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なにが不満? 大河ドラマ

 平安時代中期を取り上げた大河ドラマ「光る君へ」
 ヒロインは王朝文化を代表する源氏物語の作者・紫式部。いわゆる「ザ・平安」を堂々とドラマ化してくれたことに、多大な期待を寄せて視聴してきました。

「絶対に勉強になるぞ!」

「絶対におもしろいにちがいない!」

 といった気合が入っていただけに……うーん、いまは……期待外れで当惑しております。まだ10話にもなっていないのに……残念。

 これはわたしが飽きっぽいのでしょうか?

 リスペクトしている役者さんが多数出演なさっていますし、打毬のシーンなどは「よく再現してくださった! さすが大河ドラマ」と内心で拍手喝采していたはずなのに。

 平安女子会のような倫子さまのサロン。知的な赤染衛門らの「竹取物語」や「蜻蛉日記」についての考察。漢詩の会で披露される秘めた恋心。

 公達らが男目線で「出世のための結婚戦略」を赤裸々に語れば、それをたまたま耳にした紫式部こと「まひろ」の激しい動揺。

 などなど、見所はとても多くドラマとしてレベル高い……。

 なのに、なぜか感情移入できません。

 毎回、応援の記事を書き続けられれば……と考えていたはずなのに。

 なにが不満なのだろう?

 どこが期待外れなのだろう?

 思い返せば第1話の冒頭で陰陽師・安倍晴明が星を観察し、「不吉なことが起きる」と予言。このときにぼんやりとした違和感がありました。

 兼家の娘・東三条院詮子が入内することが「不吉」と看破したのかな?
 平安時代の雰囲気作りのためのシーンだったのかな?
 それともヒロインの母が、兼家の次男に惨殺されることが不吉と?
 まさか、何か見落としている?

  天体観測の占いシーンがある韓流時代劇ドラマ「善徳女王」をふと、思い出しました。
 とある星の発生と同時にヒロインが誕生、しかもその星は現状を打破する宿命を持つというスケールの大きさ。


「光る君へ」の冒頭における天体占いが、主人公と無関係な「不吉」だとしたら、なんだか肩すかしを食らったような気分に……。

 実は、こうした「肩すかし」を毎度感じています。

 つたないながらも分析してみますと……なによりツッコミどころ満載なのは右大臣・藤原兼家のセリフ

 次男の道兼に対して「汚れ役」と明言し、側室とその子・道綱には「わきまえろ」とか……。

「え? ええ? それ本人に直接言う?」

 兼家を冷酷で権力欲旺盛な「ワル」として徹底して描くためとはいえ、「こんなに嫌われちゃって、朝議をまとめられるわけないじゃん?」
 
と思うのはわたしだけでしょうか?

 おまけに詮子が父・兼家との対決姿勢をとるために、秘密裏に左大臣・源氏に接近するとしても、自分から兄と弟たちに暴露しているし……。一条帝の母として権力を握るヒトにしては、少々ツメが甘いような。

彼女がなぜ権力を望み、その相棒に弟の道長を選んだのかを、そろそろ明確に描かれてしかるべきかと。道長とただ気が合うだけじゃなく……。

 長男の道隆……父からは「嫡男は清らかであらねばならぬ」などと保護されているためか、影が薄い印象です。「中関白家」の創始者として「若きドン・コルレオーネ的」な貫禄を初回から見せてほしかった

 家族思いだけど酒好きの小心者として、後半は卑小に描かれるのでしょうか? 心配です。娘・定子を一条帝に入内させ、息子・伊周を内覧にまで出世させる剛腕政治家のはずなのに。

  次男、道兼。こちらはずいぶんと乱暴に造形されているかと……
 短絡的で粗暴な性格を権力者の父に疎まれ、まひろの母を殺した過去ゆえに、まひろと道長との恋の障害となる人物。
 藤原兼家ファミリーをマフィアにたとえれば、間違いなく次男はアンダーボス(若頭)
 
演じる役者さんの名演で、策謀に身をゆだねなければならない葛藤が表現されている点が救いでしょうか?

  安倍晴明もまた、権力者にすり寄りながらも呪詛の力を誇っていて兼家の良き(悪しき)相棒なのも違和感が……。だって、実際は陰陽寮の役人でしかないはずなのに。ファミリーの「相談役」?

 ……このようにざっくりと分析してみました。
 なんだか、道長以外の兼家ファミリーへの違和感ですね💦

「無粋だね。大河ドラマは歴史ファンタジーとして割り切って楽しめばいいのに」
 
と、せせら笑われそうですね。
 歴史ファンタジーであれば、もっと貴族マフィアとして華々しく盛り上げ、紫式部を振り回していただきたかった。

 期待が大きかっただけに些細な違和感と当惑の小石が積み重なり、気持ちが冷えてしまっています。
 それでもたぶん、小石につまずきながらも、一年間、最後まできちんと視聴するつもりではありますが……。

 最後まで目を通していただき、ありがとうございました。m(__)m

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