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隔離が始まり、今日の無事が精一杯になる毎日。当たり前だと思ってきたことが、特別な奇跡の…

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隔離が始まり、今日の無事が精一杯になる毎日。当たり前だと思ってきたことが、特別な奇跡の積み重ねだったのだと気づきました。 音楽、Rockが私に与えてくれた贈り物について、ささやかながら書き残したいと思っています。

最近の記事

VOWWOW奇跡の降臨~新見さんに捧ぐ

数年前、VOWWOWのイギリス時代の秘蔵音源が山本恭司さん監修の下、Glenn Williamsさんのライナーで「Majestic Live」として発売された。 耳の肥えたイギリスのロックファンを唸らせた世界最高峰のVOWWOWの雄姿。非公式とはいえ、SB音源のレベルで遺されていたのは奇跡に近かったものの、二度と彼らの姿を拝めない、その事実を突き付けられるものでもあった。 ​しかしその実現不可能な夢が、この週末ついにかなったのだ。 一周忌を迎えるドラムの新見さんを偲んだR

    • ネブワースの想い出~ダーレンとアンドレア

      その二人に出会ったのは、ネブワース近郊のホテルのフロント。 2014年7月、40周年を記念して、アイアンメイデンとメタリカをメインアクトに開催された、ネブワースフェスティバルに参戦した時だった。 この時メイデンはまだThe Book of Soulsリリース前、この聖地の記念すべき40周年にMaiden Englandツアーの千秋楽を行い、さらにブルース自ら、自身が所有する複葉機をネブワースの上空で模擬飛行する、というエキサイティングな記念のおまけまで付いた。 ホテルから

      • アイアンメイデン「戦術論~Stratego」エディの禁じ手!?

        ついにアイアンメイデンの新譜「Senjutsu 戦術」が発売となった。 敢えて日本語とされた「戦術」の名前の由来、アルバムコンセプト、そしてこの上なく豪華なファンクラブ限定の「FC Limited Box」の素晴らしさ。ファン冥利に尽きる日々を過ごしている。 「戦術」収録の曲、Strategoは、戦時中の軍人将棋の発展形と言われるボードゲームに由来する。先日公開されたStrategoの公式映像を見た​海外のファンからも、将棋の話題が出るようになった。 ​ 筆者はこどもの頃、

        • ブルース ディッキンソンの語る「騎士道」

          つい一昨日、はるばる極東の我が家にやっと届いたIron Maiden FCの会報。 珍しくもブルースが、所蔵の200年物の剣を携え騎士道を語っている。 待望の新譜「戦術~SENJUTU~」のテーマが日本の武士道であり、フェンシングのソウルオリンピック英国代表候補でもあったブルースが どのように騎士道観を語るのか、新譜の意図や背景の手掛かりになるのでは、期待を懐きページを開いた。 今号のカバー写真のアイディアは、ブルースがカメラスタジオの背景をサーベルの一振りで切り裂き、そ

        VOWWOW奇跡の降臨~新見さんに捧ぐ

        • ネブワースの想い出~ダーレンとアンドレア

        • アイアンメイデン「戦術論~Stratego」エディの禁じ手!?

        • ブルース ディッキンソンの語る「騎士道」

          ブルース ディッキンソンと武士道

          長い間思いあぐねてきた三島由紀夫とIron MaidenとBruceについて書くことにする。コトは文学に及ぶ上、メイデンファンにとってもマニアックが過ぎると思われ、ためらってきたのだが、一連の流れを受け、書こうとする次第である。 4枚目のアルバム「Piece Of Mind(邦題;頭脳改革)」収載の「Sun and Steelは宮本武蔵を題材とした曲だが、三島由紀夫のエッセイ「太陽と鉄(英題;Sun and Steel)」との相関は、あまり指摘されてこなかったと思う。 邦題

          ブルース ディッキンソンと武士道

          海外ロックフェス参戦記10

          レスター大学 私の着席を待ってバスは発車した。車窓を流れていく風景、きっと二度と来ることのないレスターの街を私は見つめ続けた。 途中、初老の二人組の女性が乗ってきて、私の隣と前に分かれて座った。 前の女性は振り返りながら、隣の女性は身を乗り出しながら、おしゃべりを続けていて、思わず席を変わろうかと申し出た。 「それには及びませんよ。走っているバスの中で動くのも不自由ですし」 たしかに二階建てバスは、一階でも曲がり角の揺れは強い。 「ところでご旅行?」 「ええ、東京から

          海外ロックフェス参戦記10

          【フランキー バネリさんのこと】

          Quiet Riotのドラマー、フランキー バネリさんが亡くなった。 訃報を受け、打ちのめされる思いで居る。 8/12は4年前すい臓がんで亡くなった叔父を、先月7/16は8年前に、 これまたすい臓がんに奪われたジョン ロード御大を偲んだばかりでもある。 昨年9月、アイアン メイデンのLegacy of the Beastライブを観にロサンゼルスに赴いた私は、アメリカのすい臓がんの患者団体「PanCAN」を訪ねた。 5年生存率がいまだ10%にも届かない、難治がんであるすい臓

          【フランキー バネリさんのこと】

          海外ロックフェス参戦記9

          2013年病気の宣告を受け手術を控えた“私”は、急遽渡英を決意。 ヘヴィメタルファンの聖地ドニントンでのダウンロードフェスティバルで、アイアンメイデンを見る夢、その前年亡くなった音楽の恩人、 ジョン ロードゆかりの場所を巡る夢をかなえようとする。 聖母教会 土曜の朝は人通りはおろか、行き交う車もない。 しばらく行くとNHSの病院が見えてきた。 子供時代、急病やわんぱくの結果のケガやらでお世話になったに違いない。 さらに行くと、広いフィールドが青々とした大きな公園もある。

          海外ロックフェス参戦記9

          海外ロックフェス参戦記8

          レスター 翌朝は朝食もそこそこに、レスターに出かけた。午後にはMotorheadとMaidenに備えドニントンに戻らなくてはならず、余裕はない。ドニントンから列車で30分程度の距離だが、時間を買うつもりで、マイヤにタクシーを手配してもらった。住所から調べると目的地は駅から離れていて、マイヤも直接向かうのが良いと言う。 朝食に来たイスラエルのファンが声をかけてきて、昨夜のSlipknotの興奮がまだ続いていると上気している。 「今日は昼にUFOがサブステージに出るけど、行くよ

          海外ロックフェス参戦記8

          海外ロックフェス参戦記7

          Trooper Beer ボトルを手に三人で乾杯し、直飲みでTrooperを口にした。 エール独特のコクの深い苦みと逆説的な甘み、弱めの炭酸が喉を過ぎた後の鼻に抜けるフルーティーな香りが印象的だ。イギリスではエールは冷やさず飲むが、この奥深さを味わうがための習慣かと合点がいった。 2杯目を調達に行くと先程の店員がお代わりへのプレゼントで、Trooperビールのコースターをくれた。パイントカップと合わせ、いいお土産になる、小瓶も捨てずに大切にしまった。仲間たちはきっと喜んでくれ

          海外ロックフェス参戦記7

          海外ロックフェス参戦記6

          Dragon Force Europeの次はDragon Forceが登場した。なるほど、イギリスとイスラエルのファン両人が口を揃えて、見るべきと言うだけあってスピード感溢れ、キレがいい。香港出身のHerman Liが黒髪を靡かせアクション豊かに速弾きする様は、確かにこの距離からだと“イケメン”だ!引き込まれる。 Dragon Force はWhitesnakeと同じツインギターに鍵盤という編成で、ユニークなことに鍵盤が水平でなく前下がりでセッティングされていて、演奏中の

          海外ロックフェス参戦記6

          海外ロックフェス参戦記5

          ユーライアヒープの演奏中、中座したイギリスのファンがビールのパイントカップを抱えて戻って来た。入れ違いにイスラエルのファンが、ホットドッグとサンドイッチを買ってくる。二人とも私からのお金はいらないと言い、初めてのフェス飯は彼らの厚意に甘えることになった。 出来立てのホットドックを頬ばり、スポンサーでもあるデンマークのピルスナーののど越し、粒マスタードとソーセージをオープンエアで名曲Stealin’を聴きながら、味わう。これこそフェスの醍醐味だ。 イスラエルのファンが 「僕は

          海外ロックフェス参戦記5

          海外ロックフェス参戦記4

          Download Festival やっと、トランクが戻ってきた。 部屋に行く間ももどかしく、野外フェス必携の“装備”を取り出し、身支度を整える。 アウトソール加工で歩きやすくしたPatrickのスニーカー、コンパクトな折畳み椅子。傘無しでの観覧に備えた全天候型のアウトドア用ハット、袖を通さずかぶるだけで済むレインポンチョ。 パッカブルのダウンは“これを持って行けよ”と連れ合いが貸してくれた、コンパクトなポーチサイズ。ミネラルウォーター、空港のBoots(コンビニ型ドラッ

          海外ロックフェス参戦記4

          海外ロックフェス参戦記3

          ホテルの朝食はもちろんEnglish breakfastで、まずポットたっぷりのお茶とミルクがサーブされる。ビュッフェで選んだのは、ソーセージにベーコン、スモークドキッパーとサーモン、輪切りのグリルドトマトにシイタケのような平たいキノコのソテー。ソーセージは少しぶよぶよしてハーブの味がきいており、スモーキーなベーコンとの相性がいい。グリルドトマトは熱を加えトマトそのものの甘みを引き出したところに、ほんのり塩味がついている。シイタケのようなキノコのソテーも、塩味だけだが味わいが

          海外ロックフェス参戦記3

          海外ロックフェス参戦記2

          マイヤ ホテルには10分足らずで着いた。 「今日からお世話になるものですが、アーリーチェックインさせていただくことはできないでしょうか。実は衣類を入れた荷物が無くなってしまい、寒い思いをしています。日本とは10度以上気温差があり、このままでは風邪をひいてしまいます」 「これからチェックアウトが始まるので、お部屋のご用意には時間がかかります。チェックアウトの催促はできませんが、部屋が空けばすぐハウスキーパーに部屋を整えてもらうようにしましょう。お風呂に入って温まるのがいいです

          海外ロックフェス参戦記2

          海外ロックフェス参戦記

          序章 ~2013年9月23日 Rock in Rioの生中継が終わった。 ブラジルからのストリーミングとは思えない臨場感だった。 Iron Maidenの演奏と熱気、大観衆の興奮。その数か月前、私が初参戦した 英国ドニントンDownload FestivalでのMaiden体験がこみあげてくる。 Iron Maidenの公式SNSは熱いコメントが次々書き込まれ、全世界のファンが一体となり時を分かち合っている。 私もコメントを書き込んだ。ブラジルからの熱演にパワーを

          海外ロックフェス参戦記