音楽理論と「間違いを正す」話
無駄に音楽理論を知ってしまうと誰しもぶち当たる問題なんじゃないかなと。
どうも。めたです。
最近VRChatで遊びに遊んだり原神やったりと全く音楽要素のないTwitter運営をしていたので忘れられてるかもしれませんが、我、実は作曲をやったりしてる音楽人なのです。
それも何を隠そう最初の主たる活動のフィールドはクラシック音楽周り。アカデミーック(音大は出てないけど某音大の先生にレッスンは受けてたことがある)
んで、そんな僕が音楽やってると時たまこういう相談が寄せられます
・「この曲、理論的におかしくない?」
・「なんか違和感ない?」
・「理論知ってる人から見て率直に感想教えて」
別にそれらが嫌とかそういう話ではなく、正味こういう相談て全部自分的には勉強なので「あ〜〜〜〜ちょっとみせて〜〜〜」とか言いつつウキウキでやるんですが、そんな中でちょっとした気づきがあったのでnoteとしてシェアしようと思います。
1. とある日の相談の話
先日、とあるミュージシャン仲間から「ちょっとこの曲のベースパートに違和感があって、僕は理論にあまり明るくないので見てほしい」という相談があり、曲を聞きつつMIDIとかを見せてもらいました。
本人の音楽の嗜好とかを考慮しつつ、おそらく原因はつけているコードに対してのスケールの選択の問題だなーと思い、まず「とりあえず違和感を消すってことだと、ここのこの音はこういう風に動かした方がいいかも」というような形でいくつかアドヴァイス。
結果的に本人が納得いく響きになって、普段なら「ありがとう〜」「いえいえ〜」くらいで終わるんですけど、今回のパターンは個人的に気になる点がありました。
2. 「理論的に」正しい?正しくない?
詳しくいうと専門的になりすぎるので省きますが、端的にいうと「元の状態でも理論的には解釈可能」な音の運びだったんです。
なので、「ちなみになんだけど……」ということで一応元の状態でも解釈する方法はあるよという話を(できるだけ噛み砕いて)して、『もしそっちのニュアンスが欲しいときは元みたいな方を狙って、そうじゃないときは解説したような方を狙えばいいよ』という話をしました。
そんな話をしながら、音楽理論って難しいなと思ったわけです。
もちろん、本人の方向性とかを考慮した上で「その音の使い方はダメだね〜〜」とか「間違ってるね〜〜」って言うのは簡単なんですが。ただそういうことを言い切っちゃうと、その先にある面白さに気づけなくなったりするのかな、など。
今回の場合、言ってみれば「間違いを正す」こともできれば「間違い(という認識)を正しくする」こともできたわけです。果たしてどうするのが本人のためだったんでしょう。
3. 藤岡幹大さんと大村孝佳さんのエピソード
さて、そんな通話を終えた後ふと、3年ほど前に読んだ記事を思い出しました。BABYMETALやC4などの活動で知られるギタリストの大村孝佳さんが、師匠である藤岡幹大さんが死去された後に更新されていたブログ記事でのエピソード。
藤岡幹大さんは自分的に多大な影響を受けたギタリストの一人なので、この時も相当ショック受けながらこの記事読んだ記憶があります。
(今年の頭にまた一人自分が多大な影響を受けたミュージシャンが亡くなりましたが、またそれは別の機会に)
そんな中に、『藤岡さんが大村さんの「フレーズでのミス」を「正す」』話が書かれています。
詳しくはブログを読みに行ってほしいんですが、端的にいうと大村さんのフレーズでのミスを別の視点から解釈し、「間違いをそのまま正してしまった」という話。
藤岡さんと言えば"GITの知の神"と言われるほど音楽理論や音楽に関係することに造詣が深かったことで知られていますが、このエピソードには純粋に音楽理論に特化した知識人ということ以外にも、たくさんの生徒を教えていた先生としての凄みがあるなあと、今回のことを通じて気づきを得ました。
ただただ間違いを指摘して終わり、ではなく、その先のことまで考えて音楽を「楽しんで」いるんですよね。こういうのって。すげーなと思います。
しかも、よくある『間違いだけどかっこいいからヨシ!!』みたいな知性の欠片もない言い方ではなかった、というところがまたすごい。
あー、僕もギター上手くなろうっと(徐に練習を始めるめた)
4. まとめ:音楽理論と教えることの責任
今回の出来事で思ったことは「やっぱり音楽理論って難しいな。楽しいけど。」ということ。
そして、あたらめて思ったのは「ちょっとしたアドバイスみたいな話であっても『教える人間の責任』は相当に重いな」ということです。
TwitterやYouTubeで軽率に「役に立つ情報」をシェアできる今、誰もが「教える人になってしまう」ということがありますよね。(あるいは、教えることで自分を売り込むという人も多くいるかもしれません。)
僕自身も、日々自分をアップデートするために色々知識を吸収したり、議論したりを繰り返していますが、より一層自分の『音楽に対する姿勢』をちゃんと問い直していくためのチャンスにしよう、と思いました。
「教わりにくる側」の人たちにとっていい学びに繋がるように、しっかりと種を蒔けるように、そういう風にならねばなーと思います。
…ちなみに、そんな私の参加ユニットDanny Dogsの新譜が配信スタートしました。
各種配信サービスで聴けます。よしなに。
だいぶロックンロールな3曲を取り揃えてお待ちしております。
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