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橘川幸夫の小説

橘川は雑誌的な人間なので、人類のタイムラインと一緒に疾走していくのがロックだと思っていたので、立ち止まって過去を振り返ったり、自分を客観的に眺めて描写したりする小説が嫌いだった。嫌いというのではないかもしれないが、方法論的に違うと思っていた。そういう余裕はないと思っていた。

大手出版社には、雑誌部と書籍部があって、仲が悪い。それは方法論が違うからだろう。

そんな橘川が突然、小説を書いてみたくなったのは、50歳を越えた時だ。50歳で自分の人生は終わったと思い、生前葬を行って、自分の見てきたこと感じてきたことを若い連中に伝えて、終わった。

しかし、そこから、なんだか分からないが、いろんなことをはじめた。写真もそうだし、深呼吸する言葉という自分なりの新古今和歌集をはじめ、リアルテキスト塾という私塾をはじめ、54歳の時に1年間で3冊の小説を書いて発行した。

50歳になって、自分の社会的役割(社会に生かされてきた、落とし前)をつけた気持ちになり、気軽になったのかもしれない。だいたい20歳の時に、30歳まで生きるとは思ってなかった。30歳になった時、覚悟を決めて、50歳までは、自分が生きていることを社会に押し売りしてでも伝えていく仕事をし、50歳をすぎたら隠居して、若い連中の相談相手をやる、焼き鳥屋の親父になろうと思った。50歳をすぎた時、社会の重荷がはずれた。その分、生活は苦しくなったが(笑)

ということで、いままで触れなかった小説を書いてみたのだが、そこは橘川、単なる個人的な自己表現では面白くないので、構造化を考えた。

2004年に書いた小説は3冊。最初のは「やきそばパンの逆襲」(河出書房新社)。2004年の時代の動きを取り入れたマーケティング小説だ。書名は、山下卓がつけた。次は「風のアジテーション」(角川書店)で、1969年の学生運動の時代を描いている。角川の担当だった、滝沢くんと周平に出会った。しかしながらまるで売れなかったので、3冊目の「自分探偵社」(オンブック)は自分で出した。3冊目は、他人や連れ合いの浮気調査とかではなく、自分自身が周りにどう見られているかを調査する探偵事務所をベンチャーとして創業する若者の物語だ。

これら3冊を一年で一気に書いたのだが、実は、登場人物がすべて関連しているという、「見えない大長編小説」を一冊ずつ出すという気持ちだった。例えば、「やきそばパン」に出来る広告代理店の創業者は、「風のアジテーション」のメインの学生だったり、その代理店の社長の親戚の子が「自分探偵社」を創業するとかである。このまま100冊書くつもりでいた(笑)

▼こんな感じである。

更にこのプロフィールを公開して、他の人が小説を書く時に使ってもらえれば、この時代全体で、巨大な大長編小説が生まれる、という野望を持った(笑)

ということで、2020年のコロナパンデミックの中で、深呼吸学部が誕生し、橘川も再び、「やりなおし」の機会を与えられたので、大小説プロジェクトを再開することにしました。

橘川の小説は、こちらで連載していきます。


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