【現代表記】福沢諭吉「西洋事情」(1787年議定せる合衆国の律例 第1条 第7類)

底本には小泉信三監修『福澤諭吉全集』第一巻(再版)所収の「西洋事情󠄁」を使用した。


第七類

賦税を収る法令は下院にて議定すべし。然れども上院にても之を参議して或は改正するを得べし。

都て法令の案文を作り、両院の同議を経れば、必ず之を大統領に呈して可否を質すべし。大統領其案文を見て同意なれば之に調印すべきなれども、若し異存あれば其異存の趣意を述べて之を返すべし。然るときは初め此案文を作たる局にて、別に大統領の異旨を書記し、案文に副て再議を発す。若し再議の上、尚お前説を持張する者、局内の総人数三分の二に至れば、此局の評議を一定して更に之を彼局に送るべし。彼局にても再議して、同意の者、総人数三分の二なるときは、大統領の異存に関わらず定めて国法となすべし。但し斯く再議するときは、局内の総人数をして逐一其可否を述べしめ、其姓名を日記に誌し置くべし。

又両局より評議を建白するとき、大統領十日の内に其可否を決して之を下げざれば、両局にては此建白を統領の調印したると同様のものに見做し、之を施行して国法と為すべし。但し両院より一度建白する上にて延引を願うときは此例にあらず。


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