菜食主義について その2

先ほど書いた菜食主義と過激派ヴィーガニズムについてですが
すこし一般論よりな投稿だったため改めて補足したいと思います。

「ヴィーガンの主張に対して見受けられる間違った反論について」

この問題はよく論争になりますから売り言葉に買い言葉が発生しますがその中で一般の方からの間違った反論をよく目にするのでここを正していきたいと思います。

①たんぱく質が足らなくなる

これは非常によく見ますね。
ヴィーガニズムに対する反論理由第1位に挙げられる反論理由ですがこれは完全に誤りです。確かに偏った食生活をしていれば動物性たんぱく質を常に摂っている人に比べれば不足気味になる可能性は多少高くなりますが、正しい知識に基づいた菜食においてはナッツ類、豆類、多様な穀物の摂取が推奨されています。調べもせずただ勢いでヴィーガンになった人はカバーしきれませんが、ごく普通の、そしてちゃんと学んだヴィーガンや菜食主義者はたんぱく質不足とは無縁の生活を送っています。
それに植物性たんぱく質だけでも必須アミノ酸は満たす事は出来ます
玄米と大豆でも良いですし、大豆アレルギーがあるならひよこ豆やレンズ豆、ニンニク、アマランサス、キヌアでも結構です。いずれもグルテンフリーですのでセリアック病の方でもグルテン過敏症の人でも摂取出来ます。
また日本人であれば海藻を分解するタイプの腸内細菌も持っている可能性が高いので、海苔や昆布もオススメです。

②植物性たんぱく質は吸収率が低いから動物性の肉も必要だ

この手の主張もよく見受けられますね。まぁ一般受けしやすい主張なので
賛同する方も多いのですが、これも誤りです。
ただ、これを誤りとするのはエンテロタイプ、つまり腸内細菌層タイプがビフィドバクテリウム属、ルミノコッカス属の比率が他のエンテロタイプに比べ多いアジア人および日本人においての話です。(スウェーデン人も)

そもそも日本人は動物性の中でも特に肉と呼ばれる牛や豚のたんぱく質の消化酵素をコードしておらず、そもそも分解吸収率が低いのです。
そして日本人の腸内細菌は穀物や海藻を分解するタイプの菌が優勢で、動物性の肉を摂れば確かにその手の腸内細菌は増えますがそれと同時に大腸がんなどを誘発する菌が爆発的に増えます。俗に言う悪玉菌です。
と同時に我々の腸内に本来多くいるビフィド・バクテリウムは酸性の環境を好むのに動物性のたんぱく質を分解する菌はアルカリ性の代謝物を産生しますので、本来居るべきである腸内細菌が減ります。
日本人の多くの方が大腸がんで亡くなっていく理由にこの動物性たんぱく質の摂取およびそれに伴う民族性に合わない腸内細菌叢の異常の関係性があります。この事実はいずれ明白に示されると思いますがこれは日本人が昔から穀物を食生活を主体としてきたがゆえの結果です。
日本人の腸内細菌は炭水化物から大腸内発酵を経て、アミノ酸や脂肪酸、ビタミンを産生することに日本人は長けているのです。
更に昔の日本人がまともに肉を食べていないのに屈強であったのはこの腸内細菌が関係しているのです。またこの腸内細菌が生み出す短鎖脂肪酸はMgやCaをキレートする事で吸収率を高め、これによってたんぱく質の吸収効率が上がります。
なので、動物性たんぱく質の吸収率が高いからと言って日本人がアメリカ人をまねて動物性たんぱく質をやたらめったら摂取してもそもそもの腸内細菌叢のタイプが異なるので同じような事は起こりません。

③感謝して食べればいい

ん~。笑
感謝は大事ですよね。でもいくら感謝しても現代人が当たり前だと思っている動物性たんぱく質の摂取量が皆様の健康に良い訳ではありません。
その理由の一つに皆さんが食べているであろう牛や豚、鶏の生育状況が非常に悪い、というのが挙げられます。

「成長ホルモン剤・抗生物質・遺伝子組み換え作物のエサ」

まず言いますと欧米ではアメリカ産牛肉の輸入は禁止されています。
これはどういう事かと言うと、アメリカでは使用が当たり前とされている成長ホルモン剤(早く成長させる為に使用されるステロイド)は乳がんや子宮がんなどの原因であることがはっきりと証明されています。
理由はまだ明確には分かっていませんが、この肥育ホルモン剤は女性に対して強い発がん性を及ぼすそうです。
(エストロゲンの過剰含有が原因とはされています)
牧草で育った和牛しか食べません、という方は無視して頂いて結構なのですが、大方の人々は普通にアメリカ産牛肉を何も考えずに食べていると思います。「アンガス牛」とか呼ばれてるあれです。
しかし、そのアメリカ産牛肉が日本人における乳がんを増やしている可能性があるとしたらその肉を奥さんや彼女に食べさせたいと思いますか?

この成長ホルモン剤(肥育ホルモン)はブラジル産のブロイラーでも使用されています。もちろん抗生物質もです。
それだけならまだしも関税で賄賂が発覚して2017年には中国、チリ及びEUでブラジル産ブロイラーの輸入が禁止となりました。
これどういうことかと言うと、ブラジル側で検査したら「大丈夫でした」
と言って送ってもらってるのに実は全然OKじゃなくて衛生基準を満たしていないものや使ってはいけない量の成長ホルモン剤が使われていたって話なんです。

皆さん、この肉を普通に食べてますからね。

現代ビジネスさんが丁寧にまとめてくれていたのでリンク張っておきますが
私自身、外食産業に6年近く身を置かせてもらっていたので証言しますが
国産と謳っていない鶏肉の90%以上はブラジル産です。
併せてお伝えしますと外食産業は皆さんの健康なんて微塵も考えていませんからね?平気で身体に悪いものを使いますよ。
それらを踏まえた上でも毎日、動物性たんぱく質の摂取が必要だとおっしゃられるなら結構ですが、おそらく国の医療費を増やすことは前もってお伝えしておきます。
それにまともなエサで育てられた牛や鳥を日頃から摂取していたらエンゲル係数がエグイことになると思います。

ちなみに卵も同様に、とてつもないストレス環境下で育てられた鶏が生む卵が大半なので、栄養に関する情報サイトが謳うような栄養価や効果は期待しない方が良いです。
ここではあえて載せませんが、1パック100円そこらで売られている卵を産んだ親鶏の生育環境とか本当に地獄ですからね。
アスタキチン酸含有の肥育飼料を与えられて黄色い卵を産むようにされてますがそれも果たして身体に良いのか・・・。
私はもし仮に食べるとしても1玉100円ほどで売られている遺伝子組み換え飼料を使わずに放し飼いの鶏が生んだ卵を食べます。
とは言っても食べても3か月~半年に一個程度です。

④魚を食べれればいい

これが一番的を得ている答えだと思います。
私もその通りだと思います。これについては私の中でも賛否両論ありまますが肉を食べるくらいなら魚を食べた方が健康リスクは低いと思います。
ただ。ただですよ。ここにも落とし穴があります。
確かに、魚を食べるベジタリアン通称ペスカタリアン(ただの昔の日本人やんけ、と突っ込みたくなりますが)は健康リスク上もっとも低い数値をたたき出しているので一見健康に見えるのですが、だからと言って安直に魚を食べてると痛い目にあいます。

「水銀の問題」
これです。これがなかなか世間一般の議論の場に上がらないので知らない人が多いとおもうのですが魚に含まれる水銀の量は世界的にみればかなり問題になっています。特に食物連鎖のトップにいるタイプ(マグロやカジキ)の魚はこの水銀が蓄積されていて含有量が非常に多いことから妊婦さんへの注意勧告まで行われているレベルです。ちなみに水銀、かなり厄介ですからね。一度体内に入るとなかなか取り出せず水俣病しかりアルツハイマーの原因にもなります。
ちなみに日本人の3人に1人がアルツハイマーになると言われています。
また、チリ産のサーモンもこの水銀の多さやダイオキシンなどの有毒物質の含有量を指摘されています。
日本人、鮭好きですよね。原産国確認しましょう。
言うまでもなく、スーパーで売られているスモークサーモンなどの多くはチリ産です。。。
漁業大国であり、
世界で一番マグロや鮭が好きな日本人、
全く関係が無いと思えますか?

「じゃあエビは???」

日本人、エビ好きですよね。世界での消費量No.1でしたっけ?
でもその生産に奴隷制度が関わっていると知ったら喉元通ります?

昨日の夕食に食べたエビも?…悲惨な‘奴隷労働’の真実

世界で売られる“奴隷労働”養殖エビ 日本にも拠点…国内流通か

私がこれを知ったのは完全菜食を行っている最中でしたからそもそも食べませんでしたが今でもほとんど食べなくなりました。
食べても国産の海老を多少食べる程度で半年に一回あるかないかです。
まぁ言うまでもなくコンビニで売られているエビカツであったり、安いチェーン居酒屋で使われている海老は確実に怪しいですよね。
私はそういったものを98%食べないのでこの件については加担していない自負がありますが、もし、奴隷制度について反対意見をお持ちの方は外国産エビの摂取についてもご注意ください。

あとですね、私は肉や魚を「食べるな」とは私は間違っても言いません。
それは非常に難しい事です。栄養学的にも、そして現代を取り巻くストレス社会においても肉をやめるだなんて並大抵のことではありません。
ですが、もしお時間が許すようであったら食肉加工場やと殺場に行ってみてください。
現実を見た上で命に「感謝して頂く」とか「有難みをもって頂く」とか言ってください。
精肉売り場に並べられた肉を手にして焼いて食べるときに「頂きます」というだけでは感じることの出来ない命の重さが、そこにはあります。
本当に命に感謝して食べるなら、是非その光景を目にしてみてください。
きっと考え方が変わります。
少なからず私は10年以上前に芝浦と殺場で聞いた牛の悲痛な叫びを今でも覚えています。

こういった現状と実情をみて頂ければ多少なりともヴィーガンの方々が言っている意味や心情が分かると思います。彼らの表現があまりにもキツかったりやり方が過激かつテロリズム的過ぎて理解よりも反発心が先にきてしまうのも重々分かります。
ですが、それを抜きにして私としては我々現代人を取り巻く畜産・漁業環境がいかに酷いものなのかを正しく知った上で今後の行動を考えて頂きたいのです。

「ただし。」

併せてヴィーガンの方で世の中に非肉食を訴えかけている人がもしこのブログをご覧いただいているのであれば是非御願いしたいのですが
食肉を正しく減らしていく為には、不必要なテロ行為または安直な食肉否定は逆効果ですので是非はおやめ頂きたいと願います。
そんな安直なやり方で食肉が減るほど世の中は単純では無いと私は思います。

そんな安直な方法ではなく、しっかりと算段を踏んで活動するべきです。
争いや攻撃は、そのまま同じように争いや反撃を生むだけです。
もっと平和的で建設的な解決を私は望みます。

という訳で、今回は菜食主義および我々を取り巻く食環境や様々な主義主張についてまとめてみました。
頼むからみんな喧嘩しないでください、と切に願います。

關 貴仁

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?