その分析、ちょっと待った!分析前にしておきたい3つの問いかけ
Rettyでプロダクト部門のマネージャーをやっている飯田(@i_dayu_to)です。この記事は、Retty Advent Calendar Part2の20日目の内容です。
先日、プロ筋Confというイベントにて「データアナリストからPM転向のススメ」というテーマで登壇しました。
新卒データアナリスト経験を経てプロダクトマネージャー(以下、PM)へ転向したことで、どんな強みが活かされ、逆にどんな落とし穴があるのかについての内容になっています。ご興味ある方はぜひご覧ください。
データアナリスト時代は「どう知るか」に時間を割くことが多かったですが、PMになってからは「何をなぜ知るか」に向き合う時間が増えました。その結果、どんな問いを解くことで、ユーザーさんにより良い体験を提供でき、プロダクトの成長に繋げられるかを改めて考える機会が増えました。
この記事では、登壇時にあまり深く触れられなかった、「何を知るか」を設定する際に気をつけたいポイントについて、データアナリスト出身者の観点から現時点の考えをまとめました。問題の設定を間違えると時間を浪費してしまうので、今その問いに答えを出すことが有効なのかを一歩立ち止まって考えることも大事です。プロダクト開発する上で日々問題に向き合う方に少しでも参考になれば幸いです。
なお、この記事は仮説設定のヒントを得にいく探索型の分析ではなく、仮説の確からしさを明らかにする検証型の分析を前提とした内容になっています。
本記事のまとめ
問題とは何か
耳タコではあると思いますが、問題とは理想の状態と現状とのギャップのことです。そのギャップを埋めることで、問題が解決されることになります。
プロダクトの成長に責任を持つPMは、あるべき状態を思い描くこと、現状を正しく認識することが求められます。これらを明確にしないままでは、適切な問題設定や施策の実行はできません。どこを目指すかによって問題は変わり、それによりやるべきことも大きく変わってくるからです。
理想の状態を描き、現状を把握できたら、そのギャップをどう埋めていくのかを決めるために分析を行っていきます。
問いの立て方がなにより重要
分析は、大きく5つのステップに分かれます。
プロダクト開発における分析は、基本的に意思決定をゴールに行います。その意思決定の結果、「始める・やめる・続ける」のいずれかのアクションにつながっていきます。
何に対して答えを出すのかを決めるのが問題設定です。どのような問いを立てるかによって、その後の分析設計や意思決定に大きく影響を与えます。
問いの立て方が間違っていれば、どれだけ良い分析設計をしたとしても意思決定に繋がらず意味がなくなってしまいます。分析の起点となる問題設定が最も重要なステップであると言えます。
もちろん問いに答えるには、答えるための手段が存在することが前提なので、現実には問題設定と分析設計は行き来することが多いです。ただ、それは明確な問題設定あってこそであって、曖昧な問いを立てた状態で分析がうまくいったケースは思い当たらないです。
問題設定時に明らかにしたい4要素
問題設定のステップでは、以下の4つの要素を明らかにします。
限られた時間の中で、何を学習していく必要があるかを見極めるのは非常に大事です。まして意思決定に繋がらない分析は避けたいところです。
以下では、その分析が今必要なのかを確認する上でしておきたい3つの問いかけをご紹介します。
① その問いに潜む隠れた前提は何か?
どんな問いを立てるにしても、問いそれ自体にその人の考えや前提(仮説)が反映されていることが多いです。自分がどんな前提をベースにその問いを立てているのかを意識しておかないと、目的に対して粒度が荒すぎたり細かすぎたりすることが起こりやすいです。
例えば、「アプリの翌月利用率を上げるために、Aという訴求内容のプッシュを送る施策は有効か?」という問いを立てたとします。
この問いには、「翌月利用率が低いのは接触頻度の問題」「接触頻度を上げる上でプッシュ施策は有効」などの前提が隠れています。このような前提を認識する前に上記のような問いを立ててしまうと、粒度が上のより大きなインパクトのある問いを見落としてしまったり、それ以外の選択肢を検討する機会を失ったりしてしまいます。具体的なHowの内容が含まれる問いの場合、多くの前提が隠れていることが多いので、特に注意が必要です。
思考は常にショートカットを求めるので、今取り出しやすい情報のみから判断しようとしがちで、このことには自分だけではなかなか気が付きにくいと思います。そのため、チームメンバーと壁打ちしたり、前提を確認するような問いかけを意識的に取り入れるなどのステップを設けることが大事です。
② 想定したアクションができるか?
分析を始める前にしておきたいのが、問いに答えた結果どんなアクションをしたいのかを明らかにしておくことです。アクションが明確にならない、もしくは想定アクションの実現が難しい場合、その問いは今答えを出すべきものではない可能性が高いです。
特に、追加で予算が必要な場合や、自チーム以外が何らかのアクションを起こす場合には、分析を始める前に想定アクションは実行可能かを確認しておく必要があります。この確認を怠ってしまうと、せっかく行った分析がアクションに繋がらなくなる可能性があります。
③ 「情報が増えた未来」と「今」でアクションが変わるか?
登壇スライドにも載せていましたが、分析をする前に気をつけたいのがこの問いかけです。必要以上に情報を集めようとして動けない「分析麻痺」に、自分やチームが陥っていないかを確認できます。
分析を行う目的は、情報を増やして不確実性を減らし、意思決定の確度を上げることです。つまり、意思決定の確度が変わらず、アクションにも影響を与えないのであれば、その分析は意味がないものになってしまいます。
今行おうとしている分析が、その後のアクションを変える可能性があるのかを確認した上で実施していくことにより、必要以上の分析を行わずに済む可能性が上がると思っています。
取り返しのつかない意思決定は別として、多くのアクションはやり直しができます。必要以上にリスクを過大評価せず、アクションを通して学習していく姿勢が大事だなと最近は特に感じています。
最後に
本当に今その問いに答える必要があるかを明らかにする上で、確認しておきたい3つの観点についてご紹介しました。この記事を通して、日々やっている分析に対して「本当にこれは今やるべきなのか」と問い直すきっかけになれば幸いです
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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