見出し画像

社会人 大学院修士課程 教師を続けながら 大学院受験当日

 朝の目覚めが最高に良かった。ホテルの朝食へと向かう。ダイニングのゲートに入ると、そこにはバイキングが用意してあった。特に珍しい光景では無いのだが。鯖のスモーク、だし巻き卵焼き、味噌汁におばんざい。最後に一杯のコーヒーをゆっくりと飲んだ。少し気持ちを込めながら。

画像1

身支度を調えて、ホテルを後にする。京都駅前は言わずと知れた名旅館や老舗ホテルが建ち並ぶ。その脇をすり抜けるようにただ前を見て地下鉄烏丸線へと向かった。北大路駅から京都市バスに乗り換えて佛教大学へ。

20余年振りだった。教員免許を取った1995年。あれから紫野の町もキャンパスも大分様変わりはしているが、基礎はそのままだった。受験票を提示し、案内されるまま入っていく。答案が配布されるまでしばらくは沈黙のままだ。いざ試験時間がスタートする。最も心血を注いだ言語学の分野から、そして次にアメリカ文学の問題を解答していった。特にメタファー関連はこれから先大きく関係を持つことがわかっていたため、慎重に解答できた。

画像2

何事も生真面目に取り組むのが性分だ。結果的に全ての問題に対して全力で体当たりしたため、時間いっぱいかかってしまった。しばらく時間をおいて3人の試験管を相手に面接が実施された。その中に恩師となる人も居た。大学院で何を研究し、どういう展望を持っているのかがこの面接のキーとなる。つまり、研究計画の明示化が必要なのだ。僕は、特に言語学の中のメタファー研究を極めていきたいことを恩師を見据えながらしっかりとアピールしておいた。恐らくはこの場で大方こちらの意向が伝わったのでは無いだろうか。

何事もまず一番大切なのは、目標に向かう「熱意」である。それから行動。

画像3

試験を終えて帰路につくと、夕暮れの京都タワーが目に焼き付いた。一日中降り続いた雨は僕の疲れた身体に潤いを与えてくれた。2017年9月のことである。

よろしければサポートお願いします。