異世界ファンタジーを読んだかのような読後感です。
読み終えてから振り返ると、口絵で騎士シャルナの谷間がガッツリ描かれてるの、趣深い……。


倉知淳「日曜の夜は出たくない」

凄〜! 飄々した猫丸先輩なる男を探偵役とする、ミステリ短編連作。
収録作品のテイストがそれぞれ違っているので個人的には当たり外れを感じつつも、読み終えた感覚としてはかなりおもしろかったです。
語り部のおじさんが慌てふためく様子がちょっとかわいい「生首幽霊」と、おどろおどろしい雰囲気から期待通りに収束させた「日曜の夜は出たくない」が好きでした。
全体的にトリックにやや取ってつけたような感覚はあり、その点は残念です。
しかし「そんなのわかるわけないだろ!」という仕掛けでも、こうも巧妙に仕組まれてると脱帽する他ありませんでした。


川原礫「デモンズ・クレスト1 現実∽侵食」

ゲームの世界が現実に侵食してきたかなような設定で、早々にクラスメイトが殺されてしまうなど重たい雰囲気の作品でした。
まだまだ1巻ということもあり隠された謎も非常に多く、1冊使ってようやく物語が開幕した、という印象です。
ひとクラスぶんの小学生が巻き込まれているだけあって人間関係も一筋縄にはいかず、明確にユウマたちの足を引っ張ってくる悪意あるクラスメイトがいたりしてしんどかったですね……。
現実のはずなのにゲーム世界のようなバトル展開はおもしろく、惹き込まれました。
堀口悠紀子さんのイラストがかなり良かったです。


「アイドルマスター シャイニーカラーズ シナリオブック」

シャニマスの各ユニットの初イベントシナリオを収録した1冊。
セリフとト書きに加えて背景やSEの指示もあるので、シャニマスをプレイしたことがあれば画面を脳内再生しつつ読むこともできます。
初期実装の4組は比較的スタンダードで短いシナリオですが、追加実装の3組はそれぞれ挑戦的なコンセプトのユニットであることを示すかのように雰囲気もボリュームも見所満載。
アンティーカがみんなで力を合わせて“アンティーカ”を作っていくエピソード、良かったです。
明確にバチバチだったストレイライトのシナリオ、やっぱり最高〜になりました。
ノクチルの天塵とシーズのノー・カラットは「このユニット、なんかヤバいぞ」と思わせる迫力があって良かったです。
シーズに至ってはこのあとのエピソード気になりすぎるので……。
どうなるんですか、シーズ? あとルカ……?


水鏡月聖「僕らは『読み』を間違える」

あらすじや帯ではミステリーとの触れ込みでしたが、個人的にはこれは、少年少女たちのいろんな思惑が交錯して、互いに傷つけ合うかたちになってしまった青春小説、という印象です。
一応謎解きのようなくだりもあるけれど、作品の主題はそこではないと思いましたので……。
個人的にすごく好みの文学少女然としたヒロインたちが『読み』を間違えてしまう展開が多く、とてももどかしかったです。
君たちはもっと、ちゃんと言葉を交わしあったほうがいい。
間違えたままに進むこともできずにいる更紗の章が、とても切なかったです……。


藤本タツキ「チェンソーマン 第12巻」

チェンソーマン第二部からは、デンジと同じく悪魔の力を持つに至った女子高生が登場。
ひたすら破天荒なデンジと比べると、悪魔に振り回されながらもふつうの生き方をしていこうとする姿がかわいかったです。
アサに取り憑いているヨルもワイルドでかっこいいかわいい。
今のところはなんとかふたり共存しつつではありますが、そこはチェンソーマンなので、ここからどうアサの生活が脅かされていくのかは戦々恐々としつつ見守っていきます……。
ユウコも、この作品にしては真っ当にいい人で良かったです。


カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

文章の一文一文が丁寧で、海外文学は個人的に苦手なものが多いのだけれど、これはとても読みやすかったです。
登場人物同士のやり取りや態度がこと細かく描写されており、文章そのものに魅力がある作品でした。
冒頭からなんとなく不穏な単語や状況が飛び交い、徐々に「これはつまり、こういうことだよな……」と察せられる行程が不気味です。
このじわじわと真綿で首を絞められるような不安感に、作中人物たちはずっと侵されていたのだと思うと恐ろしい……。
派手な物語ではないですが確かな衝撃を受ける、良い読書体験でした。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/異世界誕生 2006

第2位/宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。

第3位/わたしを離さないで

第4位/ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する2

第5位/日曜の夜は出たくない