岩谷宏マガジンのご案内

 岩谷宏が1970年後半に書いた原稿を、毎日、一本ずつアップしている。

 1972年に創刊した「ロッキング・オン」は、岩谷さんの言葉を借りれば「他人事ではない雑誌」として、まさに自分事として、世の中をとらえ、音楽を聞き、原稿を書いた。

 私は大学生の途中で、日暮里の写植屋に弟子入りして写植を覚え、「たちばな写植」という会社を東中野に立ち上げ、そこがロッキング・オンの編集部になった。編集長は渋谷陽一だが、僕は編集室長として、スタッフからの原稿や投稿原稿を編集していた。

 岩谷さんは、猛烈な勢いで原稿を書きまくり、誌面に載せきれない原稿がたまっていった。70年代の終わりに、ロッキング・オンは六本木にはじめて自前で家賃を払う事務所を立ち上げ、原稿の管理も僕の手から離れた。増井や、広瀬などのスタッフも入ってきた。誌面で求人を募集するととんでもない数のの応募があり、最初は渋谷と僕とで、これはと思う人間の面接をした。

 まぁ、そういう会社ごっこの時代しか僕は知らないのだが、僕と岩谷さんがロッキング・オンを離れて、なぜか、岩谷さんのロッキング・オンに載せきれなかった没原稿が一袋、僕が持ち続けてしまった。

 いろいろとある中、40年ぶりに岩谷さんと連絡をとりあい、70年代の没原稿を復活させることにした。

以下のNoteマガジンで公開していく。
毎月1000円のマガジンである。

岩谷宏xor


今でも、少しも水々しさを失っていない、岩谷さんの言葉をお楽しみください。なお、このマガジンの登録者向けに、今後も、いろいろ企画などを提案していく予定です。よろしくおねがいします。

以下は、40数年前の岩谷さんの原稿。
まさに、永遠の今の問題を投げかけ続けてきたのだと思う。


大企業のサラリーマン

 一人の人間が徒歩で歩いていると、止まるのも方向を変えるのもすぐにできる。自分の責任でできる。

 これが自動車だと、たとえば、危険に気がついて止まるまでにどうしても何メートルかは突っ走ってしまう。

 列車になるとさらに方向転換もできない。飛行機だったら、落ちるだけ。

 大企業に就職したら安全安泰と単純に思い込む人は今でもかなりいるみたいだけど、全社会的に見れば大企業はむしろ危険な存在であり、人間的にみれば不健康な存在である。

 大企業のサラリーマンはゴルフやマージャンが好きで、なぜかというと肝心の仕事環境が、人間の自主性主体性発揮という点ではほとんど完全に不健康な環境だからである。そして大企業は変化への機敏な対応ができず、まして、必要な変化を率先できない。

 しかもしかも、恐竜の足が草や虫を踏みしだいたであろうごとく、対社会対人間的な「圧殺効果」だけは確実に持ってしまう。つまり、せっかくの巨大な資本が、十分にキメ細かく機能しない。大企業は存在そのものが公害。

 本誌も東販・日販という大企業があるから全国に流通できている。そして大企業だからその仕事の粗さはまぬがれず、「わが町で手に入らない」という苦情がいまだによくくる。

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