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クロナガアリ飼育4~7年目(2016~2019年)

飼育4年目以降のクロナガアリも順調に成長を続け、2016年~2019年のクロナガアリのコロニー総数は、1000~1900匹程度で推移しました。

飼育4年目(2016年)には初めてオスアリが16匹誕生しました。この時の働きアリは1000匹程度です。

飼育5年目(2017年)には画期的な事が起こり、遂に33匹の新女王アリが初めて誕生しました。この時オスアリは350匹程度、働きアリは1300匹程度です。

飼育6年目~7年目(2018~2019年)は、コロニー総数は最大で2000匹を超えました。このくらいが、クロナガアリの増殖の限界値となりそうです。

飼育5年目(2017年)に誕生した、羽の生えた新女王アリとオスアリ
飼育5年目 コロニー全景(2017年)
飼育5年目 飼育ケース1箱目
飼育5年目 飼育ケース2箱目
飼育5年目 飼育ケース3箱目
飼育5年目 飼育ケース4箱目

各部屋は相変わらず整然と整理されています。クロナガアリは日本に住む蟻の中では、もっとも整理整頓が上手な蟻です。
他の蟻も部屋を作って分業しますが、クロナガアリほどは徹底していません。クロナガアリは秋しか活動しないので、1年のうち8~9ヵ月は地中生活(引きこもり)をします。長期の地中生活を快適に過ごすため、整理整頓する能力が発達したのだと思います。

収穫した種子を分別する働きアリ
種子の貯蔵庫

また、新女王アリの幼虫は特別に育てられる事が分かりました。普通の働きアリの幼虫は、数十匹がまとめて並べられ、働きアリから時々エサを与えられたり、体を舐めてもらって世話をされます。働きアリの幼虫は普段は放置されている事も多いです。
一方、新女王アリの幼虫は働きアリの幼虫の数倍は大きく、丸々と太っています。しかも、新女王アリの幼虫1匹に5~6匹の働きアリが付きっきりで世話をし続けます。幼虫の時から全く待遇が異なるのです。

実は、働きアリも新女王アリも同じ卵から育てられます。これはミツバチも同じで、元は同じ卵でも花粉団子で育てられれば働きバチに、ローヤルゼリーで育てられば新女王バチになります。働きバチになるか新女王バチになるかはエサの違いだけなのです。ちなみに、ミツバチの場合は働きバチの寿命が1ヵ月、女王バチの寿命が3年で大きな違いがあります。ローヤルゼリーを食べたか食べないかで、ここまで寿命が異なるので、健康食品としてローヤルゼリーが注目されているのです。

クロナガアリの新女王アリは、飼育5年目で働きアリが1300匹を超えて初めて生産されました。コロニーが十分に繁栄し、余裕が出てはじめて次世代のオスアリと新女王アリを生産するのです。

2013年に働きアリ15匹で飼育を開始しましたが、飼育5年目の2017年にようやく次世代の新女王アリを飼育環境下で誕生させる事が出来ました。

働きアリの幼虫 (時々世話されるが放置されている事も多い)
新女王アリの幼虫 (1匹の丸々と太った幼虫を、5~6匹の働きアリが付きっきりで世話している)