追悼・中村邦夫様(松下電器産業・元社長)

 松下電器の中村邦夫さんが亡くなった。もちろん面識はないが、彼が社長の当時、末端の出入り業者として、門真方面にも何度も行ったし、青物横丁や大門あたりは数え切れないほど通った。最初に青物横丁のバブリーなビルに、僕と亀ちゃんでいつもの服装で入ろうとしたら、警備のおじさんが飛んできた^_^。

 中村社長の噂は飲みながらよく聞いた。かなり、松下の枠からはずれた人らしい。机に靴のまま足を投げ出し、葉巻ふかしてた、と自称ヒマシタ電器の幹部は言ってた^_^。

 当時は、大阪の松下の事業部で借りてたビルは創業家の松下興産のビルばかりで、家賃が高いと嘆いていた人もいた。剛腕の中村さんでなければ創業家を切ることは出来なかっただろう。いろいろ噂はあったが。

 松下興産は、すでに倒産している。企業の歴史は近くにいると面白い。

 ソニーの社員は、破天荒な人がたまにいて面白かったが、付き合いにくいところもある。松下は、最初は冷たいが、中に入ると、まあ良い人ばかりで、やはり、村なんだよな。今は知らないが。

 松下はパナソニックになり、B2Bに走ってしまった。批判するのは容易いが、戦後を作った巨大な組織が七転八倒する姿は、痛々しい。かつて、松下電器には、洗濯機だけにこだわったり、冷蔵庫だけにこだわって生きてきた社員がたくさんいた。パソコンが登場した時に、そういう家電の技術者がパソコン事業部に移動させられて「こんな不完全な商品を市場に出してよいのか」と憤ったことがある。故障や不備を完全になるまでテストして出荷する技術者からすれば、パソコンは不安定極まりない、不完全な商品に見えたのではないか。

 中村さんは、時代の大きな変動期に、存在感を持って対応した。

 ご冥福をお祈りします。

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