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1人で暇なら風呂に行け

今日もひとりなので。

久しぶりに、連休が来た。
休みの日の雨は、サラサラしている。
午前8時、カーテンを開けて思った。
嫌味のない湿度は、いつもより心地良いと、あの時ハッキリと感じたのだが。


私は仕事柄、平日休みがほとんどだ。
友人、恋人、家族、みんな土日休みが多い。
周りとの予定は通りで噛み合わないわけで、休日は毎度の如く1人の時間を過ごしている。

まあ、1人は気が楽で好きだからいいのだけれど。

と、言いたいところだが、私は人と話すのが特段好きな女である。
だから、仕事も接客業を選んだ。なぜそんなに話したいかと問われたら、口が気持ちいいからに決まっている。会話のラリーでテンポを合わせていく感じ、ガチっとハマった時の相手の嬉しそうなお顔、たまらない気持ちになる。
今の仕事は、とにかく性に合っているのだ。

そんな私が、静かに家で閉じこもっていられるわけはなく、ただ何処かで時間が溶けるのを待つだけの1日に虚しさを感じているのだった。

自分は、自分だけの力で、精神の波をコントロールすることができない。幸せを他人頼りにして生きてきた。誰かといることでしか忘れられない孤独と、どう向き合っていけばいいのだろう。


こういう、馬鹿みたいに暗い日は、
絶対温泉に行く。
暇だから、面倒臭くなるのだ。
考える間もなく、癒されておけばいい。

うちの地元は、1000円以下で、
天然温泉. 露天風呂. 岩盤浴. 漫画PCコーナー
を楽しむことができる。
神コスパに頭が上がらない。

そして何せ、平日のため人がいない!
うるさい集団の学生や、倫理観が欠如したカップルは社会の中だ。
彼らが学校や会社で汗水垂らしている間、私は岩盤浴で眠り、滝のような汗をかくのだ。
なんという背徳感。最低に、幸せすぎる。

膨大な卑しい感情を引き連れて、低音の岩盤浴で眠り流す。身体が徐々に蒸されていく。
すると足先や肘、所々冷たくなっている感覚が来る。時々人が入ってきて、ドアの隙間から冷たい風を感じさせてくれるのよりも遥かにピリッとした痺れのような冷たさ。好きだった。

さっきまでの悲しみは、まだ少しだけそばにいる。
私は壁掛け時計の秒針がジリジリと鳴くのを聞きながら、首から順に滴る汗を手で拭き上げた。

もうすぐ、全部流れていくよ。
あっけらかんと笑う私を、私もいつも見ていたい。
気持ち悪いのも、今だけさ。

1人で暇なら風呂に行け。

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