【現代表記】 福沢諭吉 「英国 議事院談」 (議事院集会の法)

底本には小泉信三監修『福澤諭吉全集』第二巻(再版)所収の「英國議事院談」を使用した。


議事院集会の法

 旧典にれば、議事院の集会は王命よりて施行し、三年に一度は必ず会議するの法なり。しかれどもムチニアクトの法令(国王をして兵馬の権をらしむるの法令なり。事は西洋事情外編の第二巻につまびらかなり。)を立て、かつ政府の歳入歳出を処置するには、毎年その事をあらたにするに由て、議事院もまた毎年集会を開かざるべからず。ゆえに年々会議のおわりに至り、上院の議長カンセロル、休会の公書をつくり国璽こくじを押すとき、かねて亦次の会議をもよおすべしとの証書をしたためてこれそえるを常典とす。下院の議員を選挙するには、諸州にありては州の奉行ぶぎょうに命じて其事を周旋しゅうせんせしめ(奉行をしてみずから選挙せしむるにはあらず)都府城邑じょうゆうにては選挙がかり吏人りじんに命ず。

 議事院会中に議員の欠員あれば、議長より命をだして人物を選挙せしむ。かつ議長は休会の内にも欠員の議員を選挙せしむるの権あるなり。

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