教育の本体論
(1)成長していく教育
「教育」とは「教」の部分と「育」の部分とかがあり、この2つは、似ているようでいて異質なものである。「教」は、教える側に教える内容について確信を持って教えていくことである。例えば、「Iの日本語は私である」という知識は、「それがどうしてそうなのか」ということではなくて、社会的なプロトコル(約束事)として、それを知らない子たちに伝えていく必要がある。「教」は、記憶の学習のことである。教える側は一方的に知識を与えていく必要がある。しかし、社会共通のプロトコルは、別に、個別の教師がやる必要はなく、誰がやっても同じだ。これまでは、システムがなかったから、国家は教員を養成して、一律にプロトコルを確認して伝達することを指示した。
しかし、オンラインシステムが実現した現在においては、大半の「教」はEラーニングでの自己学習で代行出来る。教師の役割は、教えることではなく、むしろ、システムのサポート要員として、使い方の分からない子をサポートするぐらいになるだろう。
そうなると残るは「育」の部分である。これは子育てと同じである。子どもは、自分の内的な力で育っていくし、成長するにつれて、個別の関心を持ち、自分の方向を探りはじめる。親の役割は、子どもの成長を愛情をもって見守り、困ったことや、危ないことをした時だけ、それの退避法をアドバイスすればよい。子どもを育てることによって、親も社会的な大人として成長していくのである。そして一人前になったら教育から手放す。
「育」には、社会的なプロトコルなど何もない。良い大学に入って幸福な結婚をして、というような幻想が成立する時代ではない。子どもたちの持つ、内的な可能性を信じて、個性の成長を見守り、サポートしていくしかない。これからの教師に必要なことは、子どもたちの成長を信じて、自分たち自身も社会的な教師として成長していかなければならない。教えるだけの機械であってはいけないのだ。
(2)教育ベーシック・インカム
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