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宇宙服の時代

 昔、宇宙船の中のコミュニティという原稿を書いた。宇宙船地球号とかいうのが流行った時代だ。地球という大地が無限の荒野だった時代と、すべてが測定化されデータ化された地球とは違う。それはまさに宇宙船の内部のように、乗務員は、すべてを把握しコントロールしている。この中では、コミュニティの外部に行くということは宇宙の真空の中に行くということで、死んでしまう。だから、人と人との争いや関係も、宇宙船の外に追い出すようなものではなくなってきている、と。若い人たちは、もう見知らぬ大地に向けて冒険をしない。

 コロナウイルスが大気中にあふれて、さて、いなくなってくれるのか、小さなクラスターが世界中にできて、隙きあれば人間に襲いかかってくるのか、先が見えない。もしかしたら、もう、これまでの日常に戻れないかも知れない。免疫が出来てウイルスと共生できればよいのだが、もしかしたら、ウイルスが次の地球の支配者になるのかも知れない。

 私たちは、原始時代のように、野獣の恐怖に震えながら、洞窟の奥底のような家庭で震え続ける生活を強いられるのかも知れない。いつかの不安が肉体の奥底の方から思い出されてくる。

 もしかしたら、私たちは、真空と放射線が降り注ぐ、危険な宇宙空間に放り出されたのかも知れない。もうすぐ、宇宙服のような、全身を包まれた服を開発して、街に出るようになるのかも知れない。宇宙服のまま仕事をし、会議をし、宴会をし、スポーツをし、旅をし、恋をするのかも知れない。

 
 完全に位置情報を把握され、行動を推測され、宇宙服でつながっていく人と人。

 なんかそういう気分。そういう気分の中で、コロナ以後の社会の企画書を書き続けている。これもまた奇遇。


この続きは、新刊で(笑)

橘川幸夫の新刊「企画書ver2020」(仮)プロジェクト

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