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AfrobeatsやAmapianoだけじゃない、あなたの知らないアフリカンミュージック(African Vibez 002 ~2024年8月編~)

ごきげんいかがでしょうか?アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。

こうも暑い日が続きますと、僕から「ごきげんいかが?」かと聞かれたところで「暑い!」としか言いようがないのは重々承知でございます。

よく「アフリカは暑いですよね?」と聞かれることがありますが、僕が知る限りアフリカの全ての地域が暑いわけでなく、例えばケニアのナイロビ(標高1,700m前後)、エチオピアのアディスアベバに至っては標高2,300m前後と比較的高地にあるため、日差しは強いにしてもむしろ日本の夏より涼しいと言えます。

ということでよく聞く「灼熱のアフリカの大地」という表現、あれは確かに砂漠地帯はそのとおりかも知れないですが、むしろ日本の夏のほうが「灼熱」なんじゃないだろうかと思えてしまう2024年8月。そうした文脈で仮に「日本の夏≧アフリカ」と考えてみると、いったい僕たちはどのようにして灼熱の夏を楽しく乗り切ることができるのでしょうか?

えぇ、僕が考えた答えはこれです。

アフリカの様々なダンスミュージックを聴くことによって、夏の気温を暑いと感じないレベルまで自分自身が熱くなってしまう以外ない、と。

ちなみにまたインドの話を持ち出して恐縮ですが、今年の5月にムンバイ行ったんですけど、気温38度・湿度75%というまるで日本の夏同然のコンディションの街中で長袖のスウェット着てる若者を見かけて度肝を抜かれました。ウソでしょ?って思いました。彼、きっと聴いてる。彼自身がこの世界の何よりも、そして誰よりもHOTなんだ、って。


さて。プレイリストの解説です。

今回も敢えてAfrobeatsやAmapianoではない多彩なアフリカ音楽をクラブカルチャー側からのアプローチで選曲しています。またアフリカ拠点のアーティストだけではなく、欧米を拠点にして活躍するアフリカルーツのディアスポラのアーティストも含まれます。

実は昨年から急激に老眼が進行しておりまして、半年に1回メガネを替え、なるべくスマホやPCも見ず、好きだった読書も控えてるのですが、仕事がらPCは毎日使わないといけないため、なるべく眼を休ませながら日々を暮らしています。そんなわけで最近はこうした執筆活動も思うように行えず。曲解説もシンプルな内容になることをどうかご容赦ください。


Mina feat. Amaarae "Platinum Sex" 

Minaはロンドンを拠点に活動するDJ/Producerで、ガーナや南米のアーティストと頻繁に楽曲制作をしているのが特徴。特にロンドン在住ガーナ人ラッパーBryteとの共演が多く、南スコットランドで開催された2023年のEden Festival(なんとSister Sledgeがヘッドライナー。他にはPongoやAfriquoi等)にBryteと一緒に出演。そのBryteとの楽曲「Sentah」も今回のプレイリストにピックアップしました。
一方、「Platinum Sex」フィーチャーされているAmaaraeはもはや紹介の必要がないほど世界的に人気を得たガーナ系アメリカ人アーティスト。僕も過去のJ-WAVE「SONAR MUSIC」で注目アーティストとしてレコメンさせて頂きました。彼女のアルバム「FOUNTAIN BABY」は、Pitchforkが「2023年最も優れたポップ・アルバム」として激押しだっただけでなく多くの主要メディアも絶賛。唯一無二のウィスパーボイスを駆使した世界観は必聴です。

Poirier feat. Angee Wings "Leader"

僕、この曲相当好きです。Poirier(本名Ghislain Poirier)はモントリオール拠点のカナダ人DJでNinja Tune所属。キャリアも長くこれまでに7枚のオリジナルアルバムと多数のEP、そして数多くのリミックスワークに携わってきています。前回の記事で紹介したK.O.Gともリミックス(No Way -Poirier Remix)で関わってますね。
フィーチャーされているのはAngee Wings。フランス生まれのカメルーン系カナダ人で、セリーヌ・ディオンやビヨンセ、ジャネット・ジャクソンを聴いて育ち2016年にデビュー。2020年のLatin Awards Canadaで「Urban Artist Of The Year」部門にノミネートされています。しかし2021年リリースのこの「Leader」以降は活動が止まっており最近の動向については不明なのが残念ですが、この「Leader」のアンニュイなフロウは中毒性が高く、一時僕はコレばかり聴いてました。

Ami Yerewolo "Show Barrada"

Ami Yerewoloは西アフリカにあるマリ共和国のアーティストでマリ初の女性ラッパーと言われています。マリ南西部の小さな町Mahinaで生まれた彼女は、幼い頃から自分で作詞作曲をするほどの音楽好き。それが高じて「Natty Girls」というガールズグループのメンバーとしてキャリアをスタートさせます。その後2013年、彼女が23歳の時にYeli Fuzzo(マリの人気アーティスト)のプロデュースによる「223 Crew」に参加。そして2014年に「Naissance」というアルバムで遂にソロデビューを飾ります。
ヒップホップとマリ伝統のマンディンカ音楽を融合し、男女の平等、暴力や侮辱への反抗、そして教育の重要性などを母語であるバンバラ語のリリックに込め、マリという国が抱える数々の社会問題に立ち向かう彼女の姿は多くの人々をエンパワーし、国内だけでなく世界的にもその活躍の場を広げていきます。
プレイリストにピックアップした「Show Barrada」や「Je Gère」が収録された2021年のアルバム「AY」は本国のみならずフランスでも高い評価を獲得しています。


他にもAfriquoi(ボツワナ・ガンビア・コンゴ等をルーツとする伝統音楽とエレクトロを融合したロンドン拠点の音楽ユニット)、Nina Girma(エチオピアの新世代女性シンガー)、Gafacci(ガーナのプロデューサー。SarkodieやIce Princeらの楽曲を制作)、Banga(ガボン生まれアンゴラ育ちフランス拠点の女性DJ)やJames BKS(Akonのレーベル"Konvict Muzikの元プロデューサー。父はカメルーン出身のサックス奏者Manu Dibango)、Africa Express(ブラー/ゴリラズのデーモン・アルバーンによるユニット)など、今後のアフロサウンズを牽引する注目アーティストたちをたくさん紹介したいのですが、眼精疲労がひどくなってきたので今日はこの辺りで。具合が良ければ後日また追加したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。良かったらプレイリストのフォローよろしくお願いします!


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