うつ病とマズロー4

それぞれの関係性を言いますと欲求は高次(前回述べた順番通り)になるほど弱く、変化や抑え込まれたりしてしまい、また満足する事への緊急性も低く、先送りにされてしまい、しまいには消えてしまうことがあります。
低次な欲求は物理的で目に見える形で得られるものが多い傾向にあります。
それに対し、高次の欲求は精神的な抽象的なものであります。
高次な欲求は低次の欲求を土台としており、低次の欲求が満たされないと高次の欲求は意識にすら上がらないのです。
ですが、低次の欲求が満たされると高次の欲求の優位性が高くなります。
高次の欲求が現れる条件は低次の欲求がある程度満たされていることであり、必ずしも完全に満たされている必要はないということです。
また、それは高次の欲求も同じであり、高次の欲求もある程度満たされていれば、それ以上満足させようとしないと同時に、それより下位の欲求すらもそれ以上満足させようとはしなくなります。
そしてまた新しく高次の欲求の満足へと万進するようになります。
欲求は低次の欲求から順番に満たす必要性があります。
高次の欲求から満たそうとすると土台となる低次の欲求が崩れてしまいます。
しかし、これまで上げた欲求の関係性は必ずしも当てはまるわけではなく絶対的なものではありません。
例として日本人の場合は自己実現よりも安全の欲求が最上位になっている場合があるというのもあります。

動機と欲求の違い

マズローの心理学ではしばしば欠乏動機や成長動機、欠乏欲求、成長欲求が挙げられます。
この動機と欲求の違いは何でしょうか。
動機とは欲求が生じる原因であります。

欠乏動機と成長動機

では欠乏動機と成長動機の違いを見ていきましょう。
簡単にまとめると欲求満足に対応するのに消極的なのが欠乏動機であり、逆に積極的なのが成長動機であります。
また、欠乏動機で満たした欲求は一定期間停止し欲求が小さくなりまた強まるのに対し、成長動機では逆に欲求は強まり続けるため終わりがありません。
そのため欠乏動機はマイナスからゼロに戻すことであり、成長動機はゼロからプラスにすることであるともいえます。
このことから自己実現の欲求には成長動機のみ存在し、それ以外の基本的欲求には両方とも存在しています。

欠乏欲求と成長欲求

次に欠乏欲求と成長欲求の違いを見ていきましょう。
大きな違いとしては自己実現の欲求が成長欲求であり、その他の基本的欲求は欠乏欲求になります。
その特徴は動機の対比に似ています。
欠乏的欲求は環境に依存しやすいのに対し、成長欲求は自立的であります。
そしてその自己実現人は外的要因から自立し、自分の持つ特徴ををより優先して生きるようになるということです。
これは自己中心的ないわゆる利己的な考えとは違います。
自己実現人は自分自身の理想とかけ離れていたとしても、それに悩まされることはありません。
むしろ人間の弱さや邪悪さを自然のままに受け入れるのと同じ感覚で受け入れられるのであります。
彼らは完全を目指して成長しようとしているのであり、その動機は先に述べたように人格の成長や性格の表現、すなわち自己実現を目指す人々なのである。

最後に、欲求階層が高いから偉いというわけでもなく低いからダメというわけではありません。
欲求階層は下から徐々に満たされていくものであり、そこに良い悪いなどはあるわけないのです。

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