【米国市場】ダウ平均は続落、新規失業保険申請数が写す米経済回復の実態

米国株式市場では、主要3指数は狭い範囲内での動きとなり、S&P総合500種(.SPX)とナスダック総合(.IXIC)が小幅高で引けた。市場では新型コロナウイルス感染拡大の第2波に対する懸念のほか、米経済指標でV字型回復が実現する公算が小さいと示されていることが意識されている。

新規失業保険申請件数の増加を受け軟調

主要3株価指数はレンジ内で行き来したが、S&Pとナスダックは上昇して取引を終えた。ダウ工業株30種(.DJI)は小幅安。
ホライゾン・インベストメント・サービシズのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は、市場は次の大きな材料を探しているとし、「市場には、投資家が次の方向性を見極めるために比較し、より分け、考慮すべき多くの材料がある」と述べた。
米国では複数州で経済再開後に新型コロナ感染者が急増しているが、トランプ大統領は感染抑制に向け再び都市封鎖を行うつもりはないと述べた。
アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア市場ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「投資家は様子見モードにある」と指摘。「景気は回復に向かっているとみられているが、その途中には障害があり、感染者数の増加もその一つだろう」と述べた。
米労働省が18日発表した6月13日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は150万8000件となった。前週の156万6000件(改定)からは減少したものの、企業のレイオフ(一時解雇)第2波を背景に申請件数は高止まりし、新型コロナウイルス流行の影響からの景気回復が緩慢なペースとなる兆候を示唆した。
S&Pは主要11セクターのうち4部門が上昇。エネルギー(.SPNY)が最も上昇し、逆に不動産(.SPLRCR)は下げが大きかった。
個別株ではスーパーマーケット大手クローガー(KR.N)が3%安。四半期決算は売上高が予想を上回るなどしたが、通期の業績予想を明示しなかったことを受けた。
音楽配信大手スポティファイ・テクノロジー(SPOT.N)は12.7%急伸。AT&T(T.N)傘下のワーナー・ブラザーズ、DCエンターテイメントとコンテンツ契約したことが好感された。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.39対1の比率で上回った。ナスダックでは1.02対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は101億6000万株。直近20営業日の平均は129億株。

カルフォルニア州でマスク着用を義務化

カリフォルニア州は18日、自宅以外のほとんどの時間でマスク着用を義務付けると発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下においてマスク着用が軽視されていることに対応する。

発表によると、外出時にはマスク着用が求められるが、6フィートのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)が維持されていれば、レストランでの飲食時や屋外での運動時などにマスクを外すことができる。
ニューソム知事は声明で、「フェイスカバーをしていない人があまりに多く、新型コロナ感染症との戦いにおける進展を危険にさらしている」と指摘。「経済を再開し、人々を仕事に復帰させるためのカリフォルニア州の戦略は、人々が安全に行動し、公衆衛生上の勧告を順守することによって初めて成功する。つまりフェイスカバーを着用し、手を洗い、物理的な距離を置くことが求められる」と述べた。

声明ではマスク着用義務付けをどのように実施していくのか明らかになっていない。州公衆衛生局からのコメントも得られていない。

ロイターの集計によると、カリフォルニア州の新型コロナ感染者は16万3000人以上。死者は5281人。

今日の私見

経済再開により新型コロナの新規感染者は増えていっているが、都市封鎖という対策はされないようだ。

日本と同じく、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクを着用し、緩く経済を回していく方向になるだろう。

今日の値動きから、市場は劇的な経済復活戦を熱望していたように見える。
しかし、新規失業保険申請件数は予想を上回ってしまったため、軟調な値動きとなった。(前月比は改善)

日本の現状を見ていればわかる通り、日本式の新型コロナ対策では、劇的に経済は復活しない。
しかし、都市封鎖よりかは経済は回るため、その程度までの回復は容易だか、それ以降はどうなるか。

市場は一気に様子見ムードとなり、ちょっとしたニュースに敏感になると予想する。
出来高の少ない夏場は、休むも相場かもしれない。

出典

ロイター 6/19 米株小動き、ダウは小幅安 コロナ第2波を警戒

ロイター 6/19 米カリフォルニア州、自宅以外でのマスク着用を義務付け