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プロダクトマネジメントを通して学んだ意思決定との向き合い方

グルメサービスRettyでプロダクトマネージャーをしています飯田(@i_dayu_to)です!
Retty AdventCalendarの4日目の記事を担当しています。

Rettyに新卒で入社して今年で4年目になりました。
入社して約2年間は、データアナリストとしてプロダクトやビジネスのグロースに向けた意思決定支援を主な役割としていました。3年目からはプロダクトマネージャー(以下、PM)へ転向し、プロダクトグロースに向けた意思決定をするようになりました。

今振り返ると、「意思決定」という行為に対して向き合い続けた4年間だったと思います。
データアナリスト時代には、アウトカムにつながる意思決定を依頼者がするために、いかに精度とスピードを上げながら分析を行っていくかが主な関心ごとでした。

入社6ヶ月後には、データアナリストの視点からいかに意思決定支援をするかに関する記事を書いていました。

一転、PMになると意思決定する側として、どんなユーザーさんへ、どんな価値を、どうやって提供するかを考え、アクションを起こしてアウトカムを生み出すことを目指すようになりました。

PMとしてこうした動きをする中で、あらためて意思決定することの難しさを痛感すると共に、データアナリストの時には持ち合わせていなかった観点や大事にすべきスタンスへの解像度が少しずつ上がってきました。

このnoteでは、プロダクトマネジメントをする中で学んだ意思決定との向き合い方について書いていきたいと思います。

① わかった気にならない。でも前に進める

プロダクトを伸ばしていく過程では、仮説立案/検証を行い、そこで得た学びを次の動きに繋げていきます。
この過程を繰り返す中で注意したいのは、わかった気になることです。この状態になると、より深くユーザーさんや課題を理解するための動きを行わなくなり、表層的な理解のままで施策内容を固めて実行してしまいます。

このように、わかった気にならないのは大事です。しかし、わからないと前に進めない状態になってしまうと、物事は進展していきません。進展がなければ、プロダウトを伸ばすことはできません。ここが個人的にすごく難しいと感じている点で、分かる状態にする(=未知を既知にする)ことを期待役割として持っていたデータアナリストの頃と大きく考えを転換する必要がありました。

こうした葛藤を経て、最近では自分たちの理解はあくまで仮説であることを認識した上で、物事を前に進めていることを自覚することが大事だと考えるようになりました。
仮説検証を繰り返すことで新たな情報が獲得できます。もしその仮説が間違っていることがわかれば、別の仮説を検討してアクションを変えていけば良い。間違っても自分の仮説をあたかも正しいと思い込むことはしないようにする、というスタンスを持つように心がけています。

「理解することに時間を充てすぎると何も物事が進まない。仮の結論(仮説)を出した上でまずはアクションしてみる。そこで得た情報をもとに自分の行動を顧みて次に活かす。」
これを繰り返すことが大事だと考えるようになりました。

② 変化の遅れを念頭に置く

意思決定をしてアクションを起こすのは、自分たちが望ましいと考える変化を起こすためです。その変化を測定するために指標を定義し、施策実施後にその指標の変化を確認していきます。

ここで問題になってくるのは、変化を生み出したいタイミングと、実際に変化が起こるタイミングに差異が発生することです。1ヶ月後に成果を出すために施策を行なったはずが、1ヶ月後には変化が出ず、振り返ってみるとその変化が生まれるには1ヶ月では足りないのではと気づき始めることがあります。

例えばアプリユーザーの継続率を改善したい場合、以下の2つの条件が揃って初めてその指標の変化が生まれたかが確認できます。

① 継続利用するための価値も機会も提供できている
② 継続利用したかを測定するための期間が経過している

①の段階では、価値を感じるまでの期間と、その価値を感じてから再利用する機会が生まれるまでの期間を考慮しておく必要があります。また、測定する上で②は不可欠です。そのため、短期的に変化を求める指標として継続利用率は不適切であることがわかります。
もし継続率の改善するのであれば、継続率を分解した指標を定義し、短期的に観測する。継続率それ自体は中期目線で改善されているか確認するのが良いでしょう。

上記はわかりやすい例ではありましたが、実際にはわかりやすいものばかりではありません。そのため、自分たちが求める変化は本当に想定した時間軸で起こりうるのかを立ち止まって考えると共に、少しでも早くその変化を捉えることができる方法は何かを考えることが大事です。
また、人によって変化にどれだけ時間がかかるか認識が異なる場合があるため、事前に期待値を合わせておくことで、後々余計な動きが減っていきます。

③ 結果だけでなくプロセスも振り返る

PMになってから日々様々な意思決定をするようになり、定期的に過去行った決定に関する振り返りを行うようになりました。振り返りを通して実現したいのは、経験をもとに学びを抽出し、次に活かすことです。

初めの頃は、以下のような項目を中心に振り返りを行なっていました。

① [目的/ゴール] 何を達成したいのか?
② [内容] どんな決定をしたのか?
③ [結果] どんな結果が生まれたのか?
④ [原因] なぜその結果が生まれたのか?
⑤ [改善] 次やる時にどう改善するか?

上記の項目は、実際に下した決定が適切だったのかを評価する上では有効です。自分なりにも学びが得られているという実感もそれなりにあったため、しばらくこれら項目を中心に振り返りを行なっていました。

しかし、振り返りを重ねていったある日、得られる学びが似通ってきていることに気が付きました。判断する上での観点が漏れていた、想定していたリスクを軽視し過ぎていたといった学びや反省が定期的に生まれているのです。振り返り時の解釈の幅が少ないからなのか、学びから生まれた反省が次に活かす方法が適切でないのかはものによりますが、いずれにせよ学びが似ているということは、次の動きに活かしきれていないということです。

改めて振り返っている項目を見返したときに、これまでの振り返りでは決定した内容という結果ばかりに焦点が当たっており、その決定が生まれる構造やプロセスに目が向いていなかったのです。どんな意思決定をしたのか?はあくまでプロセスが生んだ結果です。改善すべきはその結果だけでなく、なぜその決定を下したのかというプロセスだということに気づきました。経験を次に活かす場合には、その決定をするに至ったプロセスや根底にある考え方に目を向けることが大事だと考えるようになりました。

このことに気づいてからは、以下の項目に関する振り返りを行うようになりました。

① [フロー] 決定までに誰がどう関与し、どう進めたか?
② [コミュニケーション] 進める過程でどんな意見が交わされたか?
③ [判断材料] 決定にはどんな判断材料を用いたか?どんな観点を重視したか?
④ [スコープ] 決定が影響するスコープをどう定めたか?定め方をどう決めたか?

各項目を振り返った上で、適切な動きを行えたのかを見つめ直していきます。

結果は「何をしたか(WHAT)」に対して、プロセスは「どのように(HOW)」に対して焦点が当たっています。「どのように」意思決定したのかを振り返ることで、その決定が生まれる構造を見直すきっかけを作ることができます。

さいごに

このnoteでは、意思決定に対する向き合い方に関して、いろいろな壁にぶつかりながら得た学びを書いていきました。ただ、ここに書かれていることもあくまで仮説なので、今後新たな経験を経てアップデートされていく可能性がありますし、そうしていきたいと思っています。
それでも、このnoteを通して、少しでも日々の意思決定への向き合い方を見つめ直すきっかけを作れていたら嬉しいです。

以上、Retty AdventCalendarの4日目担当の飯田でした!
明日は山下くんによる「Protocol Buffersの定義ファイルのチェックはBuf一択でよいのでは?」です!お楽しみに!

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