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アルフィーのコンサートは、メタラーでも楽しめますよ。(長文!)

アルフィーではなく、厳密には、ジ・アルフィー。3年ほど前から、「星空のディスタンス」に感銘を受け、ちらほら聴き始めていた。当方典型的な「にわかリスナー」であり、というか、ファンを名乗っていいレベルには達していないと思う。しかしまあ、メンバーがもうだいぶいい歳ということもあり、行けるときに行っておこう、ということで。事前にセットリストを予習の上、初コンサート参戦してきたのが、つい先日の話。北陸某県、駅近の大型ホールが会場であった。

女性ファンが多いということだったが、確かに前情報通りである。中には親子二代での来場者も。ダフ屋までもが女性であり、なるほどなあ・・・と。(ダフ屋特有の、胡散臭さがあるんだよね。) サラリーマンがスーツ着のまま仕事終わりに寄りました・・・みたいな感じの人はあまり居なかったな。

また男女ともにクセの強そうな人が多く、「アルフィー聴いてそう」という形容文句があってもおかしくないよなあ・・・と。(失礼!) いや、別に悪意ではないんですよ。うん、まあでも50年もやっている中で、そういう忠誠心の強いファンに支えられているのだから、やはりアーティスト冥利には尽きるのではないか? やー、いいじゃないですか。

・・・で、コンサートはオンタイムで始まり、観客はほぼ総立ち。事前に予習していたため、おいてけぼりになることはなく、どの曲も安心して聞くことができた。タカミーは、確かにギターのテクはあまり上手い方ではないと思うのだが、会場の音まわりの妙なのか、ギターサウンドがいい塩梅のモコモコ具合である。これなら、ぶっちゃけうまくても、うまくなくても、ちょうどいいのである。なんかよく聞こえるというか。また弾いている姿もすごくイイのだ。70歳を迎える人にまったく見えない! ライブ映えするというか、やはり、カリスマみたいなものは持っている人である。あ、作詞作曲はタカミーがメインなんだよね? ああ、やっぱすげえわ。(曲については後述。)

坂崎さんのアコースティックとのバランスもよく、ベースの桜井さんについても大変聴き心地のよい歌声で、且つ相当に安定したベースラインを奏でていた。(もちろん、ベースがよいということは、それだけ全体の調和がとれているということでもあるだろう。)

今回、プログレっぽい曲が数曲あったのだが、アコースティック パートとメタル パートのバランスが絶妙であり、全く違和感がなかった。むしろ、アコースティックがあるからこそ、メタルも映える、それぐらい相性が抜群であった。坂崎さんのポジションをこういうふうに活用できるのかと、なかなかどうして、メタラーも大満足であった。ファンの皆様も、ジャンル問わずきちんと手拍子や振り付けをこなしており、しっかり教育されているなと、いい意味で、少し可笑しかった。

※注 アルフィーのコンサートでは決まった振り付けや手拍子があり、みんなそれを当然のようにこなしている。座るときは座り、ラストでは指定のライトを振る。実際、プログレ曲の評判はどうなのだろう?

ちなみに、MCパートはかなり長めにとられており、まるで寸劇のように練られたものもあった。当然ファン向けの内容になっており、「去年の内容を知っている人の方がより楽しめる」ものであったと思う。ぶっちゃけ、若干の寒さ(※スミマセン!)というか、相当にファン力が高くないと、あるいはミドル・シニア層じゃないと、ちょっとついていけない部分もあった。まあ主要層がそこですから。

そのほか、グッズ営業にも力が入っており、MC中に「営業タイム」が挿入される。(※桜井さんが営業部長ということだった。) そもそもパンフレットが「写真集」を兼ねていたり、「オリジナルお菓子」があったり、普通のライブグッズとはだいぶ様相が異なっていた。これはつまり(筆者の)一方的なライブ・・・という表現は不適であり、楽曲も、トークも、グッズも、すべて楽しむための、一連のショウなのだからだろう。一般的に鑑賞するタイプのものを「コンサート」と表現する傾向があるようだが、アルフィーの場合、コンサートの域は通り越しているだろう。ファンのみなさんも、「ライブに行った」という感覚ではなく、「コンサートに参加する」という意味合いが強いのではなかろうか? それぐらい、一緒につくりあげられているイベントだったと感ずる。

なお春のイベントの次は、夏のイベントも控えており、どうやら内容が結構違うようなのだ。MCにおいても、公式サイトにおいても、あえて「イベント」という表現が使われているようなので、もしかしたらアルフィーの場合は、ライブでも、コンサートでもないのかもしれない。

長々と書いてきたが、繰り返すけれども、やはりプログレにおける「アコースティックとメタルの親和性」という気付きが今回一番の収穫であった。アコースティックのソロパートなんかも違和感なく楽曲に落とし込み(※)、三人の役割分担をバッチリこなしていたのである。まあどうしても、アコースティックでのバッキングは埋もれてしまうからね。全編を通じて、ドラムが想像以上にメタル的なアプローチだったのも、興味深かった。どうやら、サポートの長谷川さんは26インチのバスドラを使っているようだ。

※注 アコースティックでイントロが始まって、静から動へ、みたいなのはメタルあるあるではあるが、これは、ある意味使い古された常套句でもある。メタリカの「バッテリー」然り。

アルフィー節炸裂の歌メロもちゃんと表現され、その上で「プログレ」を担保できるのもすごいが、これだけ「大衆に寄り添ったプログレ」ができるなんてなかなか並大抵ではないと思う。だって、ふつうのリスナーは10分近い曲、ダレてしまって聞けないからね。
(イエス、フロイド、クリムゾンには到底真似できないだろうから。というか、目指しているところが全然違うから、比較できないが。)

以上。ということで、メタル・ハードロックファンの方も、ぜひ生アルフィーを体感してみてほしい。

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